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元ボクサーの家具職人が作る「Out Mount furniture」の木工製品。

弥彦山の麓に「Out Mount furniture(アウトマウントファニチャー)」という家具工房があります。そこで木工家具や小物を作っている外山さんは、元プロボクサーという経歴の持ち主。いったいどうして家具職人の道を選んだのか。どんな思いで木工製品を作っているのか。工房にお邪魔してお話を聞いてきました。

 

 

Out Mount furniture

外山 雅咲人 Masato Toyama

1982年西蒲原郡弥彦村生まれ。19歳でプロボクサーになり、23歳のときに家具職人に転向。糸魚川市の家具工房で修行後、2009年に独立し弥彦村で「Out Mount furniture」を開業する。以前はアフリカンバンドでパーカッション演奏を楽しんでいたが、今は家具作りと子育てが楽しみ。

 

プロボクサーを通して身についた、根性とチャレンジ精神。

——今日はよろしくお願いします。

外山さん:こちらこそ、よろしくお願いします。自分は恥ずかしがり屋だし、しゃべるのも得意じゃないんだけど……それでもいいんでしょうか?(笑)

 

——もちろん大丈夫です(笑)。外山さんは元プロボクサーだったんですよね。まずはボクシングをはじめたきっかけから教えてください。

外山さん:子どもの頃に読んだ『がんばれ元気』っていうボクシング漫画がずっと記憶に残っていて、小学生のときの文集かなんかに「プロボクサーになりたい」って書いたんです。そういうときって「ボクシングで世界チャンピオンになりたい」って書く子どもが多いのに、自分は夢がないっていうか、器が小さいっていうか……(笑)

 

——いやいや、堅実で正直なんだと思います。それから「ボクサーになりたい」っていう気持ちをずっと持ち続けていたんですね。

外山さん:ところが、そうでもなかったんです(笑)。家を出て自立したいという気持ちがとにかく強かったので、わりと早いうちから関東に出て働いていたんですよ。そのとき、たまたまボクシングジムを見つけて、子どもの頃の気持ちを思い出して。それでジムに入門してプロボクサーになったんです。

 

——プロボクサーになってみて、いかがでした?

外山さん:やってみたら、自分には合わなかったですね(笑)

 

——(笑)

外山さん:そもそも人を殴るのが嫌で仕方なかったんです。でもボクシングをやっていたおかげで健康になりましたし、何よりチャレンジ精神や根性が身についたと思っています。

 

 

——ボクシングをやめてからのその後は?

外山さん:いろいろな仕事を試してみたんですが「これだ!」と思えるものになかなか出会えなかったんです。でもある日、 棚がほしかったので DIYしてみたんですよ。そしたら朝から晩までぶっ通しで続けるほどハマっちゃって……。自分の集中力に驚いてしまって「これはもう家具職人になるしかない!」って思いました。

 

——おお、熱中できることが見つかったんですね。家具作りはどこで勉強したんですか?

外山さん:木工家具の製造会社に勤めて、糸魚川の山奥にある工房で働き始めました。でも家具を作る部署じゃなくて、塗装の部署に回されちゃったんですよ……。

 

——じゃあ、家具を作る仕事には関われなかったんですね。

外山さん:はい。だから塗装の仕事が終わった後に残業して、夜中の3時くらいまで家具作りの自習をしていました。給料が安くて道具や材料が買えなかったから、工房に落ちている使いものにならないようなノミやカンナを研いで使ったり、ゴミ箱に捨ててある木切れを材料にしたりしていましたね(笑)。だから今でも木をパッチワークしたような小物が得意なんですよ。

 

 

——なかなか苦労して家具作りを覚えたんですね。

外山さん:自分ひとりでやっていたら途中で辞めていたかもしれませんね。一緒に家具作りの勉強をしていた、同い年の同僚がいたんですよ。彼に教わりながら家具作りを勉強したので、続けることができたんだと思います。飲んでいるときも愚痴ひとつ言わない前向きなやつで、彼の人間性や考え方にはいろいろ影響を受けましたね。

 

面倒で納期がない仕事ほど、挑戦しがいがある。

——「Out Mount furniture」をはじめたいきさつを教えてください。

外山さん:家具職人の修行を終えて弥彦に戻ってきてから、地元周辺の塗装屋さんや設備屋さんの手伝いをしていたんです。そのうち、どんどん仕事を頼まれるようになったので、自分で「Out Mount furniture」をはじめることにしました。最初のうちは「クラフトフェア」というイベントにも出店して、木工製品の展示販売をしていたんです。そしたら会場に来ていた木工業者の目にとまって、その業者から下請けの仕事をいただけるようになりました。

 

——それはラッキーでしたね。どんな仕事を頼まれるんですか?

外山さん:うーん……。実はあんまり覚えてないんです(笑)。終わった仕事は忘れるようにしているもんで。そうしないと、次に作るものが影響を受けちゃうというか……。でも他の下請け業者が嫌がる仕事が回ってくることが多いかな(笑)

 

——下請けの仕事だとそうなりがちですよね(笑)。あんまり下請けの仕事はしたくないでしょ?

外山さん:いいえ、下請けの仕事の方が、自分では考えつかないような図面の物を作ることができて、楽しいし勉強になるんです。あと作るのが面倒だったり納期がない仕事ほど、挑戦しがいがあって燃えるんですよ(笑)

 

 

——そのへんにボクシングで培ったチャレンジ精神が感じられますね。下請け以外に、個人から依頼された仕事も受けるんですか?

外山さん:はい、オリジナル家具や小物の製作、家具のリフォームを請け負います。木のぬくもりを感じられて、暮らしに寄り添うような家具を作っていきたいですね。そのために木の特性を生かした家具作りを心掛けています。

 

 

——木の種類によって、性質に大きく違いがあるんですね。

外山さん:ありますね。割れやすいものとか反りやすいものとか……。硬い木より柔らかい木が作りやすいかっていうとそうでもなくて、柔らかくて作りにくいときもあるんです。木の種類によって使う刃物も違ってくるんですよ。あと庭木や立ち木からの家具作りにも対応しています。

 

 

——庭木からというと?

外山さん:ご自宅の庭に生えている思い入れのある樹木を伐採して、それを使った家具を作らせていただきます。あと山を守るために伐採した小径木(しょうけいぼく)を使って、家具や小物を作っていきたいとも思っています。それがエコな取り組みにつながってくれたらうれしいですね。

 

 

——材料になる木のことを考えた家具作りなんですね。他にもやりたいことってあるんですか?

外山さん:奥さんが糸鋸盤を使えるようになったので、木工小物にもっと力を入れていこうと思っているんです。彼女は幼稚園の先生をやっていたから、子どもたちに木工体験をしてもらうワークショップなんかも開催していけたらと思っています。作る楽しみや木の魅力を、子どもたちに知ってもらえたらうれしいですね。

 

 

外山さんが作る家具や小物は、どれも木のあたたかさやぬくもりが感じられ、家にあったら暮らしがちょっと変わるんだろうなと思わせるものばかりでした。もし、思い入れのある家具が壊れてしまったら、外山さんに相談してみてはいかがでしょうか。きっと素敵な家具に生まれ変わって、ずっと一緒に暮らせると思いますよ。

 

 

Out Mount furniture

西蒲原郡弥彦村美山327

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