父のハチミツを伝える、焼き菓子とケーキの専門店「DRESS」。
食べる
2021.11.08
今年10月にオープンして以来、開店前から列ができるほどの人気店「DRESS(ドレス)」。父親が営む「新潟養蜂」のハチミツの美味しさを、より多くの人たちに知ってもらいたいとの思いから、帝国ホテルに10年間在籍したシェフパティシエの三田さんがオープンしたお店です。夢を叶えるまでのこと、ハチミツの美味しさに気がついたときのことなど、オープンまでのお話を聞いてきました。

DRESS
三田 正樹 Masaki Mita
1987年新潟市生まれ。「にいがた製菓・調理専門学校えぷろん」を卒業後、帝国ホテルに10年間在籍。2021年10月、新潟駅南口けやき通りにて焼き菓子とケーキの専門店「DRESS」をオープン。チョコレートケーキが好きなシェフパティシエ。
造形することが好き。そこからスタートしたお菓子の道。
――三田さんは、どんなキッカケでパティシエを目指すことにしたんですか?
三田さん:昔からモノを作ることが好きで、高校生のときに製菓専門学校のオープンキャンパスに行ってみたんです。そこで初めて飴細工を目にして、「これ面白そう」「やってみたいな」と思って、お菓子の道に進むことにしました。
――じゃあ、お菓子を食べるのが好きでパティシエを目指したわけじゃないんですね。
三田さん:そうなんですよ。食べるのが好きだから作りたいというよりも、何かを作るのが好きだからお菓子を作ってみたい、という動機でしたね。
――もしかして、お菓子作りの経験はなかったんじゃ。
三田さん:はい(笑)。だから専門学校の授業は大変でしたよ。「今日はジェノワーズを作ります」と言われても、何を作るのかが分からなくて、「?」がいっぱいでしたね……。ちなみに「ジェノワーズ」は「スポンジ」のことです。
――スポンジって言ってくれればいいのに(笑)。憧れていた飴細工にはチャレンジできたんですか?
三田さん:そうですね、できました。しかも在学中に技能五輪に出場することができて、なんと銀賞を取ることができました。

友人と語りあった夢。「いつか」のその後とは。
――専門学校を卒業してからは、どこで修行していたんですか?
三田さん:卒業後は「帝国ホテル」で働きました。ここは規模が大きいから、お菓子の部門が焼き菓子、宴会の皿盛り、ウエディング、メインレストランのデザートというふうに、いくつものセクションに分かれていて、総合的にお菓子のことを学ぶことができました。
――へ〜、そんなたくさんのセクションがあるなんて、さすが大きなホテルですね。当時から独立は考えていたんですか?
三田さん:専門学校時代にめちゃくちゃ気が合う友人がいて、「いつか一緒に店をやろう」と話していたので、考えはじめたのはその当時からですね。
――その夢はどうなったんですか……?
三田さん:それが……、夢を語って15年経った今、一緒に「DRESS」で焼き菓子やケーキを作っているんですよ。
――えー、ドラマみたいな話じゃないですか! 驚きです。

お菓子を作って知った、父が育てるハチミツの美味しさ。
――「DRESS」で提供しているお菓子って、「帝国ホテル」で学んだレシピを取り入れているんですか?
三田さん:そうですね。学んできたレシピを「DRESS」に合わせて改良して、新潟らしいお菓子として提供しています。
――質問しておいてなんですが……それって大丈夫なんですか??
三田さん:親方に「学ばせてもらった味と新潟の食材を合わせたお菓子を提供したい」と相談したら、二つ返事で快諾してくれたんです。「帝国ホテル」は新発田出身の創業者なんですよ。そんな理由もあってやらせてくれているんですかね。
――あ、それならよかったです(笑)。「これぞ帝国ホテルの味」というような商品もあるんですか?
三田さん:それなら、新潟県産の果物をドライフルーツにして、それぞれの食材に合ったお酒で漬け込んだものを使った、「新潟ヴェルジェ」というパウンドケーキですね。これは「帝国ホテル」伝統の味だし、完成までにかなりの日数と手間をかけて作っているから、ぜひ食べてもらいたいです。

――ところで、お店に入ると「新潟養蜂」のポスターが飾られていましたが、あれって?
三田さん:「新潟養蜂」は父が営んでいる養蜂場です。パティシエになってから、改めて父が作るハチミツの美味しさに気がついて、もっと多くの人たちに知ってもらいたいと思って、自分が作るお菓子と合わせて提供しています。
――なるほど。お父さんのハチミツを使ったお菓子を作れるなんて、素敵じゃないですか。例えばどんなお菓子に使われているんですか?
三田さん:ハチミツの余韻を感じられる「焼きたてフィナンシェ」、ハチミツで漬け込んだレモンピールを使った「はちみつレモンケーキ」、スポンジ生地にハチミツを使った「ロイヤルショートケーキ」とか、たくさんのお菓子に使っています。だから、「DRESS」のお菓子は父のハチミツがあってこそなんです。


――そんな言葉を聞いたら、お父さんも嬉しいでしょうね。それでは最後に質問です。オープンしてまだ間もないですが、これから「DRESS」をどんなお店にしていきたいですか?
三田さん:10年間で学んできた「帝国ホテル」の味を新潟で楽しんでもらえるように、これからもっと精進していくのはもちろん、そこに父のハチミツの美味しさも加えて、「DRESS」からも「新潟養蜂」を知ってもらえるように、お店を成長させるとともに親孝行していきたいです。

DRESS
新潟市中央区天神2-1-28 アクシス駅南イースト1F
025-246-0331
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