代々受け継がれてきた大福の味を守り続ける「さわ山」。
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2021.01.21
新潟市で「大福」というと真っ先に名前が挙がるのが「さわ山」ではないでしょうか。いつ行ってもお客さんがいる人気店です。「さわ山」の大福は皮がギリギリまで薄くて、あんこがたっぷりと入っているわりに、甘さが控えめであっさりした味わいなのが特徴です。その名物の大福がどのようにして生まれたのか、どのようにして受け継がれてきたのか、4代目店主の小針さんにお話を聞いてきました。


さわ山
小針 嘉代子 Kayoko Kobari
1961年新潟市中央区生まれ。子どもの頃から家業である「さわ山」の団子作りを手伝う。20歳のとき本格的に店で働きはじめ、現在、四代目店主として店を継いで切り盛りしている。
初代が生み出した大福を、忠実に復活させた二代目の苦労。
——「さわ山」といえば大福ですよね。創業したときから作っているんですか?
小針さん:「さわ山」は大正初期に私の祖父が赤坂町ではじめたお店なんです。毎朝早く起きて一石……150kgもの餅をついて、新発田までリヤカーを引っ張って売りに行っていたと聞いています。大福は当時、東京で流行っていたので、新潟の人たちにも食べてもらいたいという思いで作り始めたそうです。
——「さわ山」の大福って、あんこがたっぷり入っているけれど甘さ控えめですよね。当時から変わらない形や味なんですか?
小針さん: はい。今では甘さ控えめのお菓子も多いんですけど、当時はかなり珍しかったみたいで、お客様から「おめさんとこの大福、砂糖の量まちごうたんねぇかね?」なんて言われていたみたいですね。

——その味がずっと今まで受け継がれてきたわけですね。
小針さん: でも、太平洋戦争があって砂糖が手に入らなくなって大福を作れなくなった時期があったんです。二代目だった私の父は子どもの頃から大福作りの手伝いはしていたんですけど、素材の分量については何も教えられてなかったので、祖父の大福を復活させるために大変な苦労をしたんですよ。毎晩祖父のお墓の前で「どうしたら親父の大福が作れるんだ。教えてくれー!」って泣いていたそうです。
——そんな苦労がこの大福にあったんですか! しっかり味わって食べなきゃって思いますね。
小針さん: 苦労を重ねた甲斐があって、ようやく親戚一同から祖父の大福と同じ味だとお墨付きをもらうことができたので、晴れて復活することになったんです。私も祖父や父の思いを受け継いで、味を変えないよう大切に作り続けていきたいって思っています。

父や弟の守ってきた味を、四代目として受け継ぐ。
——小針さんはどんないきさつでお店を継ぐことになったんですか?
小針さん: 私は子どもの頃からあんこを丸めたり、笹団子をまとめたりして、お店の手伝いをやってきました。20歳の頃から本格的に「さわ山」で働き始めて、父が脳梗塞で施設に入所してからは三代目を継いだ弟とふたりでお店を背負ってきました。ところが、今度は弟が亡くなってしまったんです。病院の弟から電話があってお店の今後を相談されたとき、「私が四代目を継いでお店をやっていく」って言ってしまったんですよ。自分がお店を継ぐとは思ってもいなかったんだけど、祖父や父、弟が守ってきた味を受け継がんきゃっていう思いがあって。

——小針さんのおかげで「さわ山」の大福が守られたわけですね。今までお店をやってきて難しいと思ったことってありますか?
小針さん: 売れ残った大福やお団子は、翌日に売ることができないので、残らないように作りたいんですよね。でも、その日にどれだけお客様が来るかは読めないですから、そこが難しいと思いますね。
——なるほど。それじゃあ反対にお店をやってきたことの喜びってどんなときに感じますか?
小針さん:それはもうお客様から「美味しい」って言ってもらえるのが、私にとっては何よりのご馳走です。商品を買ってくれたお客様が、遠くからまた買いにきてくれると本当にありがたいなって思うし、お店を続けてきてよかったなって思いますね。

長年続いてきた味を、変わらずに作り続けていく。
——大福の他に人気がある商品って何ですか?
小針さん: 笹団子には力を入れています。父は「新潟市笹だんご協会」を作ったりしてましたからね。あとお餅も評判がいいんですよ。うちの父は「お餅の神様」って言われていたほどなんです。今もその父からの製法を受け継いで作っています。

——笹団子やお餅を作るときに気をつけていることを教えてください。
小針さん: そのときの気温や湿度で、お餅や団子の皮の固さが変わってくるんですよ。だから気温や湿度を見ながら作るように気をつけていますね。

——今後は新しい商品を増やしていく予定ってあるんですか?
小針さん: 本当は新しい商品を増やしていきたいんですけど、今ある商品をきちんと作っていくことで手一杯なんですよ。ですから、今後も衛生面には気をつけて、長年続いてきた「さわ山」の味を変わらずに守り続けていきたいと思っています。

初代店主のおじいさんが作り上げた大福を、二代目のお父さんが戦後に復活させ、今は四代目の小針さんが守り続けています。そうして大切に受け継がれてきた大福、団子、お餅の味は、今も多くの人たちから愛され続けているんです。これからも「新潟名物」として美味しい大福が食べられるように、いつまでも作り続けてほしいですね。
さわ山
〒951-8023 新潟県新潟市中央区夕栄町4513
025-223-1023
8:00-18:00
火曜休
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