グルテンフリーのお菓子が楽しめる
「米粉シフォンのお店 chuchu」
食べる
2026.06.25
新潟市江南区の閑静な住宅街に「米粉シフォンのお店 chuchu」という名の小さな洋菓子店があります。米粉を使ったシフォンケーキをはじめ、店内には美味しそうな焼菓子がずらり。日曜のみオープンするお店におじゃまして、店主の西方さんからお菓子のこだわりを聞いてきました。
西方 貴子
Takako Nishikata(米粉シフォンのお店 chuchu)
1964年福島県生まれ。大学卒業後は東京と新潟の中学校教員として定年まで勤め上げ、2025年7月に「米粉シフォンのお店 chuchu」をオープンする。
小さなお菓子屋さんの店主は、
ちょっと前まで中学校の先生だった。
――西方さんは、今までずっとお菓子づくりに関わる仕事をされてきたんですか?
西方さん:お菓子づくりの仕事を経験したことはなくて、ずっと中学校で理科の教員をやってきました。
――そうだったんですね。どんなきっかけで先生になったんでしょうか?
西方さん:中学生のとき、友達に勉強を教えていたら、先生から「教えるのが上手だね」と言われて。それをきっかけに教師という仕事を意識するようになりました。数学がいちばん得意だったので数学の先生になりたかったんですけど、理科を勉強し直してみたらその面白さに気づいたので理科の先生になることにしました。
――中学生って難しい年頃ですよね。教員としてのお仕事は大変じゃなかったですか?
西方さん:心が通わない生徒もいて難しさも感じましたけど、とことん話せば分かり合えることを知りました。卒業式は苦労した分感動も大きくて、その感動を味わいたくて教師をやっていたのかもしれません(笑)。良くも悪くもその子の人生に影響を与えるので、責任を感じつつ、素晴らしい仕事だと思っていましたね。
――やり甲斐を感じながら、ずっと続けてきたわけですね。
西方さん:「米粉シフォンのお店 chuchu」をオープンしてからも、教え子が店に来てくれるんです。それこそ、当時はやんちゃしてた子までお菓子を買っていってくれます(笑)。自分が先生としてやってきたことは間違ってなかったのかなと思えるし、本当にありがたいですね。

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退職してからも働いていたくて、
自宅の敷地で洋菓子店をオープン。
――お菓子づくりはどこで学ばれたんですか?
西方さん:私には三つ子の子どもがいて、子どもたちのおやつのためにお菓子づくりをはじめたらハマってしまって、通信講座を受けながらお菓子づくりを勉強しました。
――それで退職後はお菓子屋さんを?
西方さん:マグロと一緒で動いていないとダメなタイプなので、退職してからも働いていたかったんです。以前からお菓子をつくっては職場の方々におすそ分けしていて「お菓子屋さんを開いたら?」と勧められていて、ずっとやってみようかなと考えていたので勢いでオープンしました(笑)
――勢いは大事ですよ。ご自宅の敷地に店舗を新築されたんですね。
西方さん:もともと庭があったスペースを駐車場と店舗にしました。ドアの色は真っ赤にしたかったんですけど、諸々の事情で深緑に落ち着き、外壁もイメージしていたものとは異なりましたが、お客様からは好評なので良かったと思っています。
――他にもオープンする前と後で、イメージと違ったことはあるんでしょうか?
西方さん:店舗内に2台設置した冷蔵庫だけでは足りなかったので、自宅に新しくもう1台追加しました。自宅と店舗を行き来しながら何とかやっています(笑)

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アレルギーの苦しみを味わうことなく、
美味しいお菓子を味わってほしい。
――お菓子にはすべて米粉が使われているそうですけど、それはどうしてなんでしょう?
西方さん:私はずっと肌荒れや倦怠感、お腹が張るといった症状に40年間悩まされてきました。でも息子から小麦アレルギーの可能性を指摘されて、半信半疑で小麦粉の代わりに米粉で代用してみたら、長年悩まされてきた症状が改善されたんです。そこで同じ悩みに苦しんでいる方のために、米粉を使ったお菓子の店をオープンしました。
――お菓子の原料を小麦粉から米粉に変えることで、配合や製法も変わってくるんでしょうね。
西方さん:もちろん変わってくるので、つくりながら感覚をつかんでいったんです。米粉に限らず、クリームチーズやチョコレートを使ったシフォンケーキも配合で苦労しました。どちらも油分が多いのでメレンゲを壊してしまって、ふんわりと膨らまないんです。20回以上試作を繰り返して、配合や混ぜる順番、乳化の度合いを検討しました。
――理科の先生だけあって、実験は得意なのでは(笑)
西方さん:楽しいですけど難しいですね(笑)。砂糖の量がちょっと変わっただけでも、まったく違ったものが出来上がっちゃうんですよ。
――そんななかで生み出された、おすすめのシフォンケーキがあったら教えてください。
西方さん:米粉から進化して、生米を使ったシフォンケーキの販売をはじめました。コシヒカリのうるち米を水に浸してから、何度もミキサーにかけてペースト状にしたものを使うんです。手間はかかりますけど、よりしっとりもっちりした食感を楽しむことができます。今は「プレーン」だけですけど、いくつか種類を増やす予定です。
――どんな食感なのか気になります。ちなみに、シフォンケーキは何種類あるんですか?
西方さん:全部で50種類以上です。旬の素材を使った季節限定商品もあって、夏になれば枝豆、秋にはカボチャやサツマイモを使ったシフォンケーキを提供しています。お客様から飽きられずにお楽しみいただけるよう工夫しているんです。

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オープンから1周年を迎え、
身にしみて感じる難しさと嬉しさ。
――お店をオープンしてもうすぐ1年が経ちますけど、先生をやっていたときとは違いますか?
西方さん:商売って難しいなと感じますね。給料日後の天気がいい日だから、お客様が多いかと思うとそうではなかったり、雨や雪の多い荒れた天気の日にお客様が多かったりするんです。おかげですごく商品が余る日もあれば、足りなくなっちゃう日もあります。
――なかなか難しいところですね。
西方さん:でも、お客様から「美味しかった」と言ってもらえたり、リピーターになってくれたりするとその苦労も吹き飛びます(笑)
――お客さんは地元の方が多いんでしょうか?
西方さん:地元の方も来てくださいますけど、SNSを見て遠くから足を運んでくださる方も多いんです。SNSをフォローしてくれている、教員時代の同僚や教え子も来てくれます。
――SNSに力を入れているんですね。
西方さん:不慣れな私に代わって娘が頑張ってくれていて、目玉商品の紹介をしたり、頻繁に投稿してくれたりしています。ポップもつくってくれるし、いろいろとアドバイスもしてくれるので心強いです(笑)
――頼もしい味方ですね。最後に、これからやってみたいことがあれば教えてください。
西方さん:中学校に勤めていた最後の5〜6年は家庭科も教えていたので、その経験を生かしてオンラインのお菓子づくり講座をやってみたいですね。たくさんの方に米粉を使ったお菓子づくりを伝えて、誰もがお菓子を楽しめるようになってくれると嬉しいです。

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