新潟市中央区女池にある複合施設「NEST meike shinmei」。この施設内にお店を構える「Days Coffee Roaster(デイズコーヒーロースター)」は、ちょっと変わったスタイルで自家焙煎のコーヒー豆を販売しています。どんなスタイルなのか、コーヒーを通してどんなことを伝えていきたいのか、代表の白井さんにお話をうかがって来ました。
Days Coffee Roaster
白井 渉 Wataru Shirai
1989年新潟市生まれ。北越高校卒業、亜細亜大学中退。飲食店などでの経験を経て、コーヒー卸業や自家焙煎、カフェ運営などを行うSUZUKI COFFEEへ入社。バリスタや焙煎士として腕を磨き、2021年に「Days Coffee Roaster」をオープン。
――ベタな質問ですけど、昔からコーヒーをよく飲んでいたんですか?
白井さん:いや、むしろ嫌いでしたね(笑)。
――え? そうなんですか? もしかして今も?
白井さん:さすがに今は飲みますよ(笑)。でも、ランチセットでドリンク付いてきたら果汁ジュース選びます。今日だって、コンビニでリンゴジュースを買ってきたし。
――あら、カワイイ飲み物を。嫌いだったコーヒー、どんなキッカケで仕事にしようと思ったんですか?
白井さん:ちょっと話が長くなるんですけど……。まず、高校の部活を引退してから大学へ進学するまでの間に、万代のバスセンターにあった「UCCカフェプラザ」でアルバイトをしていたんですよ。このお店はマスターがカウンターに立っていて、一杯ずつサイフォンでコーヒーを淹れるスタイルでね。たまに、マスターがサイフォンの使い方を教えくれたんですよ。それで、アルバイト最終日に僕をカウンターに立たせてくれることになったんです。
――最終日にカウンター……粋なマスターですね。それで?
白井さん:今日でアルバイトが最後だからということで、両親や友達がお店に来てくれたんです。で、本当はダメなんですけど、特別に僕が淹れたコーヒーを提供させてもらえることになって。そのときに、「なんだこれ、まずいな(笑)」みたいな会話がカウンターを挟んで飛び交っていた空気感が、とても心地よく感じたんです。
――ふむふむ。
白井さん:それから大学に進学したんですけど、正直、学校生活がうまくいってなくて、やめようかとか考えていたんです。でもアメリカに留学できる機会があってチャレンジしてみました。それでアメリカに行ってみると、現地の人たちって、「僕は将来〇〇になる」みたいに、しきりに夢を語るんです。それに感化されて思い出したのが、高校時代のアルバイト最後の日の、あのカウンターでのコミュニケーションだったんですよ。コーヒーを職にしたいというより、そのときから、コーヒーを通したコミュニケーションに憧れはじめたんです。
――なるほど。コーヒーが好きになってスタートしたんじゃなくて、コーヒーによって生まれるコミュニケーションに影響されたんですね。
――で、今はコーヒーのお店をやっていますよね。どこかで学ばれたんですか?
白井さん:はい。いろんな経験を積んでいく中で、アルバイト時代の思い出が印象深かったので、「カウンターを介してコミュニティが生まれるイタリアンバールをやりたい」と考えたんです。それで、イタリアンバールの要素のひとつであるコーヒーを専門的に学びたいと思って、コーヒーの卸業や自家焙煎、カフェ運営などを行っている「SUZUKI COFFEE」に入社しました。そこで現場で抽出技術を学んだり、焙煎士としてコーヒー豆の焙煎に携わったり、いろんなことにチャレンジさせてもらった結果、コーヒーの沼にどっぷりとハマってしまったんですよね(笑)
――コーヒーの沼にハマる……、あるあるですね(笑)
白井さん:でも、そうなったからこそ、「自分の理想とするコーヒー豆を生み出したい」「自分はコーヒーが飲めなかったから、そんな人でも飲めるコーヒーを提供したい」と思うようになったんです。
――ところで、白井さんが考える理想のコーヒーとは?
白井さん:透き通ってクリーンな味わいなんだけど、しっかり産地特性や旨味、甘みを感じることが出来る。「あれっ?」っていつのまにか無くなっている。そんなコーヒーが理想です。あとは飲んでくれた人が少しでもワクワクしてくれたら最高ですねっ。
――それでは、「Days Coffee Roaster」について話をしていきましょう。コーヒー豆が買えるし、コーヒーのテイクアウトもできるんですよね。分類が難しいですけど、コーヒーの……何屋さんなんですか?
白井さん:ん~……。コーヒー専門店……自家焙煎コーヒースタンド……いや、コーヒー豆屋! これです!
――かなり迷いましたね(笑)
白井さん:ええ(笑)。コーヒーのテイクアウトはやっているけど、あくまで自家焙煎コーヒー豆の挽売りをメインにしていきたいから。……うん、「Days Coffee Roaster」はコーヒー豆屋です。
――どうしてカウンターには、こんなにたくさんのコーヒーが並んでいるんですか?
白井さん:前職で、焙煎士として苦味や酸味などを分析するプロファイルをしていました。でも、一般の人に「これはストロベリーみたいな酸味が特徴です」、なんて言ってもどんな味なのか理解できないじゃないですか。それで、試飲してもらうことでそれぞれのコーヒー豆の違いを感じてもらって、自分の好みを買ってもらえるように、全種類試飲スタイルを取り入れたんです。
――そういうことだったんですね。これだけ並んでいるってことは、味の幅も広いのでは?
白井さん:そうなりますね。深煎り、浅煎り、そしてデカフェ(カフェインレスコーヒー)まで、常時10種類以上が並んでいます。 そしてすべて試飲が出来きるので、味わいを確かめて購入することができるんです。また、豆のラインナップも定期的に入れ替わるので、必ず好みのコーヒー豆が見つかるはずだし、新しい発見もあると思います。
――でも、こんなに種類があっても、「深煎りしか飲まない」って人もいるのでは?
白井さん:まぁ、「どんなコーヒーが好きですか?」って質問をすると、ほとんどの人は「酸味がなくて、濃いコーヒーが好き(深煎り)」と答えますね。ただ、実際にいろんな種類のコーヒーを試飲しいくと、最終的に正反対のテイストを選ぶこともざらにあります。
――「Days Coffee Roaster」なら、新しい好みの発見ができそうですね。
白井さん:「これは好き?」「もっとフルーティーなコーヒーはある?」とか、いろいろな会話をカウンター越しに交わして、みなさん、新しい発見を持って帰ってくれていると思います。今は、カウンター越しにちゃんとコーヒーのコミュニケーションが生まれていること、アルバイト時代に感じた空気感とか心地よさをこうして実現できていること、そのことを通してお客さんが喜んでくれていることに感謝をして、これからも新しい発見を提供していきたいです。
Days Coffee Roaster
新潟県新潟市中央区女池神明3-14-4 NEST女池神明104
050-8881-5130