新鮮なホルモンや面白い味付けのソーセージを提供している「全力ソーセージ」。独特なお店作りへのアプローチや、飲食店の既存の枠組みにあてはまらない新鮮なライフスタイルなど、驚かされることがたくさんあります。今回はオーナーの保坂さんにオープンまでのいきさつなど、いろいろお話を聞いてきました。
全力ソーセージ
保坂 直樹 Naoki Hosaka
1979年上越市生まれ。5人兄弟の長男。季節問わず波があれば毎日でも海に行くほどのサーフィン好き。サーフィン歴20年以上でプロを目指したことも。
――「全力ソーセージ」をオープンされたのはいつですか?
保坂さん:2020年4月にオープンしました。ここをオープンする前はソーセージ専門店で働いていて、そこでは燻製商品の仕込みとか燻製料理、ソーセージ料理を担当してました。だいたい2年くらい働きましたね。
――飲食業界は長いんですか?
保坂さん:5年くらいです。飲食業界に入る前は、輸入販売の会社、化粧品の卸、お菓子の販売などの会社を自分で経営してました。そこから「ものづくりって面白そうだな」と思って、そのノリもあって飲食業界に飛び込んだ感じですね。
――ものづくりはどういったところに魅かれたんですか?
保坂さん:趣味でサーフィンやってて海外にも結構行ってたんです。食べるのが好きだから海外に行くたびにいろんなお店で食べまくってたんです。そこでいろんな文化の飯とか、屋台の雰囲気とか、今の日本にはない良さや面白さを感じることが多かったんですよね。それで、サーフカルチャーと燻製とかソーセージ作りのクラフトっていう組み合わせが面白いんじゃないかなって徐々に思うようになりました。
――今の日本にはない良さとは、どんなところですか?
保坂さん:例えばわかりやすいのはバリ島ですね。あそこは昭和の日本がまだ続いている感じなんですよ。だんだん変わってきちゃってる部分ありますけど、近所の人同士が信頼し合ってて、お店とか入っても勝手にコーラとってお金はそこらへんに置いていくみたいな感じだったり。それを店員もあんま気にしてなかったりで。今の日本でそんなとこほとんどないと思うんですよ。そういう昔ながらのゆるい感じがすごく好きだったりするんですよね。お客さんも店員もお互い遠慮とか気をつかったりしないで、細かいことは気にしない空気感ていうんですかね。
――ルールに縛られすぎない感じですね。
保坂さん:あとはバリにも日本料理屋があるんですけど、バリニーズが日本料理屋開いてもやっぱ日本ぽくなりきらないんですよ。どこか海外の要素が入ってる独特な雰囲気の店づくりになってるんですよ。そういうのもすごい面白いなと思って、うちもソーセージとホルモンていう異質な感じですけど、とりあえず美味けりゃいいじゃん、みたいな(笑)。そういうのはやっぱ海外で感じた経験からきてると思うんですよね。
――確かに当たり前のようにある既存の型に、自分をはめて考える必要性ってないですよね。
保坂さん:自分の店を開けば、ライフスタイルとかも自分の好きに表現できるじゃないですか。自分の見てきたものを自分の感覚で自由にやっていいのが自営業の良いところだなと思ってお店始めた感じですね。そんな風に考えるようになってから、飲食店の研究したり気分がノッてきた感じがありましたね。とにかく自由でいたいっていうか縛られたくないっていうのも大きかったです。
――自分のお店をプロデュースすることで、保坂さん独自の文化も同時に発信しているんですね。
保坂さん:店づくりもあんまりとらわれないようにして、思いついてすぐかたちにするっていうようなスタイルでやってます。店内の絵も思いついて自分で描いたり。どこに向かってんだろうってちょっと迷子になってみたり(笑)。こういう雰囲気のお店が海の家にあったらいいなとか思ったりもしています。
――開店当初からそのスタイルですか?
保坂さん:最初はプレハブ小屋でやってたんですよ。そこになんだか知らないけどすごいお客さんきてくれて(笑)。でもその場所にアパートが建つことになって移転しなきゃいけなくなったんです。前から決まってたらしいんですけど、それがなんか急に早まったみたいで。それで知り合いの人が今のこの場所を紹介してくれて。再オープンしたのは2021年の6月です。
――つい最近ですね。オープン前に不安とかはありましたか?
