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新潟の高校サッカー史を塗り替えた、「帝京長岡高等学校サッカー部」の今。

2年連続で全国高校サッカー選手権大会ベスト4(3位)に進出した「帝京長岡高等学校サッカー部」。その躍進に胸を熱くした新潟県民も多いのではないでしょうか。高い技術のパスワークや精密なセットプレー、攻守の切り替えにおけるハードワークなどで、たくさんの人を魅了しました。今回は、そんなサッカー部の先頭に立って指揮を執る古沢監督に、帝京長岡高等学校のサッカーについて聞いてきました。

 

帝京長岡高等学校サッカー部

古沢 徹 Toru Furusawa

1985年三条市生まれ。帝京長岡高等学校卒業後、帝京大学に進学。在学中より帝京長岡高等学校サッカー部の指導に携わり、2008年に教員として勤務。サッカー部コーチを5年間務めた後、2013年より監督に。現役当時はMF(ミッドフィールダー)。

 

個性を大切にするために、相思相愛で入部してもらうことが大切。

――今回の全国高校サッカー選手権大会でも、たくさんの感動をありがとうございました。まずは「帝京長岡高等学校サッカー部」というチームについて教えてください。現在は何名の部員が在籍しているんですか?

古沢監督:1~3年生まで合わせると126名の部員が在籍しています。来年度は55名の入部が決まっているから、150名を超える部員数になる予定です。ここ数年の結果もあって県外からの選手も多いですが、下部組織の「長岡JYFC(ジュニアユースフットボールクラブ)」からの選手などを中心に、新潟県内の選手たちを基本として「帝京長岡高等学校サッカー部」は形成されています。

 

――来年度は150名……。けっこうすごい人数ですね。「入部したい」って生徒は、誰でも受け入れてもらえるんですか?

古沢監督:実は……、ありがたいことに県外からの問い合わせを含めると、入部希望者は数百名に上りました。その全員を受け入れてしまうと、夢を見て遠くから来てくれているのにスタッフが足りなかったり、グラウンドの広さにも限界があって練習ができなかったりするので、人数をしっかりと決めて、お断わりもすることにしたんです。

 

 

――なるほど確かに限界がありますよね。ちなみに、どうやって選考をしているんですか?

古沢監督:今年からは、うちのサッカーに興味を持って「ここでやりたい」と思ってくれる選手に、一度練習に参加してもらって技量などを見させてもらい、それから面談を行っています。実際の練習や環境を肌で感じてもらって、3年間厳しい環境で頑張れる選手には入部承諾書を渡します。この書類があることで入部が許可されたことになるんです。

 

――セレクションがあるってことですね。

古沢監督:はい。お断りをした選手の中には、きっとライバルになる子もいると思います。でも、人数が多くて個性を出せないとうちの教育としては良くないので、相思相愛で入部してもらうことが大切なんです。

 

帝京長岡高等学校サッカー部は、文武両道があってこそ。

――古沢監督も帝京長岡高等学校サッカー部のご出身ですよね? 当時から引き継がれてきた伝統ってありますか?

古沢監督:やっぱり、「サッカーだけやっていればいい」という教えで育ってきてはいない点ですね。提出物がきちんと出ていなかったり、授業態度が悪かったりすれば、いくらレギュラーであっても遠征には連れて行かないし。まずは学校生活や身の回りがあってのサッカーですからね。

 

――そういった面では、サッカーの指導者としてだけでなく、古沢監督自身が教員という目でもしっかり選手たちを見ていると。

古沢監督:そうですね。普段の生活が見えるのは教員ならではだと思います。いくらピッチで良いプレーをしても、ピッチ外でしっかりしていなければ、1年生でこれから良い選手になりそうだと思っていてもなかなか伸びていきません。卒業後は、アメリカの世界大学ランキングトップクラスのUCバークレー大学に進学する子や、国内では有名私立大学(早稲田大学、明治大学、中央大学等)に進学する生徒もいます。3年生になり志望校が明確になってから慌てて勉強を頑張っていても遅いことのあるので、1年次から勉強にも力を入れさせているんです。その結果、成績がオール5の生徒がいるなど、学業の成績も残せる生徒が多くなってきています。サッカーも勉強も努力を積み上げていくというところでは、似ている部分なのかなと。本校サッカー部では、今まで以上に文武両道をしっかりと根付かせていきたいです。

 

 

――練習以外の部分で、選手たちに指導していることはありますか?

