Things

朝5時から手作り弁当や定食が食べられる、沼垂「ごはんやエール」。

以前から「沼垂朝市」として親しまれてきて、現在は新しい店舗が次々と登場している「沼垂テラス商店街」。その一角に朝5時から営業しているお弁当や定食のお店「ごはんやエール」が登場しました。朝5時……めっちゃ早いです。どうして、そんなに朝早くから営業しているのでしょうか。そこには店主である小林さんの熱い思いがありました。

 

 

ごはんやエール

小林 明美 Akemi Kobayashi

1964年津南町生まれ。スーパーの店員として働いた後、ハローワーク主催の職業訓練で調理師免許を取得。結婚を機に新潟市へ移り住み、家事や子育ての傍らラーメン店、居酒屋などでパートをして、2021年10月に沼垂テラス商店街で「ごはんやエール」をオープンする。趣味は韓国ドラマ鑑賞。俳優で観るタイプ。

 

朝5時から開店する「ごはんや」をはじめたわけ。

——「ごはんやエール」さんは、夜は居酒屋さんで昼はお弁当や定食のお店なんですね。どちらも小林さんが経営しているんですか?

小林さん:夜営業の「居酒屋 め」っていうお店は、私の経営じゃありません。すぐ近所で営業していた「居酒屋 め」がこの場所で移転オープンすることになったんですが、営業時間外に場所を空けておくのがもったいないということで、昼営業の店をやってくれる人を探していたんです。

 

——なるほど、それで小林さんが「ごはんやエール」をはじめたんですね。

小林さん:「居酒屋 め」のママに相談を受けたうちの主人から「お店をやってみたら?」と勧められたんですよ。「やってみたい」と思う反面、資金の問題や自信のなさから「本当にやっていけるのかな?」という心配もありました。でも、私がやろうとしているお店のコンセプトを聞いた銀行の方々が、全面的にバックアップしてくれたんです。そのおかげで自分のやろうとしていることが、人から求められているという自信を持てました。

 

——そのコンセプトは、どういうものだったんですか?

小林さん:「朝5時から営業しているごはんやさん」です。この時間から開店するお店って、新潟にはほとんどないんですよ(笑)。でも、夜勤明けの人たちがお腹を空かしている時間でもあるんです。今までだったらコンビニのお弁当しか選択肢がなかったと思うんですけど、ちゃんと手作りしたご飯を食べてほしいなって思ったんです。

 

 

——確かにその時間からやっているお店ってほとんどないですね。ちなみにどんなお客さんが来るんですか?

小林さん:新聞配達員や運転手さんが多いですね。あとはひとり暮らしのお年寄りとか。それからゴルフに行く前に寄って、おにぎりやサンドイッチを買っていく人もいます。

 

——早朝に利用するお客さんって意外といるんですね。でも朝5時オープンだともっと早い時間から準備しなければなりませんよね。

小林さん:朝3時頃から準備すれば間に合うかなって感じですね。開店時間前の仕込み中でも、お客様が来ればできるだけ対応するようにしています。わざわざ朝早くから来てくれるんだもんね。

 

——早朝なのか深夜なのかわからない時間から準備しているんですね……。ちなみに店名の「エール」にはどんな意味があるんですか?

小林さん:フランス語で「片方の翼」という意味があるんです。お客様の「片方の翼」になりたいという思いや、お客様を「応援」したいという気持ちで「エール」という店名にしました。

 

お客さんに寄り添って作る、温かい「家庭料理」。

——小林さんは飲食店で料理を作った経験は?

小林さん:それがないんです(笑)。ラーメン店や居酒屋で働いた経験はありますけど、ホールスタッフでしたから……。私がお店で作っているのは、主婦が手作りする家庭料理なんです。

 

——じゃあ、小林さんの家庭で食べられている料理ってことなんですね。

小林さん:はい。だからうちの子ども達は、お店に並んでいるお弁当を見て喜んでくれました。自分たちがずっと食べてきたお弁当が商品になって、それを買うお客様が喜んでくれたら嬉しいって。大学1年生の息子は私の手料理で育ったので、冷凍食品やファーストフードをまったく食べないんです。その息子はお店の売れ残りを喜んで食べてくれるどころか、友達にも配ってくれています(笑)

 

——めっちゃ身近なファンじゃないですか(笑)。小林さんの料理って、どんなところにこだわって作っているんですか?

