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大正モダンな店内で一服。老舗旅館が展開する「弥彦MONZENカフェ」。

大きな赤い鳥居をくぐった先にある「彌彦神社」。その門前に宿をかまえて300年以上の「四季の宿みのや」が、大正モダンなカフェをオープンしました。街歩きの休憩にもぴったりなこちらのカフェは、「地域を活気づけたい」という強い想いから生まれたんだとか。今回はオーナーの白崎社長と、地産地消にこだわった料理を提供するふたりの料理人にお話を伺いました。

 

四季の宿みのや/弥彦MONZENカフェ

白崎 純也 Junya Shirasaki

1972年千葉県我孫子市生まれ、弥彦育ち。5年間の会社員勤めを経験後、家業である老舗旅館「四季の宿みのや」の17代目館主に就任。地元・弥彦の温泉街全体の活性化に日々取り組んでいる。趣味は料理とレコード収集。

 

弥彦MONZENカフェ

佐藤 仁美 Hitomi Sato

1982年三条市生まれ。和食をメインにホテルで経験を積み、新潟駅前のダイニングバーや学校給食、自動車学校の寮など様々なジャンルの調理に携わったあと、2025年4月に「弥彦MONZENカフェ」の料理長に就任。旅行が趣味で、スヌーピーが好き。

 

弥彦MONZENカフェ

大西 かのこ Kanoko Onishi

2001年新潟市西蒲区生まれ。専門学校を卒業後、産婦人科クリニックで調理を担当。「弥彦MONZENカフェ」オープンに合わせて転職し、2025年4月に副料理長に就任した。K-POPアイドルに夢中で、最推しはASTOR(アストロ)。

 

「カフェで働きたい」、夢をかなえたふたり。

――まず、料理を担当される佐藤さんと大西さんのおふたりは、これまでどんなお店で働いてこられたのでしょうか?

佐藤さん:私は最初は湯沢のホテルで和食の料理人として働いて、その後知人の紹介で新潟駅前のダイニングバーに勤めました。直近は、学校給食や教習所の食堂などさまざまな業態で調理に携わっていました。

 

大西さん:私はこれまで産婦人科クリニックで食事提供のお仕事をしていました。元々カフェで働くのが夢で、クリニックで働きながら調理も接客もできるカフェを探していたんです。

 

 

――「弥彦MONZENカフェ」を選んだのはなぜですか?

佐藤さん:弥彦の土地に馴染みがあったのと、自分の経験をいかせると感じたのが理由です。元々は和食メインの料理人でしたが、新潟駅前のダイニングバーで働いていたときにパスタなどの洋食をつくるようになっていたので、カフェならその経験が役に立つと思ったんです。

 

大西さん:学校を卒業するときにも就職先としてカフェを探していたんですが、当時は条件に合うところはなくて……。今回、オープンにあたってこのお店が料理人を募集していることを知り「今しかない」と思って応募しました。

 

――お店のメニューはどなたが考えていらっしゃるのでしょうか?

佐藤さん:現在提供しているメニューはオーナーの白崎の発案です。ランチメニューは村上牛を使ったボロネーゼパスタやハンバーグ、ツバメファームの濃厚な卵を使ったカルボナーラを売りにしています。できるかぎり弥彦産、または県内産の食材を使用して、生産者の方たちと一緒に地域を盛り上げていきたいと思っています。

 

弥彦の特産を活かしたメニューを提供。

――地産地消を大事にしていらっしゃるとのことですが、他にはどのような食材を使っていますか?

