これから秋が深まるにつれて、紅葉を目当てにハイキングやキャンプに山を訪れる人も多いのではないでしょうか。阿賀野市にある五頭山も多くの人で賑わう季節を迎えます。その麓にある「五頭山麓御食事処 山清水」では、五頭の恵みを使った美味しい釜めしや鴨鍋を楽しむことができるんです。今回は店主の山﨑さんから、お店のこだわりについてお話を聞いてきました。
五頭山麓御食事処 山清水
山﨑 陽介 Yosuke Yamazaki
1977年阿賀野市(旧笹神村)生まれ。調理師専門学校卒業後、新潟市の老舗料亭やホテルで修業を重ね、2009年から「五頭山麓御食事処 山清水」で働きはじめる。現在は二代目店主。休日はラーメンやイタリアンの食べ歩きを楽しむ。
——今日はよろしくお願いします。旦飯野神社(あさいいのじんじゃ)へ参拝に訪れたときは、よくお邪魔しているんですよ。
山﨑さん:それはありがとうございます(笑)。こちらこそ、よろしくお願いします。
——ところで、出湯温泉の歴史って古いんですか?
山﨑さん:西暦809年にこの地を訪れた弘法大師が地面に錫杖をついたら温泉が湧き出したことがはじまりと伝えられています。それ以来、湯治に訪れる人々で賑わってきたんです。うちは代々、出湯温泉で「清水屋旅館」を経営してきたんですよ。
——元は旅館だったんですね。どうしてお食事処をはじめることになったんでしょう?
山﨑さん:時代の流れで出湯温泉の湯治客が減っていったこともありますが、旅館で提供していた自慢の釜めしを、もっと気軽に召し上がっていただきたいという思いから1997年に「五頭山麓御食事処 山清水」をはじめたんです。
——宿泊しなくても食べることができるのは嬉しいですよね。山﨑さんは最初から「山清水」を継ごうと思っていたんですか?
山﨑さん:父の背中を見て育ちましたから、その覚悟はありました。ですので調理師専門学校で勉強した後、新潟市西堀通にあった老舗料亭で5年間修業したんです。
——修業はキツかったですか?
山﨑さん:朝早くから夜遅くまで働いて、仕事が終わってから夜中に玉子焼の練習をしていました。でもそのおかげで出汁の取り方、味噌の使い方、酢の応用など和食の基本を勉強させていただいて、今でも役に立っているんです。
——その後は「山清水」で働くことに?
山﨑さん:ホテルの和食部門や同系列の和食店で3年間経験を積みました。大人数の職場だったので段取りのよさを求められましたね。ホテルならではの見た目の美しさも学ばせていただきました。3年間勤めて、その後、阿賀野市に帰って「山清水」を手伝うことになったんです。
——お父さんと一緒に働くことで、やりにくさはなかったですか?
山﨑さん:仕事のやり方の違いからぶつかることは多かったですね。でも10年前に父が亡くなってから、ずっとひとりで料理を作ってきた父の偉大さに気づき、改めて尊敬するようになりました。
——看板メニューの釜めしについて教えてください。
山﨑さん:地元・笹神で作られた美味しいコシヒカリを生産者から直接仕入れていて、具材もたけのこや山菜、栗など地元の旬な食材を使っているんです。具材は食べ応えを出すために大きめに切るようにしています。そんな季節限定の釜めしをぜひおすすめしたいんですけど、人気があるのは定番の「五目釜めし」や「かき釜めし」なんです(笑)
——釜めしの他にもおすすめメニューはあるんですか?
山﨑さん:釜めしと並ぶ看板メニューに鴨鍋があります。これも釜めしと同じく「清水屋旅館」の名物料理だったんです。当初は「山清水」のメニューになかったんですけど、ぜひ多くの人に食べてもらいたいと思ったので定食として復活させました。
——鴨鍋が気軽に楽しめるお店って珍しいですよね。どんなところにこだわった鴨鍋なんでしょう?
山﨑さん:いろいろな鴨肉を取り寄せて厳選して、赤身と脂身のバランスに優れている岩手県産合鴨肉を使っています。地元の「川上とうふ」で作られた豆腐も入れることで、豆腐が鴨の脂を吸ってさらに美味しくなるんです。今では県外から食べにきてくれるお客様がいるほどの人気メニューになりましたが、10月から3月までの冬期限定メニューなんですよ。
——冬しか食べられないのは残念ですねぇ。他の季節でも提供することは難しいんですか?
山﨑さん:鴨肉も長ねぎも寒くなるほど美味しくなる食材で、特に長ねぎは冬が深まるにつれて甘みを増していくんです。ぜひ美味しい季節に味わっていただきたいですね。
——「鴨がネギを背負って来る」なんて言うけど、それほど美味しい組み合わせなんですね(笑)
山﨑さん:お互いにうま味を引き立てあう最強の組み合わせですね(笑)。今までは調理済みの鴨鍋をお持ち帰り商品として販売していたんですが、一昨年から生肉の鴨鍋セットも販売をはじめたんです。これが好評で予約も増えてきています。
——自宅でくつろぎながら鴨鍋を楽しむのもいいですね。ところで、こちらのお店はどんなお客さんが多いんですか?
山﨑さん:平日は温泉やハイキングを楽しむ年配の方が多いです。週末になるとお子様からおじいちゃん、おばあちゃんを含めたご家族連れが多いですね。うちは座敷が多いからなんでしょうけど、幅広い年代の方に料理を受け入れていただけているのかなと思っています。
——アットホームな雰囲気も人気の秘密でしょうね。
山﨑さん:一緒にお店をやっている母や姉、妻のおかげで、あたたかい雰囲気になっているのかもしれませんね。これから五頭へ紅葉を楽しみにくる方も多いと思いますので、その際は当店自慢の釜めしや鴨鍋を楽しんでいっていただきたいです。
五頭山麓御食事処 山清水
阿賀野市出湯1178
0250-63-0399
11:00-14:00/17:00-20:00
火曜,月末水曜休