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和食料理人がはじめた、カエルと植物に囲まれたコーヒー店「Finder Coffee」。

蕎麦猪口でコーヒーを飲む。そんなちょっと変わった体験ができる「Finder Coffee(ファインダー コーヒー)」というお店が、新潟市の東中通にオープンしました。オーナーは料理人としての顔も持つ戸田さん。カエルインテリアやエアプランツなどの緑色に囲まれながら、戸田さんからコーヒーやお店に対する思いを聞いてきました。

 

 

Finder Coffee

戸田 健康 Takeyasu Toda

1991年山形県生まれ。新潟の大学を卒業後、地元の銀行に就職するも、料理人になるため割烹で修業をはじめる。その後は新潟に戻り、海鮮居酒屋や酒屋で料理人として経験を重ねる。同時にコーヒー豆焙煎の腕を磨き、2023年1月に新潟市中央区で「Finder Coffee」をオープン。カエルや植物など緑色のものが好き。

 

和食の料理人がコーヒーショップをはじめるまで。

——戸田さんは山形出身なんですね。新潟へはどんなきっかけでやって来られたんですか?

戸田さん:新潟の大学に通っていたんですけど、卒業後は山形に帰って銀行に就職しました。でも自分のやりたかったこととは違うと感じていたんですよね。

 

——他にやりたいことがあったんでしょうか?

戸田さん:小学生の頃から料理が好きで、親の手伝いをしたり、親戚に料理を振る舞ったりしていたんです。「美味しい」と言ってもらえるのが嬉しくて、将来は料理の仕事に就きたいと思っていました。ずっと先のこととして考えていたんですけど、銀行員時代に体調を崩したことをきっかけに、やりたいことはやれるうちにやろうと思うようになったんです。

 

 

——じゃあ、銀行を辞めて料理の仕事を?

戸田さん:はい、地元の割烹で和食の修業をしました。僕以外は家族でやっているお店だったので居づらさもありましたが、忙しいおかげで短期間のうちにいろいろなことを勉強させてもらいましたね。ただ日本酒についてはあまり学べなかったので、今度は日本酒を学べるところで働きたいと思うようになったんです。

 

——なるほど。

戸田さん:そこで思いついたのが、大学時代を過ごした新潟だったんです。

 

——じゃあ日本酒の勉強をしたくて、再び新潟に来られたんですね。

戸田さん:そうなんです。新潟に来てからは海鮮居酒屋に勤めて、日本酒や料理の勉強をしました。そのうち店長を任されるようになったんですけど、コロナ禍がはじまってお店がヒマになっちゃったんですよ。そんなときに出会ったのがコーヒー焙煎だったんです。

 

 

——どんなきっかけで、コーヒー焙煎と出会ったんでしょうか。

戸田さん:同じ居酒屋で一緒に働いていたことが縁で奥さんと知り合ったんですが、彼女はダブルワークでコーヒー会社にも勤めていたんです。奥さんを通してロースターをやられている星野元樹さんと知り合いまして、コーヒー焙煎について教えていただきました。星野さんたちと数人でお金を出し合い、コーヒー豆の焙煎機を手に入れてからは腕も上がって、さらにのめり込んでいったんです。

 

——趣味だったコーヒー焙煎が仕事になったんですか?

戸田さん:コロナ禍で飲食業が大きな打撃を受けているなかでも、コーヒーショップはあんまり客数が落ち込まなかったんです。そこで朝市や農産物直販所の他、いろんなイベントにも出店して、訪れたお客様にコーヒーを淹れたり豆を売ったりするようになりました。

 

——露店としてコーヒーの販売をはじめたんですね。店舗をはじめたのはどうして?

戸田さん:知り合いの酒屋さんが、併設するキッチンの料理人を募集していたので、1年ほどそちらでお世話になったんです。でもゆくゆくは和食や日本酒を提供するお店を自分でやりたいと思っていたので、この物件が空いたのをきっかけに店舗オープンしました。とはいえ、いきなり和食店をはじめるのは難しかったので、まずはコーヒーショップからはじめたんです。

 

コーヒー焙煎やお店に対してのこだわり。

——コーヒーに対してのこだわりを教えてください。

戸田さん:最近は個性的な味わいのコーヒーを提供するお店が多いんですけど、僕は日常生活のなかで何杯でも飲めるような「飲みやすさ」を重視しているんです。そのため、飲みやすくて日常使いに向いているアジアの豆を使うようにしています。お客様からは「お洒落に飲むコーヒーじゃなくて、普段着で気軽に飲めるコーヒー」って言われます(笑)

 

 

——コーヒー焙煎する際に気をつけていることはあるんでしょうか。

戸田さん:お客様が美味しいと思ってくれた味を、ブレずに安定して再現できるよう気をつけています。あとは焙煎以外の話になりますけど、何度ご来店いただいても飽きさせないようなお店作りも心がけています。お店の個性を出すために、僕の好きなカエルのインテリアを飾ったり、植物を取り入れるようにしているんです。

 

——な、なんでカエルと植物なんですか? もしかして緑色が好きとか?

戸田さん:おっしゃる通り、緑色は僕の好きなカラーなんです。だから器具も緑色のものが多くなっちゃうんですよ。あとはカエルって愛嬌があっていじられキャラなところが、自分に似ているような気がして親近感が湧くんです(笑)

 

 

——戸田さんはいじられキャラなんですね(笑)。植物にも何か思うところがあるんでしょうか。

戸田さん:僕は山形から新潟に移ってきたので、自分のなかに「よそ者」という意識があって、地元の方々に対して少し負い目を感じているところがあるんです。そんなこともあって、深層心理では「新潟に根ざしたい」という思いがあるのかもしれませんね。

 

——でも、ほとんどの植物がエアプランツだから根っこがないのでは……?

戸田さん:あっ! 言われてみればそうですね(笑)

 

 

——そんなところが、いじられキャラなんですね(笑)

戸田さん:(笑)。あとエアプランツばかりなのには訳がありまして……。植物とコーヒー豆を組み合わせたかったんですけど、根のある植物ってコーヒー豆では育てることができないんです。植物が好きな方にもご来店いただいて、コーヒーを好きになっていただけたら嬉しいですね。

 

——将来はコーヒーだけじゃなく、日本料理や日本酒も提供するお店にしていこうと思っているんですよね。

戸田さん:「Finder Coffee」でいろいろな経験を積んで、いつかは実現したいですね。今も月に1〜2回は、日本酒とお料理を楽しんでいただくイベントを開催しているんです。コーヒーを蕎麦猪口でご提供したり、お猪口で試飲していただいているのも、日本料理への思いの表れなんですよ。

 

 

 

Finder Coffee

新潟市中央区東中通2-288-2 マンション司1F

090-2885-5029

11:00-16:00

月火金曜休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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