100種類のカップ酒とカフェのある酒屋さん。妙高の「酒のカワカミ」。
その他
2023.08.28
妙高市で約50年続く酒屋さん「酒のカワカミ」。3年前に2代目がお店を引き継いだことをきっかけにリニューアルし、あげパンやケーキを楽しめるカフェまで併設した、おしゃれな酒屋さんへと生まれ変わりました。今回は2代目である川上裕介さんとお母さんの典子さんに、お店をリニューアルしてからのことやオリジナルの日本酒のことなど、いろいろなお話を聞いてきました。


酒のカワカミ
川上 裕介 Yusuke Kawakami
1990年妙高市生まれ。祖父が創業した「酒のカワカミ」を3年前に引き継ぎ、2代目を務める。2020年の12月に店舗をリニューアル。自然が好きで、動物や昆虫が好き。
50年続く酒屋さんが、おしゃれにリニューアル。
——裕介さんは2代目だと聞きました。どなたがはじめたお店なんですか?
裕介さん:「酒のカワカミ」をはじめたのはじいちゃんです。創業して50年くらい経つと思います。以前はお菓子とかせんべいとかゴミ袋とかも売っているような、スーパーみたいな酒屋でしたね。
——裕介さんはいつお店を継がれたんですか?
裕介さん:3年くらい前です。じいちゃんは今90歳なんですけど、お酒を運ぶのも大変だし、売上もきつくて。だけど以前は妙高に7軒あった酒屋が今はうちを入れて2軒になってしまって、「潰したくないな」という意地がありました。

——酒屋さんのお孫さんですし、やっぱりお酒が好きだったんですか?
裕介さん:まったく飲めませんでした(笑)。だけど日本酒ができるまでのこととか、水や米のこととか、そういう文化や歴史にはすごく興味がありました。事業継承してからは毎日少しでも日本酒を飲むようにして、「これ美味しいな」とか「これはあんまり好きじゃないな」っていう好みは感じられるようになりましたね。
——継がれてから、お店にカフェを併設されたのはどうしてですか?
裕介さん:カフェ巡りが好きで、大阪や東京、名古屋とかのカフェによく行っていたんです。自分がお酒を飲まないので、今まで酒屋に入ったことがなかったんですけど、カフェにすればみんなお店に来るのかなと思いました。
——裕介さん自身がお酒を飲まないからこそ、普段酒屋さんに行かない人がどうしたら行きやすくなるか考えられるわけですね。
裕介さん:日本酒を飲まない人でも、お店に入ってみたら「飲んでみたい」っていう気持ちになるんじゃないかっていうのもひとつありました。それにもともと「老後はカフェをやりたいな」って漠然と思っていたんですよ。それが前倒しになったような部分もありますね。

地元の人たちも通うカフェのメインメニューは、1個100円の「あげパン」。
——カフェをはじめてから、お客さんの層って変わりましたか?
裕介さん:変わりましたね。自分は会社員もやっているので、基本的には母が店番をしているんですよ。カフェだけ利用するお客さんが多いよね。
典子さん:そうだね。この辺りってカフェがないんですよ。だから近所のおばちゃんたちが「家じゃない場所でお茶を飲みたい」っていうときに来てくれるみたいで。おばちゃんたちのお茶飲み場みたいになっていますね。そうやってちょっと寄って楽しく話をしてもらって、もしお酒を買うときに思い出してもらえればいいかな。
裕介さん:近所の人からも「お茶飲み場を作ってくれ」って話があって、「いつかね」と言っていたのがたまたまできたのでよかったですね。
——近所の方にとって念願のカフェだったわけですね。カフェのメニューはどなたが考えているんですか?
典子さん:私が考えています。メインは「あげパン」なんですよ。ケーキ類はその日にある材料で何種類か作って用意しています。常連のお客さんの中には「日曜日に絶対行くから、レアチーズケーキを作っておいてね」っていう人もいます。「次は何が食べたい?」って聞いて、それに合わせることもありますね。