佐藤さん:パスタは弥彦産の小麦「ゆきちから」を使用した生パスタです。コシがあり、食べ応えがあるのが特徴で、茹でると分からないんですが生麺の状態だと少し緑っぽい色をしています。

 

大西さん:「弥彦プリン」で使用している卵はカルボナーラと同じツバメファーム直送の卵を使っています。「プレーン」と「酒かす」の2種類を展開しておりまして、酒粕は弥彦酒造の大吟醸の酒粕です。お酒の芳醇な香りを感じられますよ。

 

 

――以前プリンをいただきましたが、本当に美味しかったです。テイクアウトできるから買いやすいですよね。

佐藤さん:ありがとうございます。オープン当初にふらっと立ち寄られた方がプリンを購入されて、別の日にご友人を連れてカフェを利用してくださったことがありました。「プリンが美味しかったから他のも美味しいだろうと思って」と言っていただけて、とても嬉しかったです。うちの弥彦プリンが温泉街の新しい名物になってほしいですね。

 

 

――今後、新しいメニューは考案されているのでしょうか?

佐藤さん:「弥彦むすめ」を使った枝豆のパスタを考えています。「弥彦むすめ」は味がとても濃くて美味しいので、ペーストにして枝豆クリームのパスタにするか、枝豆とトマトでカプレーゼ風にするか悩んでいます。

 

大西さん:スイーツは最近、コーヒーゼリーの提供も始めたんです。うちはコーヒーもこだわりがあって、風味が落ちるためドリップしてから1時間で廃棄するルールにしています。でも、時間が過ぎても十分美味しいコーヒーには変わりないので、スイーツとして提供できないか考えてたくさん試作しました。アイスをいれた方がいいよねとかクッキーを飾ろうとか、スタッフみんなで色々案を出しながらやっています。

 

地元・弥彦のためにできること。

――ここからはオーナーの白崎さんにお聞きします。カフェは「四季の宿みのや」内にありますが、ここは以前は何のスペースだったのでしょうか?

白崎さん:普通の旅館によく付属しているロビーラウンジというか、多少コーヒーや紅茶は出していましたが、どちらかというとお客様が休憩するためのスペースでした。

 

――四季の宿みのや内にカフェを作った経緯を教えていただけますか?

白崎さん:弥彦は年間100万人以上の観光客の方が訪れています。天気がいいと平日・週末関係なく観光客の方がたくさん目の前の通りを歩きますが、うちはお昼の営業では何もしていなかったので、日中観光に来られた方や地域の方が立ち寄れるお店を増やしたいと考えていて、今回カフェをオープンしました。

 

――観光利用だけではなく、地元の方にも喜んでもらえるお店を目指していらっしゃるのですね。

白崎さん:うちは弥彦の温泉宿として創業から300年以上、弥彦で地域に根付いて営業してきました。私自身も幼少期から地域の皆さんに大変お世話になっています。経営を引き継いでから、何かご恩返しをしたいなとずっと考えているのですが、いちばんは地域の活性化だと捉えているんです。県外国外のお客様にもたくさん利用してもらいたいですが、それと同時に普段支えてくださっている地域の人が利用しやすい場所にしたいんですよね。

 

 

――地元だと近場の温泉旅館に泊まることはなかなか難しいですもんね。

白崎さん:そうなんです。だからまずはカフェを利用してもらって、若い世代の方にも「ここって宿泊もできるんだね」と知ってもらうのがいいと思っています。遠方の友人がきたときに宿泊の候補に挙げてもらったり、特別な日に利用してもらったり、何かしらのきっかけになれば嬉しいですね。

 

 

――今後の展望について教えてください。

白崎さん:私の古い記憶だと、昔の弥彦温泉は観光客の方だけじゃなくて、地元の方も楽しめるような街でした。色んなお店があって、スーパーや魚屋、駄菓子屋もたくさんありました。ただ、近年はとにかく観光客の方に意識が向いてしまっていて、地元の方が気軽に利用できるような飲食店や小売店が本当に少ないんです。特に、この辺りはコロナ禍以降、夜の営業をしているお店はめっきり少なくなってしまいました。いずれは夜にお酒や食事の提供ができる体制も整えて、少しずつですが弥彦が元気になる取り組みを地域のみなさんと進めていきたいと思います。

 

 

 

弥彦MONZENカフェ

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