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立ち飲みの楽しみ方が見つかる。古町の「スタンドおだけ」。

昨年6月に古町の9番町にオープンした「スタンドおだけ」は、立ち飲みというカジュアルなスタイルでありながら、こだわった料理と幅広い種類のお酒が楽しめる居酒屋です。今回は店長の小田さんに、立ち飲みのお店をはじめた理由や、料理のこだわりなどいろいろとお話を聞いてきました。

 

 

スタンドおだけ

小田 隼風 Hayate Oda

1981年村上市生まれ。7年前、知人が主催するイベントで奥さんと一緒に飲食店を出店。それをきっかけに「Food studio ODA家」の名前で「沼垂朝市」など、さまざまなイベントに出店するようになる。昨年6月に、古町9番町で立ち飲み居酒屋「スタンドおだけ」をオープン。ダンスミュージックが好きで、音楽フェスに出店を兼ねて参加することが楽しみ。

 

建設の仕事をしながら続けてきた、イベントでの出店活動。

――まずは小田さんのことを教えてください。こちらのお店をはじめるまではどんなお仕事をされていたんですか?

小田さん:建設業です。足場を組んだり鉄骨を組み立てたりする仕事を11年やっていました。

 

――どんなきっかけで飲食のお仕事をはじめようと思ったんですか?

小田さん:昔から奥さんと一緒に音楽フェスによく行っていて。フェスっていろいろな飲食店が出店しているじゃないですか。買ったご飯を外で食べたりテントに持ち帰ったりするんですけど、だいたい冷めてしまっているんですよ。もともと料理を食べるのも作るのも好きだったので、奥さんと「自分たちならもっとこうしたいね」って話をしていました。

 

――ふむふむ。

小田さん:そんなときに地元の先輩から「イベントに出店してみないか」っていう話をもらったんです。それがきっかけになって、平日は建設の仕事をしながら、休みの日になるとふたりで野外イベントに飲食店を出すようになりました。それが7年前です。

 

――平日は別の仕事をしながらって、大変じゃなかったですか?

小田さん:自分の仕事のほとんどが出張だったので、週末に帰って来られそうなときに合わせてイベントがあれば応募していました。土曜日に帰ってきたらすぐに仕込みをして、そのまま出発。日曜日に出店して、月曜日にはまた出張に出るっていうのをずっと繰り返していましたね(笑)。最初は趣味程度ではじめたんですけど、徐々に大きいイベントにも出店するようになりました。

 

周囲に反対されても、立ち飲みスタイルのお店にこだわりたかった。

――イベント出店で経験を積んで、昨年6月に「スタンドおだけ」をオープンされたわけですね。立ち飲みのお店にしようと思ったのはどうしてですか?

小田さん:僕は出張族だったので、ビジネスホテルに泊まることが多かったんです。それで、「ご飯は食べられないけどお酒は飲みたい」っていうときに立ち飲み屋によく行っていました。大阪や京都、仙台とかって立ち飲み屋がいっぱいあるんですよ。「こういうお店が新潟にもあったらいいのに」って思ったし、自分が行きたくなる店を作りたかったのでこういうかたちになりました。だけどはじめるとき、周りにはすごく反対されましたね(笑)

 

――「立ち飲みはやめたほうがいい」と?

小田さん:そうです。「新潟の、しかも古町で無理だよ」って。だけど自分が「やる」って決めたことを中途半端にやりたくなかったし、「じゃあ失敗しないようにどう努力するか」だと思って。それから自分たちで大阪に足を運んで勉強しました。現地でやっていることをそのまま新潟に持ってくるんじゃなくて、自分たちの色をつけた立ち飲み屋をやることにしました。

 

 

――なるほど。どういうところをアレンジしたんですか?

小田さん:立ち飲み屋といえば、ビールやサワーをメインにしているところがほとんどだと思うんです。だけどうちではワインも日本酒も芋焼酎も飲めるんです。「何がウリなの?」って聞かれますけど、「立ち飲み」がウリなんですよね。

 

――といいますと?