保坂さん:不安は多少ありましたけど、すげぇ流行るかまったく流行らないか、どっちかかなって思ってました。プレハブ小屋で立地もすごく悪かったけど、好きな人は好きだろうって感覚があったんですよね。ほんとただなんとなくなんですけど(笑)。
――商品ラインナップはどういうふうに決めているんですか?
保坂さん:移転してから最初はソーセージだけでした。テイクアウトも店内での飲食も可能なスタイルで。商品ラインナップのこだわりは、あんまり他では売ってないようなものを置きたいって思ってます。横文字のかっこいいソーセージじゃなくて、例えば「ギョーザブルスト」「鳥ブルスト」「山椒ブルスト」「大葉ブルスト」とか、わかりやすい商品名で出したかったのもあります。「閻魔の涙」っていう激辛のソーセージとかもありますし。
――お肉の種類も他ではないようなものが多いですか?
保坂さん:肉の種類というよりは、味付けで差別化をできるようにしています。ギョーザのソーセージ作ってるとこって他あんまないと思うんですよ。キャベツ、ニラ、肉、ニンニクを腸詰めにして味付けもギョーザなんで、ほんとギョーザって感じです(笑)
――たしかに(笑)。面白いですね。
保坂さん:4種のペッパーとか、チーズ、羊肉、馬肉を使ったものとか。あとソーセージって意外と牛100%のものって少なくて、うちは牛100%のも作っていたりもします。基本はビールに合う感じのものです。
――他では食べられないものばかり。
保坂さん:お客さんの驚いた反応を見るのが好きですね。「ギョーザ?」「なにそれ?」「ほんとに美味いの?」みたいな感じで(笑)。SNSで取り上げてもらってそこから徐々にお客さん増えてった感じですかね。
――焼肉も当初からやられていたんですか?
保坂さん:焼肉はオープンして1ヵ月後くらいしてから始めました。最初は「魚沼ホルモン」ていうホルモンメインでやってました。これが結構、運命的で。温泉が好きで温泉に行ったときに魚沼ホルモンの有名店に入って衝撃を受けたんですよ。ホルモンてあんま好きじゃなかったのにすげぇ美味いって感じて。今まで食べたものとは全然違いました。それでホルモンも店で取り扱おうって決めました。
――魚沼ホルモンっていうのがあるんですか……?
保坂さん:魚沼地域って、ホルモンの文化があって。もう50~60年くらい前の話ですけど、奥只見のダムの建設で何十万人ていう労働者が全国各地から集まったんです。そこで働く人が安い肉を求めてホルモンの需要ができて、そこから根付いていくような感じだったみたいなんです。養豚業を行っている農家もあったみたいですね。魚沼の水って綺麗で米も有名じゃないですか。やっぱ豚もそこの水飲んで育ったり、さばくときも綺麗な水で洗っているので臭みがなくて新鮮な豚肉を仕入れることができたんです。臭みがないだけじゃなくて旨みがあるんですね。
――綺麗な水で育つのは食材にとってかなり重要なんですね。
保坂さん:それで新鮮で臭みのないホルモンはどうやったら仕入れることができるのかっていうのを、新潟のいろんな肉屋さんに電話して調べました。新鮮なお肉にはこだわっています。
――そういう流れでホルモンも提供するようになったんですね。
保坂さん:今はソーセージとホルモンの二枚看板みたいな感じでやってます。ぶっちゃけ今はホルモンの方が売上がいいんですけどね(笑)。みんな美味い美味い言ってくれますね。
――今後の展開で何か考えているものありますか?
保坂さん:今はとにかくバイトを雇ってお店をまわせるようにしたいですね(笑)。とりあえず目の前の目標で「人手がほしい」。今ふたりでやっているので夜混むとほんとお店がまわらなくて泣きそうになります(笑)。あとはうちならではの商品で、さらに多くの人に知ってもらえればいいなって思います。今また新しく考えていることもあったりするんですけど。焼肉屋が本気で考えたハンバーガーとか作ってみたいですね。
――今後出る新商品が楽しみです!
保坂さん:告知宣伝は随時インスタでしています。こんなん始めましたとか今日のおすすめとかいう情報を流してます。この前は「A5ランクの和牛」がいきなり入ったのでそういう情報を流したり。金土はめちゃくちゃ新鮮な生肉入るので要チェックです。
全力ソーセージ
新潟県新潟市中央区女池神明3-3-4
025-285-5200
営業時間 平日 17:00-20:00/土日祝日 11:30-22:00(たまに変更あります)
定休日 水曜日