——あげパンをメインにしたのはどうしてですか?
典子さん:この辺りは給食にあげパンが出るんですよ。私が子供の頃からメニューにあったんですけど、今は給食にあげパンがあまり出なくなっちゃっているみたいで、「食べたい」という声がけっこうあったんです。それで以前から頼まれて作っていたので「カフェをはじめるならあげパンを出したいな」って思いました。
——にしても1個100円っていうのは、この物価高の時代に安すぎませんか……?
裕介さん:利益ないんですよ(笑)。だけど子どもが100円玉を握りしめて買いに来るっていうのが、お店をはじめるときの母の目標だったみたいで。
典子さん:子どもが100円玉を持っておやつを買いに来てくれたらいいなって思っていたんです。だからこの値段は上げられない(笑)

100種類ある県内酒造のカップ酒と、地元妙高の日本酒。
——カップ酒の種類がすごく充実していますよね。これだけ並んでいるのを初めて見ました。
裕介さん:以前は地元の蔵の一升瓶をメインで置いていたんですけど、今はカップ酒の需要がけっこうあるんです。たくさん種類を揃えればそれだけ選ぶ楽しみがあるかなと思って、今は約100種類置いています。
——これだけ種類があるということは、県外の蔵のお酒も多いんでしょうか?
裕介さん:カップ酒も瓶も、新潟のものしか置いていないです。大きい瓶のお酒は妙高市にある3蔵のもので、三段の棚に一段ずつ、それぞれの蔵のお酒を置いています。ここは観光客の方がよく来るので、それならやっぱり地元のお酒を飲んでもらいたいなって思います。

——オリジナルの日本酒もつくられていると聞きました。
裕介さん:「千代の光酒造」という地元の蔵でオリジナルのお酒をつくる企画があって、うちオリジナルの日本酒を出すことになったんです。「アッサンブラージュ」という製法でつくっているんです。
——それはどんな製法なんでしょう?
裕介さん:甘いけど辛いお酒をつくるために、甘い原酒と辛い原酒を調合するみたいな、目標の味に近づけるために原酒を混ぜてつくる製法です。そうやってつくった「しかり」という日本酒を、時期を分けて3種類販売しています。今販売しているものは1本目で、母がつくりました。夏に合う、すっきりした味わいのお酒で、妙高山の山開きの7月1日に発売しています。
——次の時期の「しかり」はいつ発売なんですか?
裕介さん:狩猟解禁の11月15日に発売します。2本目は自分がつくりました。実は動物が好きで、ペットショップを開ける免許と狩猟免許を持っているんですよ。それで地元の猟友会とかで問題になっていることに触れる機会を作ろうかなと思って、狩猟解禁日に合わせました。ジビエの料理と合わせても香りが負けないように、フルーティーな味わいにしています。
——へ~、狩猟もされるんですね。最後に3本目の特徴を教えてください。
裕介さん:3本目は弟と一緒につくったもので、渓流の解禁日である3月1日に発売します。酸っぱめの味わいにして、下に薄くにごりを入れて、振ると雪解けの河みたいに見えるようにしました。「関川」という川の漁業組合にも入っていて、魚の放流や川の清掃とかもやっているんです。毎年「しかり」の売り上げの一部を自然に関する活動をしている団体に寄付しています。

——お店の長い歴史の中で、いろんなことが変わった数年だったと思います。これからの目標はありますか?
裕介さん:芸術が好きなので、芸術とお酒を絡めて何かできたらいいなって思っています。それで妙高を盛り上げられたらいいですね。
典子さん:お店をリニューアルしてからいろんな人が来てくれるようになったし、観光客の方も「去年も来たんだわ」と言ってくれるんです。そうやって一度来た人に「また来たよ」と言ってもらえるお店作りができれば、徐々に広がっていくのかなと思います。日本酒離れが進んでいるみたいだけど、いろいろ種類があるし飲んでもらえたら嬉しいな。

酒のカワカミ
妙高市関山1544-3
TEL:0255-82-2136
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