小田さん:例えば普段はワインを飲む人でも、日本酒が目に入ると「今日は1杯だけ日本酒も飲んでみようかな」って思えるじゃないですか。そうするとお互いが架け橋になって、これまではあまり飲まなかったお酒を好きになる階段の1段目を踏み出せるんです。そういう店って大阪に行ってもあまりないんですよね。おつまみも、置いているものの中から合うものを自分で探して見つけてもらっています。

 

 

――メニューについても教えてください。入口ののれんにも書いてありましたけど、「にゅうめん」がある居酒屋って珍しいですよね。

小田さん:ラーメンとか、どこにでもあるメニューはやりたくなくて、やるならぶっとんだことをやりたいんです(笑)。だから「にゅうめん」をはじめました。「温かいそうめん」っていうイメージだと思うんですけど、うちでは鶏からしっかり出汁を取って、ネギとかの薬味を合わせています。音楽フェスだと夜通しお酒を飲んで、踊って、テントで寝て、次の日は二日酔いになる人が多いんですけど(笑)。にゅうめんならそういう人でも食べられるかなと思って。

 

――ご自身の経験からヒント得てメニューを考えられているわけですね。他にもおすすめのメニューを教えてください。

小田さん:「鶏肉飯」はイベントに出店するときにも出しています。台湾風のご飯で、八角がきいています。他のメニューもスパイスを使っているものが多いですね。

 

 

――お刺身も、ただのお刺身ではないみたいですね。

小田さん:醤油を付けて食べるだけなら他のお店にもあるし面白くないなと思って、ちょっと変わったかたちで出しています。ブリをクレソンと合わせるために黒酢のタレを使っていて、そこに山椒オイルをかけています。「ごまカツオ」は、九州でよく食べられている「ごまサバ」という料理を参考にしたもので、カツオを胡麻のタレで合えています。すごく人気ですよ。

 

――お酒が進みそうですね。置いているメニューはよく変わるんですか?

小田さん:定期的に変えています。今あるものもオープン時とはまったく違うものになっていますね。お客さんと追いかけっこしている感じです(笑)。旬のものを旬のうちに使うようにしているのと、「普通は合わせないでしょ」っていうものを組み合わせて作るようにしています。

 

 

――小田さんがお店をやっていて嬉しいのはどんなことですか?

小田さん:同じお客さんが週に4回来てくれたり、どこかに行く前にうちに寄って、また帰りに寄ってくれたりするのが嬉しいです。今は15時から店を開けているので、18時から他のお店を予約している人がそれまでの時間うちで飲んでいくこともあります。

 

――立ち飲み屋さんならではのことですね。

小田さん:だけど今後はそういう使い方だけじゃなくて、「ここのご飯すごく美味しいじゃん」「他の料理も頼みたい!」って思ってもらえるようになりたいですね。うちをメインとして使ってもらえるようになったら勝ちだと思っています(笑)

 

新潟の人たちの立ち飲みのイメージを変えていきたい。

――小田さんは「スタンドおだけ」を通じて、どんなことを発信していきたいですか?

小田さん:「立ち飲み屋」って聞くと、簡単な料理が出てきて安くてあんまり綺麗じゃないみたいな(笑)。新潟ではそういうイメージを持っている人が多いと思うんです。だけど今の大阪とか京都の立ち飲み屋はぜんぜん違うんですよ。手の込んだ料理が出てくるし、おしゃれにしているし。そこに若い人も年配の人も一緒になってお酒を飲めるっていうところがいいんです。

 

――きっとお客さん同士の交流が生まれやすい環境ですよね。

小田さん:頼み方が分からなければ教えてあげるとか、他人同士が話をするようになるんですよね。そういう文化を新潟でも作っていきたいです。「立ち飲みはこういうもの」「新潟でやるならこうじゃなきゃだめ」とか、そういうものを壊していきたいと思っています。ラフに楽しんでもらえるようにして、もっとお店を賑やかにしたいですね。

 

 

 

スタンドおだけ

新潟県新潟市中央区古町通9番町1473−3

09038681473

15:00-22:00

不定休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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