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「絵を描きたい」と思ったら、新潟の歴史ある画材店「ナガイ画材」。

この一年、外出自粛のせいで家で過ごす機会が増え、何か室内でできる新しい趣味をはじめた人は多いのではないでしょうか。これを機会に「絵」を始めてみる、何かそういった作品づくりに励んでみるというのも、充実した過ごし方のひとつです。そこで今回は、新潟市にある「ナガイ画材」にお邪魔して、絵を描くための道具についていろいろお話を聞いてきました。

 

 

有限会社ナガイ画材

永井 辰典 Tastunori Nagai

1984年新潟市江南区生まれ。5代目社長。神奈川県の大学で建築の構造学を学び、大学院を修了。その後、東京のITソリューションの会社に就職。2011年新潟に戻り「ナガイ画材」を継ぐ。趣味はマンガを読むことで「ジョジョの奇妙な冒険」がお気に入り。

 

理系の仕事から、畑違いの画材店社長へ転職。

——「ナガイ画材」は歴史のある画材屋さんですよね。いつ頃からやっているんですか?

永井さん:大正時代、私の曾祖父の頃に「永井商店」として文具を売っていたのがはじまりみたいです。昭和25年くらいに祖母が祖父を婿として迎えたのをきっかけに、画材用品に特化した「ナガイ画材」へ切り替えたそうです。祖母は歯科医の免許を持っているので、最初の頃は画材店の一角で歯科医院を開業していたらしいです(笑)

 

——画材店と歯科医院ってすごいコラボですね(笑)。永井さんはいつ頃お店を継いだんですか?

永井さん:私はもともと理系の人間でして(笑)。神奈川の大学に行って建築学部で構造学の勉強をして、大学院まで進んだんです。そのまま東京のITソリューション系の会社に就職して、自動車の衝突シュミレーションの仕事をしていたんですよ。ところが当時「ナガイ画材」の社長だった父が亡くなってしまって、それで新潟に戻ることにしました。

 

 

——新潟に戻ること、画材店を継ぐことに葛藤はありませんでしたか?

永井さん:正直ありましたね。ろくに絵を描いたこともない理系人間の自分が、まったく正反対の芸術系の仕事をするわけですから。戸惑いはありました。

 

——じゃあ最初のうちは大変でしたね。

永井さん:画材とひとくちに言っても、油彩、水彩、日本画、イラストとジャンルは多様ですし、それぞれのジャンルでいろんな道具がありますからね。たとえば油彩では様々なオイルを使うわけですが、それぞれにどんな特性があるのかを覚えるのが大変でした。実際に使っている人の方が詳しいから、お客様からいろいろ教えてもらって勉強しましたね(笑)

 

 

油彩画と水彩画はどちらが人気?

——画材って、具体的にどんなものを売っているんですか?

永井さん:まずは紙や絵の具、コンテ、パステル、筆、ペンといった絵を描くための道具があります。油彩画に使うキャンバスもそうです。キャンバスはご要望の布目やサイズに応じたオーダーメイドで作ることもできます。あと作品を入れる額縁は種類も多くて、こちらもオーダーメイドでお作りすることができますね。

 

——たしかにいろんな種類の額縁がありますね。

永井さん:作品に合う額縁を選ぶのってとても難しいんですよ。「絵の中で使われている色に合わせる」っていう法則もあるんですけど、それだけじゃなくて長年の経験も大事なんですよね。お客様が考えているイメージとは違うものをお奨めして、「こっちの方がいいですね」って喜んでいただけることも多いんですよ。私たちは絵と額縁を合わせることで、はじめて作品が完成するっていう感覚で額縁を扱っています。

 

 

——お店で一番売れている画材って何ですか?

永井さん:う〜ん、スケッチブックが一番売れるかな。サイズはもちろん、用紙の種類もたくさんあるので、お店に並んでいるスケッチブックは軽く100種類を超えると思います。これだけあると迷っちゃうと思うので、迷ったときはお店のスタッフに相談してほしいですね。

 

——そんなに種類があるとスタッフも覚えるのが大変じゃないですか?

永井さん:使ってみて試せるような数じゃないですからね(笑)。だから実際にスケッチブックを使っているお客様や、絵画教室をまわって感想を聞いたりしています。

 

——絵画のジャンルではどんなものが人気ですか?

永井さん:油彩画に使う油絵の具が売れてますね。水彩絵の具に比べると、汚れやすくて水洗いできないので扱いは難しいんですが、水彩画と違って油彩画は上描きできるので描きやすいんですよね。水彩画は描き直しができないぶん、難易度が高いんです。とはいっても、最近は水彩絵の具もよく出るようになりましたね。新型ウイルス感染症の影響で、自宅で過ごす時間が増えたせいかもしれません。

 

芸術の敷居を低くすることが、画材店の仕事。

——大型店の影響もあって、新潟市の画材屋さんは少なくなりましたよね?

永井さん:新潟市内で「画材店」という看板を掲げて残っているのは、うちだけかもしれないですね。うちは歴史ある画材専門店として、画材や額縁の専門知識ではどこにも負けていないと思っています。絵画初心者は大型店の方が行きやすいかもしれませんが、とくに初心者の方にこそ、うちに来てほしいですね。丁寧にアドバイスさせていただきます。

 

——画材店に来るお客さんの傾向ってどんな感じなんですか?

永井さん:絵を描く趣味の人は年齢層が上がってきて、20代30代の若い人は少ないですね。若いときから絵に馴染んでいないと後々趣味の選択肢に入ってくることはないので、若い人に向けた絵画講習をやってみたいですね。

 

——今はデジタルで手軽に作品が作れる時代ですよね。そのへんの影響は感じますか?

永井さん:それはあると思いますね。でもデジタル主流の時代だからこそ、自分の手を使って作品を作る喜びを感じてほしいです。「芸術」っていうとすごく敷居が高く感じてしまいますけど、スマホひとつとってもデザインされたものですし、芸術やデザインは身近にあるっていうことに気づいてほしいんですよ。私たちの仕事は芸術の敷居を下げることだと思っています。もっとたくさんの人たちが気軽に芸術を楽しんでくれるとうれしいですね。

 

 

かつては理系だった永井さんですが、今ではもうすっかり画材店の社長が板について、「絵を描く楽しさを多くの人に広めたい」と語ってくれました。「画材店」と聞くと、なんとなく敷居の高さを感じる人も多いかもしれませんが、専門店だからこそ、親切に相談に乗ってくれると思います。これから絵を描いてみようかなっていう人は、気軽に「ナガイ画材」を訪れてみてはいかがでしょうか。

 

ナガイ画材

〒951-8113 新潟県新潟市中央区寄居町915

025-228-3848

10:00-18:30/土曜 10:00-17:30

日曜祝日休

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