地元新聞の料理欄を13年間担当し続け、4,000種類ものレシピを紹介した料理研究家の梅田みどりさん。料理の楽しさを知ってもらいたいという思いから「フードサロンやさいのひ」を立ち上げ、料理教室を開催しています。今回は梅田さんに野菜料理やパン作りの魅力についてお話を聞いてきました。
フードサロンやさいのひ
梅田 みどり Midori Umeda
1967年上越市生まれ。株式会社やさいのひ代表。料理研究家。2003年「上越タイムス」にアルバイト入社し料理欄の担当となる。2012年に「フードサロンやさいのひ」オープン。料理教室、弁当・ケータリング業務、ベーカリー経営(現在は休業中)のほか、料理のレシピ本を4冊出版している。栗の皮むきなどの細かい作業が好きで、趣味はパッチワーク。
——今日はよろしくお願いします。「フードサロンやさいのひ」では、料理教室をやっているんですよね。どんな料理を教えているんですか?
梅田さん:はい。今開催しているのは「野菜のランチ教室」「季節のパン作り教室」「季節のケーキ教室」「バリエーションを広げる教室」です。すべて1回完結型になっていますので、受けたいときに気軽に申し込んでいただけます。特徴としては、どこの家庭でもがんばらずに作れる、季節ごとの食卓をイメージしたレシピを教えています。
——それぞれ、どんな風に教室を進めているんですか?
梅田さん:たとえば「野菜のランチ教室」では、1種類の野菜を使った料理を7品作るんですね。この教室では私が説明しながら料理を作るので、それを見学しながらメモをとったり、質問したりしてもらいます。最後は作った料理をみんなに食べてもらって、どんな味になるのか確かめてもらいます。だいたい30分〜40分くらいの所要時間です。
——なるほど、ほかの教室も梅田さんが作るのを見学するスタイルなんですか?
梅田さん:いえ、そのほかの教室では、各自またはグループで料理を作っていただきます。教わりながら自分たちで作ってみると、いろんな気づきや発見があるみたいですね。「季節のパン作り教室」「季節のケーキ教室」では作ったパンやケーキを家庭に持ち帰りしてもらえますので、家族に食べてもらうこともできます。だんなさんや息子さんから「お店で売ってるパンみたい」っていわれたと、よろこんでいた人も多いですね。
——こちらの料理教室のメリットを教えてください。
梅田さん:入会金はいただいていないので、1回だけでも参加してもらえます。それから、どこの家庭でも作れる料理を教えていますので、その日の夕飯として家に帰ってすぐに料理を再現することができます。家族から「おいしい」っていってもらえると、モチベーションも上がるみたいですね。
——サクッと来て、サクッと作れるって感じですね。習いに来るのはどんな方が多いんですか?
梅田さん:50〜70代の女性が多いですね。日々のあわただしさの中で、今まできちんと料理に向き合う余裕がなかったけど、やっと時間に余裕ができたから、しっかり料理をやってみようという人たちなんだと思います。
——意外と、今まで料理を作ってきた主婦の方が多いんですね。梅田さんが教室で教えるときに気をつけていることって何ですか?
梅田さん:それぞれの家庭ごとに料理を作る環境や時間が違いますので、そういうところを常に忘れないよう心がけて教えています。あと、料理に対する難しいイメージや苦手意識を取り除いてあげて、楽しく作れるように、料理を好きになってもらえたらいいですね。「野菜のランチ教室」のように、自分たちは作らずに私が作るのを見学するというスタイルも、案外メリットがあったりするんです。料理が苦手な方でも、他人と比べられたりすることがないので、安心して参加することができるんです。
——「フードサロンやさいのひ」では料理教室以外でもやっていることがあるんですか?
梅田さん:お弁当やオードブル、ケータリングのオーダーを受けてます。予約をいただく際にご予算もお聞きして、お料理の相談をしながらメニューを決めています。食物アレルギーにも対応していますので、そういうお客さんのご利用も多いですね。
——どんなときに利用されることが多いんでしょうか?
