見附市の「茶舗 抹茶茶房 夏目庵」で見つける、お茶の新たな可能性。
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2025.01.06
お茶菓子、と聞いたら和菓子を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。見附市にある「抹茶茶房 夏目庵」では見た目もおしゃれなお茶菓子と一緒にお茶を楽しむことができます。お菓子を作っている守本さんは、東京と新潟のレストランで働いていた元料理人。守本さんにこれまでの経緯や、お菓子のこだわりについてお話を聞いてきました。

夏目庵
守本 尚規 Takanori Morimoto
1991年見附市出身。高校を卒業後、新潟市内の調理専門学校で調理と製菓を学ぶ。学校を卒業後、東京と新潟のレストランでの勤務を経て、2024年5月から実家が経営する夏目庵で働きはじめる。自分の子どもにメロメロな1児のパパ。

60年の歴史あるお茶屋さんで踏み出した、新しい一歩。
――今日はよろしくお願いします。このお店はもともと、守本さんのお祖母さまがはじめられたと聞きました。
守本さん:祖母が「夏目茶店」という名前でお茶屋さんをはじめたんです。そこから9年前に母が「夏目庵」に改名して今に至ります。「夏目茶店」のときから数えると、創業してから60年以上経っているんですよ。
――歴史あるお茶屋さんなんですね。守本さんはどんな経緯で夏目庵で働くようになったのでしょうか。
守本さん:専門学校を卒業して、東京のフレンチレストランで勤務していたんですが、結婚を機に新潟に帰ってきたんです。新潟では母校の講師や、三条のレストランで働いていました。
――食に関わるお仕事を続けられていたんですね。
守本さん:子どもが生まれてから、子育てや家族の時間をもっと大切にしたいという思いと、両親や祖母に恩返しをしたいという気持ちが強くなって、2024年の5月から実家である夏目庵で働くことにしたんです。

――お菓子は守本さんが作っているのでしょうか。
守本さん:お茶に合うものといえば、甘いものかなと思って。不定期ですが、店頭には琥珀糖や焼き菓子をご用意しています。個人的には、「抹茶と大納言のパウンドケーキ」がオススメなんですよ。
――お店で飲むことができる抹茶も、守本さんが点てていらっしゃるんですね。
守本さん:祖母が茶道の先生だったんです。それを母が引き継いで、今も茶道を教えているんですよ。僕も母から教えてもらって、お抹茶を点てることができるようになりました。
――飲むだけではなく、お茶を買うこともできるんですね。
守本さん:京都の「丸久小山園」さんの抹茶や、新潟の「向井園」さんの煎茶、小千谷の「中町商店」さんのほうじ茶を販売しています。お店でお出ししている抹茶は、福岡の「星野園」さんの八女茶を使用しているんですよ。

他にはない、お茶に合うお菓子の提案を。
──このお店では皿盛りのお茶菓子も楽しめるんですね。
守本さん:月替りでその時期の旬の食材を使った、お茶菓子をご用意しています。使う食材もなるべく見附産にこだわっているんです。今回使っている「紅あずま」は見附産ですし、前には「稲田製作所」さんの和栗や、「やまめ農園」さんの落花生を使っていたんですよ。
――レストランで食べれるデザートみたいです。
守本さん:前職で学んだフレンチの知識を活かして、見附ではあまり見ないような珍しいお菓子を作ったり、食材も面白い組み合わせになるように意識していますね。

――この丸いクッキーのようなものは何でしょうか。
守本さん: 「ポルポローネ」というスペインの伝統的なお菓子です。口溶けのいいクッキーで、「幸せを呼ぶ」っていわれているんですよ。お茶に合うように、抹茶のパウダーをまぶしてお出ししています。
――初めて聞きました。お茶が引き立つ程よい甘さで、まさにお茶のためのお菓子ですね。
守本さん:抹茶に合わせてもらうのはもちろん、ほうじ茶ラテや自家製のフルーツシロップを使った飲みものも用意しているので、抹茶が苦手な方でも楽しんでもらえるようにしています。
――他にも、予約しないと手に入らないお菓子があると聞きました。
守本さん:お茶菓子の缶詰ですね。クッキーも入っているんですけど、琥珀糖や落雁と呼ばれるお砂糖を固めた和菓子も入っているんです。あくまでもお茶屋さんなので、お茶に合うようなお菓子を詰めています。季節によって内容が変わるので、ぜひInstagramをチェックしてみてください。
――お茶の存在を大切にされているんですね。
守本さん:祖母から母につながれてきたものを大切にしたい思いがあるので、そこはブレずにやっていきたいと思っています。

人とのつながりを大切に。お茶の新たな可能性を見つけたい。
――最近ではイベントにも積極的に出られているんですね。
守本さん:見附市はもちろん今は新潟市でのイベントにも出店させていただいています。出店以外でも見附市の「TERMINAL」さんで皿盛りのデザートを出してみたり、12月にはお抹茶を点てるワークショップを開いたりしました。
――どんな意図があるのでしょうか。
守本さん:お茶がもっとカジュアルな存在になればいいなと。抹茶を飲もう、てなったときに作法を気にされる方が多いと思うんです。それを取っ払って、まずはお茶を楽しんでもらいたいですね。
──お茶に対しての距離が縮まりますね。守本さんが大切にしていることはどんなことでしょうか。
守本さん:夏目庵に来てから、人とのつながりの大切さをより感じています。僕はそもそも見附に帰るつもりがなかったんです(笑)。帰ってきた後も、誰にも言わずにお店をやっていました。でも「ちいさな車庫のお店aiueomise」さんと知り合ったことをきっかけに、人とのつながりがどんどん広がっていったんです。
――ふむふむ。
守本さん:それからイベントに出るようになって、そこに来てくれたお客さんがお店にも来てくれたり、また別のイベントに出るきっかけが生まれたりしたんです。今とても人に恵まれているなと本当に感じているので、これからも大切にしていきたいですね。

――守本さんの今後の目標を教えて下さい。
守本さん:やってみたいことはたくさんあるんですけど、まずはお店の内装や雰囲気を変えて、ふらっと入ってきてもらえる空間を作りたいですね。あとは皿盛りのデザートをアップデートしつつ、最終的にはお茶に合うようなお料理も出してみたいですね。
――お茶に合うお料理、素敵ですね。
守本さん:ワインのペアリングがあるように、お茶に合わせてお料理を出すお店も実ははあるんです。新潟のフレンチではあまり見られない取り組みかなと思うので、見附でそういった面白い取り組みもやってみたいですね。

抹茶茶房 夏目庵
見附市本町1-7-4
0258-62-0486
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