朝起きていちばんに飲んだり、お風呂上がりに飲んだり……牛乳っていつも私たちの日常生活にある飲みものですよね。そのまま飲むのが苦手という人も、牛乳が使われている料理を知らずに食べていることは多いかもしれません。新潟にも数多くの牛乳ブランドがありますが、「塚田牛乳」を知らない人はいないのではないでしょうか。今回は「株式会社 塚田牛乳」にお邪魔して、これまでのこと、これからのこと、塚田社長と営業の渡邊さんからいろいろとお話を聞いてきました。
株式会社 塚田牛乳
塚田 忠幸 Tadayuki Tsukada
代表取締役社長。1988年新潟市中央区生まれ。沖縄の大学を卒業後、金沢の商社を経て「株式会社 塚田牛乳」に入社。製造部で5年間の現場経験を積み、2021年に5代目社長として就任する。海釣りが趣味で先日も71cmのスズキを釣り上げたばかり。
株式会社 塚田牛乳
渡邊 翠 Midori Watanabe
営業。新潟市秋葉区生まれ。高校時代に陸上で身体をこわし、健康への関心が強まったことから栄養士の資格を取得。ジムのインストラクター、新潟伊勢丹の販売スタッフを経て、2019年に「株式会社 塚田牛乳」に入社。気の合う仲間とわいわい楽しむのが好き。
——「塚田牛乳」といえば新潟では知らない人のいない超有名ブランドですけど、いつ頃から続いているんでしょうか。
塚田さん:明治34年に初代社長が1頭の乳牛を飼って、今の上越市名立区で牛乳の製造販売をはじめたんです。昨年、創業120周年を迎えて私が5代目社長に就任しました。それを機に新しいロゴマークの作成や「塚田牛乳SENDの日」の記念日の制定をしました。
——それはおめでとうございます。昨年はいろいろ動きのあった年だったわけですね。それにしても、上越で創業したというのは知りませんでした。
塚田さん:新潟市に移転したのは大正14年のことで、昭和26年に「株式会社 塚田牛乳」として会社法人を設立して、現在の場所には平成2年に移転してきました。
——お話を聞いていると、時代を経て会社が順調に発展してきたことがわかりますね。
塚田さん:ありがとうございます。でも大変な経験もしてきていて、昭和39年に起こった新潟地震では、地盤沈下のために大きな被害を受けたんですよ。社屋が壊滅的なダメージを受けて長い間操業できなくなってしまったんですが、同業各社にご協力をいただきまして、終業後の工場をお借りして弊社の製品を製造し続けることができたそうです。
——そうやってこれまで「塚田牛乳」のブランドが守られてきたわけですが、これからは新社長の塚田さんが守っていかれるわけですね。
塚田さん:今までの歩みのなかで培ってきた会社の財産を基盤としながら、新しい取り組みに挑んでいくのが、これからの僕たちに与えられたミッションだと思っています。
——ところで、先ほどお話のあった「塚田牛乳SENDの日」って何ですか?
塚田さん:鮮度と味のバランスを究極に追求した「SEND牛乳」っていう、弊社を代表するプレミアム牛乳があるんです。その製品をきっかけに、もっと多くの皆さまから牛乳に親しんでいただけたらという思いで「一般社団法人 日本記念日協会」さんにご承認をいただき、7月20日を「塚田牛乳SENDの日」に制定してもらったんです。ちなみに7月20日というのは「SEND牛乳」4合瓶の容量である720mlにちなんでいます。
——塚田さんは、どういう流れで社長に就任されたんですか?
塚田さん:入社してから5年間は、製造部で生乳の殺菌や充填作業を担当してきました。コロナウィルスによる社会情勢の変化で、塚田牛乳にも変革の必要があったんです。それで創業120周年を迎えた昨年4月に父が会長に就任し、私は5代目として社長に就任しました。昨年は事業計画の一から作り直しなど、とにかく大変な1年でしたね(笑)
——営業の渡邊さんにもお聞きします。まず、入社のきっかけから教えてください。
渡邊さん:もともと牛乳が大好きだったのと、自分が持っている栄養士の資格を生かせるんじゃないかと思って入社しました。
——おふたりはそれぞれ、今どんなことにこだわりながら仕事をしていますか?
塚田さん:人の口に入るものを扱っていますので、安心安全な製品を作るための衛生面では特に気を遣っています。日常的に業務をしていると「当たり前」になってしまって気づかないことも多いんですが、気を引き締めながら製品と向き合っていきたいと思っています。
渡邊さん:私はお客様から「塚田牛乳」の思い出を聞くことが多いんですよ。だから牛乳をはじめとした乳製品を売るというよりは、「塚田牛乳」のブランドイメージを多くの人に伝えていきたいと思っています。それから物でつながるよりも人でつながることを大切にして、人と人との点が線になって、線が面になっていくような営業を心掛けたいですね。
——それぞれの観点でお客さんのことを考えているわけですね。そのなかで「やりがい」を感じることってありますか?
塚田さん:スーパーに行ったとき、たくさんある牛乳の中からお客様がうちの製品を手に取ってくれているのを見ると嬉しいですよね。あと若い社員達が成長していく姿を見られるのも嬉しいです。
渡邊さん:「塚田牛乳」の名前やキャラクターイラストの入った営業車に乗って移動することが多いんですけど、通りかかった人に「いつもインスタ見ています」とか「車の写真を撮らせてください」とか声を掛けられるんです。そんなときは、お客様を身近に感じることができて嬉しくなりますね。あと、ときどき製品についてのお叱りの声をいただくことがあるんですけど、そうした声にはとても感謝しています。
——自社の製品でお薦めしたいものをお聞きしていいですか。
塚田さん:「塚田珈琲」ですね。コーヒー好きの会長がこだわり抜いて作ったコーヒー牛乳で、厳選した豆を挽くところからドリップまですべて自社工場でおこなっているんです。あとは「のむヨーグルト」。最近では「プロテインココア」もお薦めです。
渡邊さん:私は「ベルギーワッフル」です。飲み物以外にも美味しい製品があるということを知ってほしいですし、幅広い地域や年齢層にも受け入れてもらえるんじゃないかと思うんです。すべて手作りしているシンプルな「ホワイトバター」や、会社の原点というべき「塚田牛乳」もぜひ味わっていただきたいですね。
——自社製品だけじゃなくて、たしかコンビニや製パン会社とコラボした製品もありますよね。最後に、今後やってみたいことがあったら教えてください。
塚田さん:今後は食品加工に販路を模索していきたいですね。あとは中央区あたりで「塚田牛乳」のアンテナショップをオープンしたいです(笑)
渡邊さん:私が担当している「塚田牛乳」のSNSは全国各地にフォロワーがいて、当社の製品に興味を持ってくれる方も多いんです。そんな方々の手元にも商品が届くように、これからはECサイトを充実させていきたいと思っています。また地域の方々とのつながりを大切に、コミュニティを通して牛乳の魅力を伝えていけたらいいなと思っています。
自社の製品に対する愛情をひしひしと感じることができた取材でした。「新潟を代表する牛乳」として、「塚田牛乳」が全国でも多くの人に飲まれるようになったら嬉しいですね。「塚田牛乳」の挑戦はこれからも続きます!
株式会社 塚田牛乳
新潟市江南区木津工業団地2-1
025-385-3911
9:00-17:00
土日曜休