独自性を大切にするコーヒースタンド、新津の「GOODY」。
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2023.03.23
新津駅から歩いて10分、新津新町にあるコーヒースタンド「GOODY」。2015年に改装し、「インスタ映えする」と若者が多く来店するそうですが、もともとは昔ながらの喫茶店だったのだとか。今回は店主の坂井さんに、お店のこれまでのことやメニューについてなどいろいろとお話を聞いてきました。

GOODY
坂井 大輔 Daisuke Sakai
1976年新潟市秋葉区生まれ。新潟の専門学校を卒業後、家業である洋品店の修業のため日本橋の呉服店に2年間勤める。新潟に戻りアルバイトをいくつか経験した後、2002年に「GOODY」をはじめる。

洋品店の複合店としてスタートした喫茶店。今では新津の映えスポット。
——素敵な雰囲気の店内ですね。「GOODY」さんはいつオープンされたお店ですか?
坂井さん:両親が経営する洋品店が隣にありまして、今でいう「複合店」にしたかったんでしょうね。父親から「喫茶店を作るから、お前やってよ」と言われて、2002年にはじめました。
——複合店だなんて、当時にしては珍しい試みだったのではないですか。
坂井さん:婦人服の仕入先として知られる岐阜の文化からヒントを得たんじゃないでしょうか。昔、両親が岐阜に仕入れに行くと、仕入先さんが喫茶店から出前を頼んでくれたそうなんです。それで、洋品店に来るお客さまへのプラスアルファのサービスとして喫茶店をはじめたんだと思います。

——2002年にオープンしたということですが、そうとは知らず、新しいお店なのかと思いました。
坂井さん:以前は昔ながらの喫茶店という感じでしたが、コーヒースタンドにしたくて2015年に改装したんです。ガラリと雰囲気が変わって、ここ数年はInstagramに写真をアップしてくれる若いお客さまが増えました。
——確かに、映え写真が撮れそうです。
坂井さん:デザインの仕事をしている弟がいろいろと手伝ってくれて、若者好みにメニュー表やオリジナルマグカップ、ポスターなどを作ってくれたんですよ。そのお陰もあって、自然と洋品店とは客層が別れるようになりました。

焙煎したてのコーヒーを提供するこだわり。
——コーヒースタンドということは、メニューはテイクアウトが可能なんですね。
坂井さん:スイーツなど一部のメニューを除いてテイクアウトしていただけます。実はテイクアウト需要を増やそうと改装して、カウンターをなくすなど工夫をしたのですが、当初はまったくテイクアウトが増えなくて。新津ではこういったスタイルは難しいのかなと思っていたら、コロナ禍となり需要が増えたんです。
——思わぬコロナ禍の恩恵があったのですね。どうしてテイクアウトを増やしたいと思われたんですか?
坂井さん:滞在型じゃなくて、テイクアウト型のスタバみたいな店舗を作りたくて。最初の反応はいまひとつでしたが、結果的にはこういう店の造りでよかったと思っています。
——コーヒーは5種類から選べるんですね。
坂井さん:はい、お好みでお選びいただけます。コーヒーは焙煎してから3日から2週間がいちばん美味しいんですけど、そこを狙ってお出しするとなると焙煎したコーヒーでは難しいんですよ。なので、当店では自家焙煎をしています。コーヒー豆はご注文いただいてから焙煎しますし、ドリップバックもご注文をいただいてから詰めます。時間はかかりますが鮮度のいいものをお出しするのがこだわりですね。

——こちらではどんなコーヒーが飲めるんでしょうか。
坂井さん:うちのコーヒーは中煎りの度合いで提供しています。最近は高品質の豆をフェアトレードで仕入れて、浅く煎るのが流行っています。浅煎りは個性がわかりやすいので高品質の豆に適していて、フルーティーで酸味のあるコーヒーに仕上がります。老舗の自家焙煎のお店では、深く煎って香ばしいコーヒーを出すところが多いですよね。僕は「サードウェイブ」といわれるコーヒー文化が好きなので、ウエストシェイプのマグカップにメイソンジャー、木目調の店内といったスタイルは流行りを取り入れていますが、コーヒーの味は流行りにとらわれず自分の好みでお出ししているかな。
——サイフォンを使ってコーヒーを提供されているのですね。
坂井さん:最初はコーヒーの知識がまったくなくて、お取り引き先から「サイフォンは味が安定しやすいですよ」と教えてもらったので、サイフォンで淹れるようになりました。「サイフォンで淹れる」とひとことで言ってもいろいろなやり方があるんですね。抽出時間もそれぞれで。以前は抽出時間を長めにしていましたが、今は25秒にしています。
——ハーブティーもたくさんありますね。
坂井さん:東京のイベントでハーブティーを知って、そういえばバーブティーのあるお店は新津にないなと思ったので、17年くらい前にメニューに加えました。コーヒーが苦手な方にもおすすめできるメニューです。

コーヒー店ならではの独自性を追求するのが「GOODY」らしさ。
——洋品店から派生して、20年喫茶店が続いているわけですよね。ここまで続いたのはどんな理由があると思いますか?
坂井さん:コーヒーはどこでも飲めるからこそ特徴がないと売れないので、どうやって独自性を出すかを常に考えています。3、4年前からはじめたコーヒーのサブスクはこの辺りにはなかったサービスですし、エスプレッソの入ったコーヒーにタピオカを入れるメニューを考案したのも独自性を出すためです。ちなみにティラミスは自家焙煎のコーヒーでエスプレッソを抽出して、それを生地に浸しています。

——ティラミス、すごく美味しそう!
坂井さん:ケーキを作ったことのない僕がケーキを作るわけなので、専門店にはかないません。だったら独自性のあるコーヒー屋らしいティラミスにしたいと思ったんです。
——さて最後に、これから取り組みたいと思っていることを教えてください。
坂井さん:タピオカミルクティーが流行ったときには、黒糖タピオカラテを考案しました。そんなふうに流行と自分のできることの接点を見つけて、新しいことができないかといつも考えています。喫茶店だけで商売するというより、来てくださる方に特別なものを販売する仕組みを作りたいと思っています。最近は若い方にたくさん来ていただくので、若者が好むものを扱えたらいいなと思うのですが、それが何かを見つけるのは難しいですね。

GOODY
新潟市秋葉区新町1-6-7
0250-23-1360
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