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素材の魅力をとことん生かした「osteria BACCO」のイタリアン。

西大畑にある「異人池」と呼ばれるエリア。文化的な雰囲気のある落ち着いたその街には、上品でお洒落なお店がいくつも存在しています。今回ご紹介する「osteria BACCO(オステリア・バッコ)」もそのひとつ。オーナーシェフの三善さんから、イタリアンひと筋の人生や料理のこだわりを聞いてきました。

 

 

osteria BACCO

三善 将則 Masanori Miyoshi

1976年新潟市北区生まれ。東京のイタリアンレストランで修業をはじめ、2005年にはイタリアへ渡り3年間料理の経験を積む。帰国後は東京のレストランでシェフを務め、2011年に新潟へ戻り父親の店を手伝う。同年11月に「osteria BACCO」をオープン。ハンター歴2年で、獲物を料理に使うこともある。

 

言葉がわからなくても、実力で認められたイタリア修業。

——「osteria BACCO」さんは2011年にオープンされたんですね。でもこの場所って、ずっと前から同じ名前のイタリアンレストランがあったような……。

三善さん:父がこの場所でイタリアンレストランをやっていたんですよ。だから僕の子どもの頃の将来の夢は「コック」だったんです。だけど当時は真剣に目指していたわけでもなかったんですよね。

 

——三善さんの料理人生がスタートしたのは?

三善さん:父の勧めもあって、東京にあるイタリアンレストランで修業させてもらうことになったんです。最初は包丁も使えなかったので散々叱られましたね。僕の修業していたお店は、お酒の席で強制的に一気飲みをさせるような体育会系のノリだったんですよ。僕は学生時代に部活をやったことがなかったので、新鮮に感じながらもかなり戸惑っていました(笑)。

 

——そのお店ではどれくらい働かれたんですか?

三善さん:5年間修業させていただきました。それから次のステップを考えて、奥さんと一緒にイタリアへ渡って修業することにしたんです。

 

 

——おおっ、本場のイタリアへ。ちなみにイタリア語は……?

三善さん:使えませんでした(笑)。知り合いが紹介してくれたお店で働くことになって、そこのイタリア人シェフが駅まで車で迎えに来てくれたんです。ところが、その車中でシェフから話しかけられてもイタリア語がわからなくて、曖昧に笑ってごまかすしかなかったんですよ。それでイタリア語を使えないことがバレてしまって、「言葉がわからないんじゃ、仕事なんてできないぞ」みたいなことを言われたんです。それはニュアンスでなんとなくわかりました(笑)

 

——あらら……。言葉がわからないことで仕事に支障はありませんでしたか?

三善さん:しっかり仕事をしていれば、言葉がわからなくても認めてもらえる環境だったんです。最初はアシスタントとして働いていたんですけど、上の料理人が休むとその仕事を代行するわけです。すると「仕事ができる」と認めてもらえて、他のこともどんどん任されるようになっていきました。

 

 

——実力があれば言葉はいらない世界なんですね。そんなイタリア修業で三善さんはどんなことを得ましたか?

三善さん:イタリア料理の知識や技術はもちろんですけど、イタリアで生活することで食文化に触れることができたのは大きかったですね。イタリア人が日々口にしているものを食べることで、どういう料理なのかをより深く理解することができました。

 

——イタリアではどのくらい修業されていたんですか?

三善さん:3年間です。もっといたかったんですけどビザの関係で帰国することになって、残念でしたね。その後は東京のレストランで3年間シェフを務めてから、新潟に戻って父のイタリアンレストランを手伝い、そのまま「osteria BACCO」を引き継ぎました。

 

味付けするより味を引き出す、プロの料理。

——お父さんがお店をやっていた頃と、変わったところはあるんでしょうか?

三善さん:僕が得意とするパスタ料理を生かすことにして、スパゲッティはやめて手打ちパスタだけにしました。今まではアラカルト料理も提供するカジュアルなイタリアンレストランだったんですけど、昨年からは僕ひとりで調理することになったので、アラカルト料理をやめてコース料理のみのスタイルに切り替えたんです。

 

 

——他にも変わったところはありますか?

三善さん:これまでは流行作家の作る食器を使ったりしていたんですけど、もっと「イタリア」にこだわった店にしていきたいと思って、今はイタリアの作家が作る食器を使っています。ワインもイタリアンワインを増やしました。

 

——じゃあ、食材もイタリアのものを?

三善さん:本場イタリアと新潟の食材を合わせて使うようにしています。新潟にはクオリティの高い、美味しい食材がたくさんありますから。

 

 

——三善さんが料理を作るときにこだわっていることを教えてください。

三善さん:僕は「シンプル」な料理にこだわっています。

 

——「シンプル」というと?

三善さん:わかりやすく言えば「素材の魅力を最大限に生かした料理」ということになりますね。例えば肉を料理するとして、ソースや付け合わせの野菜に力を入れるより、肉を焼く火の入れ方に力を入れるようにしています。

 

 

——それは確かに「シンプル」ですね。

三善さん:見た目は誰にでもできそうな料理でも、プロの料理人にしかできない技術で作る食感や味、香りを提供したいんです。パスタ料理でも主役の麺がとにかく美味しくなるように、生地の寝かせ方から麺の打ち方までこだわって作っています。

 

——いろいろ付け加えていくのではなくて、磨きあげるように作る料理なんですね。今後はどんな料理を作っていきたいですか?

三善さん:新しいメニューをはじめるよりも、今あるメニューをブラッシュアップして、より完成度の高い料理を目指していきたいですね。

 

 

 

osteria BACCO

新潟市中央区西大畑町591-1 異人池ハウス

025-211-4994

12:00-14:00/18:00-21:00

火水曜休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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