頑固なまでにこだわった「へんじんもっこ」のソーセージ&サラミ。
食べる
2022.08.04
ちょっと変わった名前に興味がそそられる「へんじんもっこ」。こちらは佐渡にあるソーセージやサラミの専門店です。今回は三代目社長の渡辺さんに、珍しい店名のこと、佐渡ならではの食肉加工についてなど、いろいろとお話を聞いてきました。

へんじんもっこ
渡辺 省吾 Shogo Watanabe
1978年佐渡市生まれ。佐渡農業高校を卒業後、ソーセージなどの食肉加工を学ぶためにドイツへ渡る。2002年、家業である「へんじんもっこ」へ戻り、現在は三代目社長として奮闘中。週1のフットサルが趣味。
単身渡独。ルッツ食肉店で学んだ食肉加工のこと。
――ソーセージやサラミを作っている「へんじんもっこ」は、渡辺さんのご実家なんですよね。子どもの頃から食肉加工は身近な存在だったんですか?
渡辺さん:初代社長、私のおじいちゃんのときは鶏肉専門の肉屋を営んでしました。父の代になってから、牛や豚肉も取り扱いはじめたんですけど、佐渡島内に大型スーパーなどが介入してきて、それに危機感を感じて食肉加工をスタートしたんです。だから、小学生ぐらいからは、身近に食肉加工がありましたね。
――なるほど。ってことは、お父さんから食肉加工を学んだんですか?
渡辺さん:農業高校の食品科へ進学したこともあって、基礎的な部分は学校の実習などで学びました。本格的な食肉加工については、高校を卒業してからドイツへ渡って食肉加工専門の学校で学びながら、父の知人であったルッツさんが営む「ルッツ食肉店」で、住み込みで働いて技術を習得したんです。

――食肉加工の専門学校があるなんて……さすがドイツですね。どのくらいドイツにいたんですか?
渡辺さん:学校に通っていた期間は3年で、卒業したからもルッツさんのお店で1年間働かせてもらっていました。
――その後は「へんじんもっこ」に?
渡辺さん:そうですね。当時は継ぐためという意識はなかったけど、ドイツで学んできた技術を「へんじんもっこ」に生かしていこうと、父と一緒に働きはじめました。それが2002年だったから、今から20年も前のことですね。

気になる「へんじんもっこ」のネーミング。
――「へんじんもっこ」って、とてもインパクトのあるネーミングですよね。これは造語ですか?
渡辺さん:そうなんです。「へんじん」と「もっこ」の言葉を合わせた造語で、「へんじん」はそのまま「変人」、「もっこ」は佐渡弁で「頑固者」を意味します。熊本の方言で「信念を貫く」という頑固者に近しい意味の言葉があって、「ひごもっこす」といい、それが北前船で運ばれてきて、「もっこす」……「もっこ」になったそうです。
――ふむふむ。つまり「へんじんもっこ」は「頑固な変人」って意味なんですね。ネーミングセンスのあるお父さんですね(笑)。渡辺さんから見て、お父さんはへんじんもっこですか?
渡辺さん: へんじんもっこって、誰からも変人と思われている正気じゃない人と、常識的だけどあえて変なことをする人、この2パターンだと思っています。食肉加工や会社の経営にしても、プライベートにしても、父は普通やらないようなことを試している印象なので、後者のへんじんもっこだとは思いますね。
――お父さん自身も「へんじんもっこ」なんですね(笑)。ちなみに渡辺さんは??
渡辺さん:僕は違います(笑)


ドイツ製法で作る、「へんじんもっこ」のソーセージたち。
――「へんじんもっこ」のソーセージやサラミの特長やこだわりを教えてください。
渡辺さん:ソーセージっていうのは大きな括りのことで、その中にサラミやウィンナー、フランクフルトなどがあります。これらは発祥の地の名前が付けられていて、それぞれの地域に合わせた製造方法があるんです。この製造方法を忠実に守りながら、ドイツ人の誇りを大切にしているのが「へんじんもっこ」のこだわりです。
――ウィーンが発祥だからウィンナー……なるほど。でも、「へんじんもっこ」らしさというか、佐渡らしさみたいな要素はないんですか?
渡辺さん: 例えば生ハムを作るとします。同じ材料、同じレシピであったとしても、ヨーロッパで作ったものと同じにはなりません。どうしてかというと、風土が違うからなんです。つまり、佐渡の地でドイツ製法を用いて作っている時点で、ここでしかできない製造ができているということになり、「へんじんもっこ」らしい、佐渡らしさのある味わいに仕上がります。

――風土によって味わいが異なってくるとは、農業に近いイメージですね。ちなみに「へんじんもっこ」の看板商品って何ですか?
渡辺さん:それなら、「たまとろサラミ」ですね。きっと日本ではうちしか作っていないんじゃないかな。
――えー、そんな珍しいサラミがあるんですね。どんなサラミなんですか?
渡辺さん:サラミって聞くと、ギュッと腸詰めされて歯応えのあるイメージだと思います。でも、この「たまとろサラミ」は、とても柔らかくてトロッとした食感と、玉ねぎの甘みを感じられる珍しい一品なんです。ドイツでは一般的なんだけど、きっと初めての体験に驚くと思います。ぜひ食べてみてください。

――いただきます。……いや~、なるほど。今まで食べていたサラミとは、まったく違う食べ物です。パンに挟んでもいいけど、意外とご飯とも相性が良さそうですね。
渡辺さん:このサラミは国際コンクールで賞を受賞したこともあって、まずは食べてもらいたい商品です。そうだ、ソーセージも食べてみてください。

――ありがとうございます。これはどんなソーセージなんですか?
渡辺さん:いちばん特長があるのは「ワイルドハーブソーセージ」という、白いソーセージです。佐渡で育った旬の野草を8種類をブレンドしているから、ここでしか作れない、佐渡らしいソーセージだと思います。肉料理に添えてあるクレソンからヒントを得ていて、一緒に食べるイメージなんですよ。
――この地ならではのソーセージですね。それでは最後に、「へんじんもっこ」としての今後の展望を教えてください。
渡辺さん:家業としては3代目、「へんじんもっこ」としては2代目になって約10年が経ちました。今までは職人として仕事をしていましたが、これからは好きなものを作っていくだけではなく、佐渡のためになるように、佐渡らしいさも島外の人たちに発信できる取り組みにも力を入れていきたいと考えています。

へんじんもっこ
佐渡市新穂大野1184-1
0259-22-2204
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