手間をかけて納得のいくパンを作り続ける「パン・ド・メルソー」。
食べる
2021.11.19
新潟市中央区京王の住宅街に「パン・ド・メルソー」というパン屋さんがあります。小さなお店ですが、並べられているパンはどれもしっかり手間ひまかけて作られているものばかり。オーナーシェフの佐々木さんを訪ね、パン作りのこだわりについてお話を聞きました。


パン・ド・メルソー
佐々木 尚 Takashi Sasaki
1965年大阪府生まれ。小学生のときに家族で新潟に移住。「ホテルオークラ新潟」に就職しウエイターとして働いた後、パン製造部門に配属されパン作りを学ぶ。2000年に独立して「パン・ド・メルソー」をオープン。落語が好きだが寄席に足を運ぶ時間がないため、もっぱらCDで楽しんでいる。
ホテルのウエイターからパン職人へ。
——佐々木さんはどこでパン作りを学んだんですか?
佐々木さん:最初はホテルの仕事に興味があったので「ホテルオークラ新潟」に就職してウエイターとして働いていたんですが、接客が苦手な自分には向いていないことがわかったんですね。それで裏方の仕事に回してもらったんです。それがパンの製造部門でした。パン作りの知識や技術はそこで覚えたんです。
——じゃあ最初からパン作りの仕事がしたくてホテルに、というわけではないんですね。
佐々木さん:そうなんですよ。だから最初は何もわからなくて、居場所がありませんでしたね。怒られるために仕事に行っているみたいでした(笑)。毎日辞めたいと思っていて、「宅地建物取引士」とか「行政書士」とかいろいろな資格を取ったんですけど、結局はパン作りを続けたんです。

——いろいろ寄り道しかけていたんですね。本格的に、しっかりパン作りの仕事を続けていこうと考えたのはいつなんですか?
佐々木さん:上司が辞めた後、私がパン製造部門の責任者になってしまいまして。嫌でもやらなければならない立場になったんですよ。それで、パンを美味しくしようと試行錯誤しているうちに、だんだんパン作りの面白さにハマっていきました。
——独立して「パン・ド・メルソー」をはじめたのは?
佐々木さん:ホテルの「伝統」のなかで仕事をしてきて、今度は、「自分の作りたいようにパンを作ってみたい」と思うようになったからです。そこで2000年に独立して「パン・ド・メルソー」をオープンしました。
「手作りの美味しさがお客様に伝わる店」を目指す。
——オープンのときは大変でしたか?
佐々木さん:手伝ってくれる人がみんなパン屋未経験だったので、ほとんどの仕事を私ひとりでやっていましたね。奥さんも接客が苦手で、「とってもできない」と言っていたんですが、「笑顔で応対してくれるだけでいいから」と言ってやってもらいました(笑)

——「こんなお店にしたい」っていう思いはあったんでしょうか?
佐々木さん:オープンしたときからずっと変わっていないんですけど、お店を大きくしようとは思っていないんですよ。ただ、自分たちが一生懸命手作りしたパンやお菓子の味が、お客様にちゃんと伝わってくれたら嬉しいですね。例えば、パンにのせる具材は、既製品じゃなくてすべて手作りしたものなんです。手間ひまかけて作ったものはまったく味が違うので。「お客様にちゃんと伝わっている」と感じられるときは、お店をやっていてよかったと思います。

「効率より納得」のパン作りがしたい。
——パンはすごく繊細で、その日の気象条件などによってもできあがりが変わってしまうと聞きます。
佐々木さん:パンは発酵させる時間、生地の固さや柔らかさで味が変わってくるんです。それを自分のイメージ通りになるようコントロールして作ることが、面白いところでもあり、難しいところでもあります。特に発酵は季節によって違ってくるし、目に見えないものなので、経験や勘が頼りですね。
——なるほど。ちなみに粉や水の配合って、ホテル時代のものが参考になっているんですか?
佐々木さん:いいえ、ホテルには伝統的な配合があるんですけど、私はそれにこだわらず、自分の経験に基づいたパン作りをしています。

——じゃあ完全に「パン・ド・メルソー」のパンなんですね。粉や水以外の食材にもこだわりがあったら教えてください。
佐々木さん:野菜でもフルーツでも、「旬の食材」が持つ力を大切にパンを作っています。だから八百屋さんといいお付き合いをしていくことも大事なんですよね。
——今の季節だと、例えばどんな旬の食材を?
佐々木さん:手間をかけて下ごしらえをした栗を使っている「マロンパイ」や「栗のタルト」がありますね。これからクリスマスに向けての季節は、「シュトーレン」というドイツの伝統菓子や「パネットーネ」というイタリアのパンが人気です。

——既製品を使うと効率がよさそうに感じますけど、それはしないんですね。
佐々木さん:私のパン作りは「効率より納得」がコンセプトなんですよ。いくら効率よく作れても、納得できないパンをお客様に買っていただくわけにはいかないですからね。そのために手間を惜しまず、缶詰では出せない味を出しています。それがお客様にも伝わって、喜んでいただけるのが嬉しくて、手を抜くことができなくなってしまいましたね(笑)

パン・ド・メルソー
新潟市中央区京王2-12-16
025-287-7117
8:00-19:00(日曜のみ18:00まで)
火曜休(不定休あり)
Advertisement
関連記事
食べる
弥彦の農産物をパンやお菓子で発信する「Le・Lapin」。
2021.10.28
食べる
シフォンケーキにこだわるあまりアイデア商品まで生まれた「petite・fleur」。
2021.11.25
食べる
人気ピッツェリアの店長が、東区に独立オープンした「PIZZERIA NARDI」。
2024.07.10
食べる
15種類のコッペパンが楽しめる、秋葉区の「コッペCH」。
2023.01.15
食べる
熔接工場の社員食堂から飛び出したキッチンカー「BRING BREAD BOX」。
2024.11.25
食べる
偶然の出会いからはじめた「Niigata West Diner」のキューバサンド。
2024.02.02
新しい記事
食べる
十日町の四季を1枚に乗せて。
「Pizzeria Remo」のナポリピッツァ。
2026.06.27
カルチャー
ものを作る人が集まる場所、
北区のレンタルギャラリー「のらごや」
2026.06.26
食べる
グルテンフリーのお菓子が楽しめる
「米粉シフォンのお店 chuchu」
2026.06.25
New Eyes Niigata
New Eyes Niigata #09 石井圭
2026.06.25
買う
会いたくなるタオルソムリエがいる、
堀之内南のタオル専門店「Lavic」
2026.06.24
カルチャー
世界を旅して言葉や写真を綴る
編集者&カメラマン「松岡宏大」
2026.06.23


