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惣菜も充実した商店街のお肉屋さん、加茂の「難波食肉店」。

大型スーパーやショッピングモール、ネット通販におされて小さな個人商店が相次いで閉店していくなか、70年近くも商店街で愛され続けているお店があります。加茂の「長生き商店街」にある「難波食肉店」。朝夕とたくさんのお客さんがやって来ては、新鮮な精肉や揚げたてのコロッケなどを買い求めていきます。今回は四代目の難波泰弘さんからいろいろとお話を聞いてきました。

 

 

難波食肉店

難波 泰弘 Yasuhiro Nanba

1989年加茂市生まれ。「難波食肉店」四代目。群馬県の食肉学校で学んだ後、加茂市内の飲食店で修業し、2011年より家業の「難波食肉店」に就職。地元の仲間と作ったチームで10年間フットサルを続けている。

 

人気商品はコロッケと「なっとうカツ」。

——難波さんは「難波食肉店」の四代目なんですよね。お店はいつから続いているんですか?

難波さん:僕のひいおじいさんが昭和28年に創業したそうです。当時はまだ各家庭に冷蔵庫が普及していなかったので、お客様が持ってきた鍋に直接入れて売っていたと聞いています。創業の2年後にはコロッケやメンチカツといった揚げ物もはじめたみたいですね。

 

——昭和28年……ってことは70年近くも続いているお店なんですね。難波さんは最初からこちらで?

難波さん:僕はまずは群馬の食肉学校に行って、肉の勉強をしてきました。生産から生肉、販売まで学べる学校で、食肉業者や飲食業者、生産者がこぞって勉強に来ていましたね。

 

——そこで勉強をしてから家業に就いたんですね。

難波さん:いいえ。加茂に戻ってからは、飲食店で働いていました。

 

——それはどうして?

難波さん:接客の勉強をしたかったんです。そのついでに調理も学ばせてもらいました。おかげで、それまではコロッケやメンチカツのような揚げ物しかなかった「難波食肉店」の惣菜に、もっといろいろなメニューを増やすことができるようになりました。

 

 

——コロッケは当時から今までずっと続いている人気メニューなんですよね? 人気の秘密はどこにあるんでしょう?

難波さん:どうなんでしょうねぇ(笑)。昔から味はほとんど変わっていないんです。材料は北海道産のじゃがいも、にんじん、ひき肉で、すべて一度火を通してから使っています。そうすることで食感が滑らかになるんですよ。あと細かいパン粉をつけて、自家製のラードで揚げることで、さっくりした軽い歯ごたえになるんです。良かったら食べてみてください。

 

 

——じゃあ、ちょっといただきます。もぐもぐ……確かに軽くて食べやすいですね。あとラードで揚げた衣が美味しいです。

難波さん:ありがとうございます。これ他にもうひとつ人気のあるメニューは「なっとうカツ」ですね。この商店街は「たくさん歩いて買い物して健康に長生きしましょう」という意味で「長生き商店街」という名前なんです。うちの店でも「長生き」をテーマにした商品を作ろうということで、健康食品の納豆を使ったカツを誕生させました。納豆と大葉、甘めの味噌を薄い豚肉で巻いたカツで、納豆は炒めてから使っているので粘り気や匂いがほとんどなくって苦手な方でも食べやすくなっています。

 

 

——そういった惣菜メニューを作るときは、どんなことに気をつけているんでしょうか?

難波さん:惣菜はできたてを食べてもらえるとは限らないんですよね。夕飯や翌日のお弁当にも使われたりするので、冷めても美味しいよう濃いめの味付けにしています。それから夏と冬では気温が違うので、食材は使い分けていますね。

 

——へ〜、目の届かないところで食べられるものだから、いろいろと気を使うわけですね。

難波さん:そうなんですよ。あと、お客様にもいろいろな人がいて、毎回同じものを買っていく人もいれば、いつも違ったものを食べたいという人もいるんです。だから定番商品と日替わりや季節限定商品のバランスには気をつけていますね。

 

人と人とのつながりを感じられる商店街。

——「難波食肉店」さんでは、どんなところにこだわってお肉を扱っているんでしょうか?

難波さん:産地にはこだわっています。牛肉は新潟和牛や山形牛、豚肉は朝日豚が中心です。30年来の付き合いの信頼できる食肉業者さんから、いい肉をまわしていただいているので、安心して販売できますね。

 

 

——鶏肉も扱っているんですよね?

難波さん:はい。以前は鶏肉を扱っていなかったんですが、僕が働きはじめたタイミングで扱いはじめました。唐揚げはもちろん、僕が飲食店で覚えた鶏肉メニューも提供したかったんですよ。いろいろな鶏肉を食べ比べて、一番美味しいと思った宮崎産の日南どりを使っています。

 

 

——新潟では牛肉より鶏肉の消費量が多そうですもんね。ちなみに、最近はどんなお肉がよく売れているんですか?

難波さん:うーん、季節によってよく出るお肉は変わるんですよね。夏だったらバーベキュー用の牛カルビ、冬だったら鍋に入れる豚バラが売れています。受験前には「受験に勝つ」という願掛けでとんかつに使う豚ロースが売れるんですよ(笑)。年末年始やお盆には、揚げ物のコロッケやメンチカツが売れています。帰省してきた人が懐かしがって食べてくれるんです。

 

——じゃあ、地元のソウルフードになっているんですね。スーパーや大型店が増えて小さな商店が閉店していくなかで、長く営業し続けているのってすごいことだと思います。

難波さん:お客様のニーズに対応しながら、変えないところは変えずに続けてきたのがよかったのかもしれませんね。これも昔からお付き合いくださっているお客様のおかげです。本当にありがたいです。

 

——地元の人たちに支えられてきたわけですね。商店街ならではのお店の強みってどんなところですか?

難波さん:お客様に合わせたお肉を提供できるところです。どんな料理に使うのか、何人家族なのか、どんな厚さがいいのか、お客様から要望をお聞きしながら、肉の種類や量をオーダーカットしています。スーパーでのお買い物に慣れていると最初は戸惑うかもしれませんが、きっと便利なので気軽に相談していただきたいですね。

 

——顔を合わせて買い物できる安心感が強みなんですね。今後はどんなふうにお店を続けていこうと思っていますか。

難波さん:加茂市街には今までスーパーやチェーン店がなかったので、古い商店や飲食店が数多く残ってこれたんです。でも、これからは街も変わっていくかもしれないので、商店街としても全体で盛り上げていかなければ大型店に対抗することはできないと思います。あと、高齢化が進んでお客様も変わっていくと思うので、そうしたなかでお店を続けていくためには、若いお客様にもアピールできるお店作りを工夫していきたいですね。最近ではお弁当の販売をはじめたんですよ。肉屋ならではの美味しいお肉を使ったお弁当ですので、いろいろなお客様に食べていただけたらうれしいです。

 

 

 

難波食肉店

加茂市五番町1-29

0256-52-0636

9:00-18:30

日曜休

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