古沢監督:3年生は次の世界に進むと新人に戻ります。だから、部活動をしていく中での準備とかいろいろな仕事については、3年生が主にやるようにしているんです。1年生は右も左も分からないのに「この準備はどうだ」とか言われても、学校生活に慣れるまでにストレスがかかってくるから、なるべくのびのびと練習できるようにしてあげて、その分、3年生が仕事をする。そして2年生は、その仕事を手伝う。普通のサッカー部とは真逆の体制を作っていますね。

 

――「1年やっとけー」みたいな感じとは逆ですね。試合を観ていると下級生が多いように感じていました。もしかしてその体制って、ピッチでも同じですか?

古沢監督:上級生になったら責任と自覚の違いを見せつけて欲しいと思っているので、「同じレベルだったら下級生を積極的に使う」って選手たちには伝えています。だから1年生でレギュラークラスだとしても、2年生になったら出場機会が少なくなる選手もいるし。そこで気がついて努力をして、また3年生でピッチに戻って来ることもあります。もちろん、3年間しっかりと努力を積み重ねて、ずっとレギュラーでいる子もいます。

 

もっと走って。もっとボールを大切にして。日々追求。

――古沢監督が求める選手像はありますか?

古沢監督:感謝や自己表現、規律、向上心、模範などの12箇条からなる基本理念が、帝京長岡高等学校サッカー部にはあります。これらを常に追い求めて欲しいと思っているので、「1~12の基本理念を追い求めないと部員じゃないよ」って選手には伝え続けているんです。だから選手には「今、基本理念はいくつ当てはまっている?」って質問をします。もしその数が少なかったりとか、あるいは新聞に掲載されたり日本代表に選出されたぐらいで感謝の気持ちがなくなるようであれば、僕はピッチには入れませんね。

 

――ポリシーを大切にされているんですね。練習には、何か特徴があるのでしょうか?

古沢監督:自分は監督という立場上、ベンチに入って選手たちと一緒に試合をさせてもらっています。だから「あの場所に戻る」というイメージを共有しながら、練習のための練習はさせないように、1日1日を全力で、全身全霊でトレーニングを遂行するようにしているんです。それが「帝京長岡高等学校サッカー部」らしいトレーニングだと思っています。

 

 

――「あの場所」というのは、3位まで躍進したあの全国の舞台に、ってことですよね。

古沢監督:「2回、3位になった」のではなくて、僕は「2回負けた」と思っています。進化していないということなんです。だから去年の良かったところに、今年の良かったところをプラスしていくことに尽きると思います。OBたちが作ってきた個性のあるスタイルをブラッシュアップしながら、日々追求していくことが結果につながるはずです。だからもっと走らなければいけないし、もっともっとボールを大切にしないといけない。そう考えて、選手たちと同じ気持ちで臨んでいます。

 

――またあの場所で、熱いプレーを観られる日を楽しみにしています。それでは最後に、帝京長岡高等学校サッカー部に憧れるサッカーキッズたちにメッセージをお願いします。

古沢監督:帝京長岡高等学校サッカー部は、来てくれている選手に合わせてサッカースタイルを作り上げています。だから、「ここでサッカーをしたい」という強い想いの集まりが、今のサッカー部なんです。右へならえで同じような選手は育てたくないし、そういう選手を集めてもいません。自分の良さを追求して練習していくことで、将来の選手像に近づいていくはずです。日々追求。頑張ってください。

 

 

 

帝京長岡高等学校

新潟県長岡市住吉3-9-1

0258-36-4800

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