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「innovative Co.」が提供する、コーヒーを介した感動体験。

  • カルチャー | 2024.05.25

西堀通4番町の複合スペース「SEIRANKAN」。その一角にあるのがコーヒーショップ「innovative Co.(イノベーティブ コー)」です。コーヒー好きなら誰もがよく知る「Days Coffee Roaster」の2号店で、全種類試飲可能なところはこちらも一緒。「innnovate」という店名の通り、1店舗目よりも更に尖った革新的なコーヒーを置いているとのことで、代表の白井さんにお話を聞いてきました。

 

 

Days Coffee Roaster

白井 渉 Wataru Shirai

1989年新潟市生まれ。飲食店などでの経験を経て、コーヒー卸業や自家焙煎、カフェ運営などを行う「SUZUKI COFFEE」へ入社。バリスタや焙煎士として腕を磨き、2021年に「Days Coffee Roaster」をオープン。2023年、2店舗目となる「innovative Co.」をはじめる。

 

日常に革新を与える1杯で、ワクワクする体験を。

――こちらは「Days Coffee Roaster」に続く2店舗目ですが、以前から白井さんの中で構想があったんでしょうか。

白井さん:「Days Coffee Roaster」をオープンして半年経った頃から2店舗目の構想はあったんです。新潟はまだまだ「コーヒーといえば苦いものだ」っていう深煎りの文化があったんですけど、「Days Coffee Roaster」がお客様の好みを聞ける環境だったこともあって、浅煎りのコーヒー……面白いコーヒーを求めている人がめちゃくちゃいるんだと分かって。

 

――新潟でも浅煎りを求めている人が思った以上にいたと。

白井さん:それで、次はもっともっと尖ったお店をしよう、「Days Coffee Roaster」の枠に収まらない新たな展開をしていこうと考えました。そんなときにこの「SEIRANKAN」のお話をいただいて。構想にあったコーヒー屋をやるチャンスだと思って「innovative Co.」をオープンしました。

 

 

――この場所を一緒に運営していく「entrance」さんと「MY NAME IS ICE CREAM」さんのことも意識してお店を作っていったんでしょうか。

白井さん:意識しました。バンバンに感度の高い2店舗とご一緒させてもらうってなったときに、うちも感度の高い刺激的なコーヒーを提供しないと、むしろ申し訳ないというか。この場所も「日常に馴染む空間」というよりは「日常に刺激を与えるような空間」にしたいなっていう思いがありました。

 

――そういう想いもあって「innovative Co.」という店名なわけですね。

白井さん:「1杯のコーヒーで日常に革新を」がコンセプトなんですけど、そのまんまです。人ってワクワクするときとか、好奇心が掻き立てられるようなときに「楽しい」とか「生きている」っていう感情が湧くと思っていて。そういう感情が湧いたときに人の日常や人生って豊かなものになると思っています。うちはコーヒー屋だから、コーヒーを介してワクワクを提供できればいいなと考えています。

 

最新の抽出器具を使って淹れる、新しい味わいのコーヒー。

――ワクワクするようなコーヒーを揃えているとのことですが、それって具体的にはどんなコーヒーなんでしょう……?

白井さん:コーヒーって、コーヒーチェリーの実の種を焼いて飲むんですけど、どうやって種を取り出すかで味わいが変わるんですよ。実を発酵させた後に種を乾燥させて焼くことで、めちゃくちゃフルーティな味わいになって、その技術が今、めちゃくちゃ進んでいて。

 

――進んでいるというのは?

白井さん:例えばタンクがふたつあったとして、ココナッツとパイナップルを片方のタンクで発酵させると発酵液ができあがるんですよ。それで、もう片方のタンクにコーヒーチェリーを入れておいて、そこへ発酵液を一緒に入れて発酵させる。そうすると、パイナップルとかココナッツの香りがついたコーヒーになるんです。

 

――へ〜! 果物そのものの香りをコーヒーにつけているんですね。

白井さん:今までのフレーバーコーヒーは、豆を焼いた後に人工的な香料で香りをつけていたんですよ。それがこの2、3年で「カルチャリング」とか「インフューズド」と言われる、天然の酵母や果物を使って新しい味わいを生み出すっていう考えになってきていて。特にコロンビアがすごく進んでいますね。そういう豆をここでは扱っています。そして来月、そのコロンビアにコーヒー豆の買付&現地視察に行ってきます。Instagramで現地からライブ配信するので、ぜひご覧ください!

