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美しい色づかいで風景を描くイラストレーター「筒井早良」。

新発田市にある人気パン屋さん「ぱろぱとBAKERY」。美味しそうなパンが並ぶ店内のいたるところに、なぜか動物のイラストレーションをよく見かけます。実はこのイラストレーション、ご主人の店を手伝うかたわらイラストレーターとして活動している、奥さんの筒井早良(つついさわら)さんによるものなんです。今回は筒井さんにいろいろなお話を聞いてきました。

 

 

筒井 早良 Sawara Tsutsui

1980年新発田市生まれ。大阪の調理師専門学校で料理を学び、フランス校へ留学。帰国後は東京のカフェやフレンチレストランで働きながら「イラストレーション青山塾」「MJイラストレーションズ」でイラストレーションを学ぶ。東京でイラストレーションの仕事をしていたが、現在は新発田市でイラストレーターとして活動するかたわら、ご主人の経営する「ぱろぱとBAKERY」のデザインワークなども手掛けている。「illustration ザ・チョイス」「第1回 東京装画賞2012」などに入選。

 

広い世界が見たくて地元を飛び出し、大阪、そしてフランスへ。

——筒井さんは昔から絵を描くことが好きだったんですか?

筒井さん:はい。子どもの頃から絵を描くのが好きだったんですけど、自分の仕事にできるとは思ってもいませんでした。

 

——じゃあ最初は全然違う仕事をしていたんですか?

筒井さん:そうなんです。ずっと地元で飲食店のアルバイトをしていて、「地元から出たい」という思いが爆発して、大阪にある調理師専門学校に行ったんです。もっと広い世界を見てみたいと思ったんですよね。

 

——それで、とりあえず調理師を目指したんですね。

筒井さん:でも、食に対しての興味はあったけど、目指したっていうほどでもなかったのかもしれないですね(笑)。とにかく手に職をつけたいっていう感じだったのかも。フランスに行ってみたいと思っていたのでフランス料理をメインに勉強して、1年後にはフランス校に留学しました。

 

——へ〜、フランスで料理の勉強をしてきたんですか?

筒井さん:はい。最初の半年は専門学校で学んで、残りの半年はインターンみたいにお店で働きながら勉強するんです。私はぶどう畑の中にあるホテルに住み込みで調理の仕事をしました。仕事はハードだったんですけど、パリに近い場所にあったので、プライベートな時間はパリにある美術館を巡って、日本ではなかなか見ることができないような名画に触れることができたのは幸せでしたね。

 

——料理の仕事よりもアートの方で充実していたみたいですね(笑)

筒井さん:そうかもしれないですね(笑)。パリの街並みはとっても綺麗なので、歩いているだけでも刺激を受けて自分の糧になるんですよ。日本だとアスファルトだらけで黒いイメージですけど、パリの街は石畳だったので明るく感じましたね。

 

自分を発信するために、調理師からイラストレーターへ。

——日本に帰国してからはどんな生活を送っていたんですか?

筒井さん:フレンチレストランやカフェでアルバイトしていました。広い世界を見てみたいと思って地元を出て、大阪、パリ、東京を見てきたことで目標をひとつ達成したような気持ちになっていたんです。それで自分が次に何がしたいのか見失いかけていたときに、東京で自分を発信することができないかと考えるようになったんです。そこで思い出したのが、昔から好きだった絵のことでした。

 

——なるほど。絵を使って自分を発信しようと思ったんですね。

筒井さん:ただ、それまでは趣味として絵を描いてきただけだったので、自分の絵が他人から見てどうなのかわからなかったんです。それで「イラストレーション青山塾」っていう、社会人向けのイラストスクールで学ぶことにしました。作品に対してのアドバイスをいただけたり、「イラストレーションとは何か?」といったことを教わったり、塾生同士もお互いに刺激し合えて成長できたんじゃないかって思えます。

 

 

——でもイラストレーターっていうのは、どうしたらなれるんですか?

筒井さん:ギャラリーや雑誌のコンペに投稿しまくりました(笑)。中でもイラストレーターの登竜門っていわれている『illustration』っていう雑誌の「ザ・チョイス」っていうコーナーに入選したことで、自分の作品の方向性が見えてきたと思います。

 

——そういうところで実績を作っていくわけですね。新潟に戻ってきたのは?

筒井さん:ふたり目の子どもが生まれるタイミングで、実家のある新発田に帰ってきたんです。主人も新発田で「ぱろぱとBAKERY」というパン屋をオープンすることになったので、私も店を手伝いながらイラストの仕事をしているんです。お店のロゴやキャラクター、パンのネーミングまで私がやっています(笑)

 

見たときに色が目に飛び込んでくるようなイラストを描く。

——今まではどんな仕事をしてきたんですか?

筒井さん:パンフレットや広告、書籍の装画やカットの仕事をやってきました。私のホームページや、登録しているイラストレーターのサイトを見て依頼がくることが多いですね。

 

——その中で印象に残っている仕事ってありますか?

筒井さん:うれしかったのは「出会いなおし」っていう書籍の装画に使っていただいたことです。作者の森絵都(もりえと)さんが作品を見て気に入ってくださって、表紙に採用していただいたんです。自分の描いたイラストが書店に並んでいるのを見て感激しましたね。

 

 

——それはうれしいでしょうね。筒井さんはどんな画材を使ってイラストを描いているんですか?

筒井さん:私はキャンバスやイラストボードに下地剤を使ってざらついた質感を出してから、アクリルガッシュで描くことが多いですね。ときどき鉛筆で描くこともあります。

 

 

——描くときのこだわりというか、心がけていることってありますか?

筒井さん:パッと見たときに色が目に入ってくるようなイラストレーションになるよう、色の組み合わせには気を使っています。イラストレーションを描くときはパレットに使う色を並べて、色を組み立ててから描くようにしているんです。

 

——モチーフはどのように選んでいますか?

筒井さん:自分の作品として描く場合は、街や自然といった風景だけを描くことが多いですね。人物が入ってきちゃうと説明的な絵になってしまうので、どちらかというと風景だけがそこにあるっていうイラストレーションの方が好みなんです。

 

——なるほど。あ、でも、パン屋さんの方では動物がたくさん登場していますね。

筒井さん:主人がやっている「ぱろぱとBAKERY」は、デザインワークのコンセプトが「動物達の住む《ぱろぱと村》にできたパン屋さん」なんです。その世界観を使った絵本やキャラクターグッズを展開していきたいと思っています。これからも自分の世界を発信していきたいですね。

 

 

 

筒井 早良

 

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