梅田さん:セミナー後の懇親会とか、大学、病院といった教育機関や医療機関からのオーダーが多いですね。あと、タレントさんが講演に来たときに上越市からオーダーが入ることがあります。ここに来て食べて行ったこともありますよ。私としては特別なときだけじゃなくて、もっと普段から利用してほしいんですけどね(笑)
——有名人御用達って感じですごいじゃないですか。そんなお弁当やケータリングでのこだわりってありますか?
梅田さん:季節感や手作り感のある料理を大切にしています。食材は業者さん任せにしないで、スーパーや産直市場に行って自分の目で見て買うようにしています。それから食材のよさを引き出すために味付けはシンプルにしているんです。あとは、作りたての料理を食べていただけるということが「売り」ですかね。
——梅田さんって以前はどこかで料理の修業をしていたんですか?
梅田さん:いいえ、普通の主婦でした。ただ、料理に対してのこだわりは強かったですね。既製品を使ったりはせず、すべて一から手作りすることにこだわって料理していました。パン作りにも挑戦したり。でも最初の頃は固いパンしか作れなくて失敗続きだったんです。ある日、ホームベーカリーで作るのをやめて、手でこねて作ってみたらうまく作れたんです。それまでは材料から分量まで本のレシピ通りに作っていたんですよ。でも、それで失敗していたんですね(笑)
——料理好きの主婦が、料理を仕事にしたきっかけはなんだったんですか?
梅田さん:2003年頃から「上越タイムス」っていう地元新聞社でアルバイトを始めたんです。ちょうど料理欄の担当者が辞めたばかりで、代わりの担当者を探していたところでした。それで次の担当者が見つかるまでのつなぎとして私が担当することになったんですけど、結局13年間も続いちゃったんですよ(笑)
——13年間も続けたのはすごいですね!大変だったんじゃないですか?
梅田さん:13年間のうち10年間は週6日の掲載でしたからね。ほぼ毎日レシピを載せているようなものですよね(笑)。だんだんネタも尽きてきてしまうんです。それでどうしようかと考えまして…野菜には季節感があるので、同じような料理でも季節ごとにバリエーションができるんですよね。そんなわけで野菜をメインに使ったレシピになっていったんです。最終的に4,000種類のレシピを紹介しました。レシピを考えることはもちろん、文章の書き方や写真の見せ方など、この仕事でいろいろ鍛えられましたね。
——その経験が現在にも生かされているんですね。「フードサロンやさいのひ」はいつから始めたんですか?
梅田さん:2012年から始めました。自分が作った料理を広めていきたいという思いと、料理教室のできるスペースがほしいという思いがあったんです。なぜ料理教室を始めたのかというと、地元に料理教室がなかったからです。私はつねづね、料理を作れなかった頃の自分に、料理の作り方を教えてあげたいと思っていたんですね(笑)。コツやノウハウさえわかれば、もっと簡単に作れるのにって。それを他の人たちにも伝えていきたいと思ったんです。
——梅田さんにとっての野菜の魅力を教えてください。
梅田さん:そのまま食べてもみずみずしさがあるし、熟成した時にはうま味が出るんです。野菜は主菜になりにくい食材でしたが、ここ数年で脚光を浴び始め、主菜として使われることが多くなってきましたよね。日本ではなじみがないような野菜も作られ始めて、目にする機会も増えてきました。私は野菜を扱ってきたので、野菜が注目されるのはとてもうれしいですね。
——たしかに、野菜メインの料理も増えてきたように思いますね。次はパンを作る時のコツを教えてください。
梅田さん:パンは生き物ですから、やさしい気持ちで作ってもらえれば、美味しいパンになってくれると思います。パンをこねる作業ではときどき、パンに旦那さんへのストレスをぶつける人がいるんです。でも、そのストレスは一旦忘れていただいて、目の前のパンと向き合ってほしいと思います(笑)
料理好きな普通の主婦だった梅田さんが、アルバイト先で地元新聞の料理欄を担当したことがきっかけで、料理の楽しさを伝えるよろこびを知り、「フードサロンやさいのひ」で料理教室を始めました。その教室では、季節感を大切にした野菜料理やパン作りを教えています。これからも、野菜やパン、料理の魅力をみんなに伝えていっていただきたいと思います。
フードサロンやさいのひ
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