 

 

――コーヒーを淹れている方の手元に見える、ボールみたいなものってなんですか?

白井さん:「PARAGON」っていう抽出器具です。2、3年前にオーストラリアのバリスタチャンピオンが、オランダの研究機関と開発した新しい器具なんですけど、導入しているのは新潟でうちだけだと思います。

 

 

――「PARAGON」を使うとコーヒーはどう変わるんでしょう?

白井さん:あの球は事前に冷凍しているんです。コーヒーってお湯を注いで抽出するので、今までは湯気とかで香りの成分が抜けてしまっていたんですけど、急冷することで今まで発揮していた香り成分を最大40%閉じ込めることが可能になりました。

 

――そんなに香りが変わるんですね!

白井さん:うちとしては香りっていうよりも質感がすごく良くなって、コーヒーなんだけどジュースみたいな、果実味をより感じられるようになったので、この器具を採用しています。

 

どこかが先頭を切って、普通じゃないことをやらなきゃいけない。

――ここに来たら、みんなコーヒーに対する固定概念が変わっちゃいそうですね。

白井さん:「なんだこれ」って感じさせたもの勝ちというか、今まで感じたことのない体験をすることで、一度コーヒーに対する固定概念を壊してあげたいと思っています。余計なお世話ですが(笑)。基本、人は変化を嫌うので、こちらから提案しないと馴染みのある味わいを選ぶと思います。それだと一向にコーヒーの新しい世界と出会うことはありません。スタッフとも共有しているんですけど「うちはコーヒー屋だけどコーヒーを提供しちゃだめ。あくまでも体験を提供しよう」と。僕たちが提供しているのはコーヒーを介した感動体験であって、その先にお客様の人生が豊かになるようなシーンの提供をしています。

 

――「Days Coffee Roaster」さんの取材でおっしゃっていたことに通じますが、あくまでもコーヒーはお客さんに感動を届けるためのツールなんですね。

白井さん:そうなんです、そこは企業理念だからブレていなくて。「Days Coffee Roaster」も「innovative Co.」も、やっていることは結局一緒で「コーヒーを介した感動体験の提供」っていうこと。「Days Coffee Roaster」も普通のコーヒー屋さんからするとかなりマニアックなんですけど、都内とか世界から見たときにまだまだ足りないなって思っていて。

 

――なるほど。

白井さん:お客様も育つわけだから、僕たちとともに成長していった先に、その方たちにもっともっと感動する体験をしてもらえるように「innovative Co.」を作ったんです。常連さんから「東京のお店はすごいよね」って言われることもありますけど、当店の味わいはもちろんのこと、体験や空間は都内のコーヒーショップにも負けていないと思っています。

 

 

――新潟で刺激を求める人に応えてくれる場所なわけですね。

白井さん:同業者から「この店のような変わったコーヒー豆を提供したいけど、お客さんは苦い豆を求めているから、ビジネスだしお金がないと成り立たない」って言われることがけっこうあって。「成り立たない」ということはお客様に感動体験を与える場所もなくなる。でも変わった豆を欲しているお客様もいるので、そういう人は東京から豆を取っちゃう。それだと一向に新潟のコーヒー文化が醸成されないんですよ。

 

――確かに、それはなんだかもったいないですね。

白井さん:だからうちは同業者からの紹介で来るお客様が多くて。ここで感動して、また自分の通っているお店に戻るじゃないですか。「いや、すごかったです」って。そしたらお店の人は「じゃあうちでも変わり種のコーヒー豆を取り扱ってみますね!」っていう流れになるので、少しずつですけど新潟のコーヒー文化が醸成されていくんですよね。みんなが横並びに同じようなコーヒーを出していても仕方がなくって、どこかが先頭を切って普通じゃないことをやらないと底上げができないんじゃないかなって思うんです。だからこそ少し攻めているなとは思うけど、強い意志を持って個性的なコーヒーを提供しています。新しいことをすると批判的な意見ももらいますが、それにも増して嬉しい言葉をいただきます。「こんなコーヒー飲んだことない! 感動しました!」「ここでコーヒーが飲めるようになりました!」。その言葉に励まされ、その言葉がある限りこの店をやる意味があるなと日々思っています。

 

 

 

innovative Co.

新潟市中央区西堀通4-259-58 SEIRANKAN

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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