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常連のお客さんと共に歩んできた純喫茶「コーヒー&スナック ペペ」。

若い世代の間で、昭和レトロな純喫茶の人気が続いています。昔ながらの凝った装飾が新鮮に映るということも、人気の秘密なのかもしれません。今回紹介する「コーヒー&スナック ペペ」は、長岡市にある老舗の純喫茶です。お店を訪ね、ママの風間さんにお話を聞いてきました。

 

 

コーヒー&スナック ペペ

風間 章子 Akiko Kazama

1946年小千谷市生まれ。飲食業を経験した後、1971年に「コーヒー&スナック ペペ」をオープン。韓国ドラマを見るのが最近の日課。

 

知らないうちに広くなっていた新店舗にびっくり。

——とても懐かしい気持ちにさせてくれる喫茶店ですね。いつから続いているお店なんですか?

風間さん:お店をはじめたのは昭和46年だけど、火事にあって建て替えているからこの建物は40年くらい前からかな。前のお店はもっとこじんまりしていて動きやすかったのに、建て直したらこんなに広くなっていてびっくりしたのよ。

 

 

——えっ、 風間さんは建て替えるとき間取りをご存知なかったんですか?

風間さん:主人と業者さんに全部任せていたから、私はリニューアルオープンの前日まで現場に来たこともなかったし、図面すら見ていなかったの。前のお店は小さくてお客さんがたくさん入らなかったから、主人が私に相談もしないで広げたんだけど、急に広くなったおかげで私は大変だったね。「小さな親切、大きなお世話」って感じ(笑)

 

——(笑)。でも、いい材料を使ってしっかり造ってあるし、かなりお金をかけて建てたんじゃないですか?

風間さん:そうだろうね。私が仕事できる間はどこも修繕しなくていいように、しっかり造ってくれたんだと思う。中越地震が起こったとき、もし建物が壊れていたらお店を畳もうと覚悟していたけど、幸い被害は軽く済んだから今まで続けてこられたんだよね。そこは主人に感謝しているよ。

 

 

——それはすごい。

風間さん:ただ、地震のときはここら一帯の電気が2週間以上も停まってしまったから、店内の片付けをしながらプロパンガスと水道だけで営業してたわね。トースターは使えなかったから、トーストとかグラタンとかは作れなかった。あんまり長い間電気が停まっていたから、忘れられているんじゃないかと思って電気会社に電話したのよ(笑)

 

——建物は無事でも、やっぱり地震の被害は大きかったんですね。

風間さん:昔は夏になると夜でも出歩く人が多かったから、夜中の2時まで営業していたこともあったのよ。でも、地震以降は夕方を過ぎると車通りがぱったりなくなったね。地震だけじゃなくて、各家庭にエアコンが普及したり、バイパスができたり、いろんな原因があるんだろうけど……。まあ、時代が変わったんだろうね。

 

仕事が好きだから、50年以上続いてきた。

——50年以上営業していると、長い間続いているメニューもありそうですね。

風間さん:「ピザ風ナポリタン」は30年くらい前から続いていて「ナポリタン」と並ぶ人気メニューだね。最初はまかない料理だったんだけど、興味を持ったお客さんに食べてもらったら好評だったの。それでお店で出したら人気メニューになったんだよね。

 

 

——30年も続いているのってすごいですね。

風間さん:私は料理が得意じゃないし、あんまり新しいことをやる方でもないの。だからメニューはほとんど変えずに続けてきたね。

 

——なるほど。変わらないことが、お店が長く続けていける秘訣かもしれませんね。お店を営業する上で、こだわっていることってあるんですか?

風間さん:う〜ん、そんなにこだわるようなお店じゃないからねぇ……(笑)。まあ、開店時間をきちんと守るようにしてることかな。私はだいたい開店の20分前には来ているから、開店前でも店に明かりがついていると常連のお客さんが入ってくるのよ。

 

——長く続いてきたお店だけに、常連のお客さんは多いんでしょうね。

風間さん:創業のときから50年以上通ってくれているお客さんもいるからね。常連さんからは「おめえはお客に憎まれ口きいて金取ってるんだっけ、いい商売だな」なんて冗談言われている、みんなには本当に感謝してるね。

 

 

——風間さんの人柄が、お客さんを引き寄せるんじゃないでしょうか。

風間さん:そういうもんだろっかね(笑)。長い間お店をやっていると、最初は独身だったのに結婚して子どもを連れて来てくれて、最後は孫も連れて来てくれることもあるからね。そういう長い付き合いって嬉しいよね。

 

——老舗だから感じることのできる喜びですね。

風間さん:この前も六日町から来てくれた、年配の夫婦と娘さんがいたの。昔はよく来てくれていたお客さんなんだけど、久しぶりに寄ってくれて「おめさん、元気らったかね」なんて声かけてくれたのは懐かしかったね。当時は子どもだった娘さんも、すっかり大人になっていたわ。

 

——いろいろな出会いも多いんでしょうね。

風間さん:まあ、この仕事が好きだから、こんなに長く続けてこられたんだろうね。とにかく私は人と話すことが好きなんだわ。これからもお店と私が続く限り営業していきたいね。

 

 

 

コーヒー&スナック ペペ

長岡市片田町998

0258-22-2900

8:00-19:00

不定休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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