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地元農家を応援するカレー店、江南区「新潟薬膳カレーRicca」。

季節の食材や人それぞれの体質に合う食材を使った料理を「薬膳料理」といいますが、今年オープンした「新潟薬膳カレー Ricca(リッカ)」でも、薬膳の考え方を取り入れ、季節の地元野菜をふんだんに使ったカレーを提供しています。今回はオーナーの米田さんに、どんな思いでカレー店をオープンしたのか聞いてきました。

 

 

株式会社 新郷屋(にいごや)

米田 太陽 Taiyou Yoneda

1979年新潟市北区生まれ。実家ペンキ屋の手伝いをはじめ、自然食品店の経営、農業系NPO法人の手伝い、イベント企画などを経験。その後、弟と一緒に「株式会社 新郷屋」を立ち上げ、米粉を使ったたい焼きやご当地焼きの販売、企画に携わる。2021年に「新潟薬膳カレー Ricca」「おばんざい居酒屋 番」をオープンする。趣味はちょっと珍しいオリジナルボードゲームの製作。

 

「地元の野菜をもっと普及させたい」その思いからカレー店をオープン。

——オープンおめでとうございます。米田さんは今までどちらで料理のお仕事をやられてきたんですか?

米田さん:それが、ほとんどやったことがないんです(笑)

 

——えっ、それがどうしてカレー屋さんをはじめることに?

米田さん:もとはといえば、地元野菜を普及させるお手伝いがしたい、という思いからはじめたものなんです。

 

 

——そこのところを詳しく教えてください。

米田さん15年前に農業法人のお手伝いをしていたことがあったんですよ。 そこでは無農薬で有機肥料を使った農業を行っていたんですけど、農薬を使わない農業は手間がかかるだけに人手が必要になってくるんですね。それで僕もお手伝いしていたんですよ。そのとき関わった農家の方々の情熱に感銘を受けたんです。それで、もっと農家のお役に立てないかと考えるようになりました。

 

——なるほど。農業に関わったことで、地元野菜への関心が強くなっていったんですね。

米田さん:そうなんです。ある日、知り合いからたい焼きのレシピを譲り受けることになって、「株式会社 新郷屋」という会社を立ち上げたんです。新潟県は米粉をうまく消費できていないのが問題になっているので、自分たちで米粉を使って地域を活性化する活動ができないかと考えて、コシヒカリの米粉を使ったたい焼きを作って売りはじめました。沼垂テラス商店街の「沼ネコ焼き」とか、月岡温泉の「うさぎ焼き」とかにも、その後、関わってきたんですよ。

 

 

——そこからどんな経緯でカレーに?

米田さん:米粉は業者から仕入れて使っていたので、間接的には農家の助けになっているのかもしれないんだけど、あんまり強く関われていないと思ったんです。だからもっと地元野菜を普及するためのお手伝いができないかと、ずっと考えて続けていました。そんなときに、たい焼きを卸していた農産物直販所の経営する居酒屋が閉店する話を聞いて、その物件で野菜を使った料理の店を開いてみたいと思ったんです。どんな料理にしようかと考えていたら薬膳料理がひらめいて、以前薬膳の先生から聞いた「スパイスカレーはそれ自体が薬膳料理」という言葉を思い出したんですよね。それで「新潟薬膳カレー」を誕生させました。

 

「新潟薬膳カレー」って、どんなカレー?

——米田さんは料理をほとんどやったことがなかったというお話でしたけど、カレーも……?

米田さん:はい。最初はスパイスの種類すら全然知らなかったんです。いろいろ調べたり試したりしながらレシピを作り上げました(笑)

 

——苦労の末に完成したのは、どんなカレーなんですか?

米田さん:地元野菜をワンプレートに盛り込んで、いろいろな種類の野菜を手軽に食べることができるカレーです。野菜本来の味を楽しんでいただけるように、辛さは控えめにして素材の味を引き立てるようにしています。まったく辛くないカレーなので、辛いのが好きな人には物足りなく感じるかもしれませんが、子どもからお年寄りまで誰でも食べることができるんです。あくまで野菜を主役にしたカレーですね。

 

 

——「薬膳カレー」ということは、季節の野菜にこだわって使っているんでしょうか?

米田さん:薬膳には「五季五色」という考え方があります。「季節の色の食材を多く食べましょう」というもので、春は緑、夏は赤、土用は黄、秋は白、冬は黒のものを食べるとよいとされているんです。だから、うちのカレーも季節の食材を多く使って作っています。

 

——へぇ〜。ちなみに春夏秋冬はわかりますが、「土用」っていつなんですか?

米田さん:7月の暑い時期から立秋までをいいます。

 

——あ、土用の丑の日の「土用」ですね。他にも野菜に対するこだわりってあるんですか?

米田さん:お客様の食べた野菜が、どこの誰の作ったものなのかを知ってほしいので、黒板に書いてお知らせするようにしています。誰が作った野菜なのかはともかく、どこで作られている野菜なのかは知ってもらえるとうれしいですね。

 

 

——野菜はどこで仕入れているんですか?

米田さん:すぐ近所にある農産物直販所です。ときどき直販所の方がカレーを食べに来てくれるんですけど、自分のところで売っている野菜を食べて「美味しい!」って驚いていることがあるんですよ(笑)。直販所の方もすべての野菜を食べているわけじゃないので、うちで初めて食べて「じつはこんなに美味しい野菜だったのか」って気づいたりしています。

 

——(笑)。その直販所で売っている農産物は、この近くの農家さんが作ったものなんでしょうか?

米田さん:ほとんどそうですね。夜は店舗をそのまま使って「おばんざい居酒屋 番」という居酒屋をやっているので、地元農家の方々が飲みに来てくれるんです。そのときお出しする料理には直販所から仕入れた、農家の皆さんが作った野菜を使っているので、自分の作った野菜を食べていることがあるかもしれませんね(笑)

 

——それ、面白いですね。知らずに循環している可能性もあるんですね(笑)。オープンしてまだ間もないですけど、今後はどんなふうにお店をやっていきたいですか?

米田さん:将来はお客様の体質に合わせたスパイスを加えて、より薬膳的なカレーを提供できるようになったらいいなと思っています。あとお弁当やお惣菜を作って農産物直販所で販売することで、より多くの野菜を使うことができるようになるんじゃないかと考えています。これからも新潟の農家さんを応援していけたらいいですね。

 

 

 

新潟薬膳カレーRicca

新潟市江南区嘉木4-3

11:00-15:00

水曜休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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