小林さん:「ごはんや」として一番こだわっているのはお米ですね。塩沢米と佐渡米は甘みが強くて、冷めても美味しく食べられるからおにぎりにもよく合うんです。だからこの2種類をブレンドして使っています。

 

 

——まずはベースになるお米にこだわっているわけですね。

小林さん:あとはお客様ひとりひとりに合わせた対応を心がけています。どんなことをしてもらったら嬉しいかは、人によってそれぞれ違うじゃないですか。

 

——具体的にはどんなことを?

小林さん:ご飯を食べている小さなお子様の箸が進んでいなければサンドイッチを勧めてみたり、年配の方の箸が止まっていたらお持ち帰りを勧めてみたりして、できるだけお客様に寄り添った対応をするようにしています。料理の腕が足りない分は、サービスで補っていこうと思っているんです(笑)

 

——お客さんも安心して食事できますね。他にもこだわっていることってあるんですか?

小林さん:お客様にはできるだけ温かい料理を食べてほしいと思っています。だから豚汁やおでん、シチューなんかは電子ジャーに入れて保温しています。先日は鍋を持って買いに来た人もいました(笑)。お弁当やお惣菜もできるだけ温かいものを食べてほしいので、事前に予約していただけると嬉しいですね。

 

「ごはんやエール」のきっかけは「こども食堂」。

——小林さんが「ごはんや」をはじめようと思ったきっかけって何だったんですか?

小林さん:もともとは「こども食堂」をやりたかったんですよ。

 

——それはどうして?

小林さん:以前知り合いの子どもを預かったことがあって、その子と一緒に食事を作ったんです。お米を磨いで炊飯ジャーで炊くのを見て、「ご飯をそんなふうに作るのをはじめて見た」って驚いていたので、私の方がびっくりしちゃいました。家では普段、パックのご飯を電子レンジでチンするだけだというんです。その子はまだ小さいのに、その日ご飯を4杯も食べたんですよ(笑)

 

——今って、そういう家庭が多いんでしょうか?

小林さん:びっくりですよね。それを聞いて「いったいどのくらいの子ども達が、ちゃんとした食事をしているんだろう」って心配になったんですよ。あと小学生にとったアンケートを見たら、朝食がガムやチョコレートという子もいて驚愕しましたね。子ども達にはちゃんとした食事をしてほしくて、「こども食堂」をやりたいと思ったんです。

 

 

——なるほど。そんな思いがあったんですね……。

小林さん:「世の中のお母さん方のお手伝いができたらいいな」っていう気持ちもありました。お母さん方が少しでも楽になれば、もっと子どもに目を向ける余裕も生まれるんじゃないかって思うんです。でも実際に「こども食堂」をはじめるには、いろいろとハードルが高かったので、まずはできるかたちでやっていこうと思って「ごはんやエール」をはじめました。

 

——じゃあ、いつかは「こども食堂」をやってみたいと?

小林さん:そうですね。チャンスがあったら是非やってみたいです。いつか子ども達が小銭でお腹いっぱい食べられるような、駄菓子屋感覚のお店をやってみたいと思っています。

 

——オープンしたばかりの「ごはんやエール」はこれからどんなふうに営業していこうと思っていますか?

小林さん:このあたりには高校生や大学生がたくさんいるんですが、アルバイトをしているのに食事を満足にできていない学生も多いんです。そんな子達のために、皿洗いや掃除を手伝ってくれたら定食を無料で食べられるというようなシステムも考えています。そうやって、日々のご飯で皆さんに「エール」を送れるような店にしていきたいですね。

 

——それにしても、この唐揚げ定食はすごいボリュームですね(笑)。これで650円なんですか?

小林さん:はい。昼食に食べていったサラリーマンのお客様が、満腹のせいで午後から居眠りしてしまったってクレームが来ちゃいました(笑)

 

 

ごはんやエール

新潟市中央区沼垂東3-1-20

025-245-5677

5:00-13:00

木曜休

  • She
  • Things×セキスイハイム 住宅のプロが教える、ゼロからはじめる家づくり。
  • 僕らの工場
  • 僕らのソウルフード


TOP