30年後の愛情を育てる暮らしの道具。
学校町「ジクウノアトリエ新潟」
ものづくり
2026.06.21
学校町にオープンした「ジクウノアトリエ新潟」。以前Thingsでご紹介した「株式会社三方舎」が手がけるお店です。店内には手織りの絨毯をはじめ、工房家具やリネンカーテン、照明などが並びます。どれも「30年後の愛情は日々の暮らしから」をコンセプトに選ばれたものばかり。店長の奥田さんに、長く使えるものにこだわる理由を聞いてきました。
奥田 祐樹
Yuki Okuda(ジクウノアトリエ新潟)
1987年五泉市生まれ。団体職員を経て、2016年に「株式会社三方舎」入社。福島県猪苗代町の店舗(現:ジクウノアトリエ猪苗代)の運営に携わり、店長を務める。2026年4月、新潟市にオープンした「ジクウノアトリエ新潟」の店長に就任。カフェ巡りやサイクリング、アンティーク収集が趣味。
手仕事に惹かれて。
異業種からインテリアの世界へ。
――奥田さんは別業界から今の仕事に就かれたそうですが、もともとインテリアや家具がお好きだったんですか?
奥田さん:昔から手仕事や、自分の手で何かを育むようなことが好きでした。現在勤めている「株式会社三方舎」は、もともと代表の今井が海外の作り手さんたちと一緒にオリジナルの手織り絨毯を作るプロジェクトからはじまった会社です。そのプロジェクトにとても興味を持ちました。
――手仕事やものづくりにロマンを感じたんですね。
奥田さん:そうですね。思いを込めて作られたものを長く、愛着を持って使っていく。それが豊かな暮らしなのかな、と思ったもので。
――私は「ジクウノアトリエ新潟」さんでも扱っているような「一生ものの絨毯」の存在を知ったとき、びっくりしたんです。そんなものがあるのか、って。
奥田さん:私も転職するまでは、同じように思っていました(笑)。日本では一般的に、絨毯は汚れたら買い替える感覚ですものね。石油由来のもので作られていて、数千円単位から売られていますし。でも「ジクウノアトリエ新潟」で扱っている絨毯は、現地の作り手さんが羊を飼うところからはじめて、糸を紡ぎ、染色し、一枚一枚丁寧に織り上げる伝統的な製法で作られたものです。5,000年以上前からずっと続いている手工芸なんですよ。
――どんな特性があるんですか?
奥田さん:自然の素材を用いて昔ながらの手仕事で作られているので、手触りや使い心地が大きく違います。多少値段は張りますが、愛着を持って使い続けることができる絨毯です。良質なものはコストがかかって難しい、という一面もあるんですが、私たちは「家族みんなで使うものは、絶対によいものを使った方がいいですよ」とお伝えしています。


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次世代まで愛せるか。
「よいもの」を選ぶ基準。
――そもそも奥田さんがおっしゃる「よいもの」とは?
奥田さん:「30年後にも使い続けたいと思えるかどうか」をひとつの基準にしています。
――それだけの年月を使い続けられることが大前提。
奥田さん:小さいお子さんが大人になり、自分の家族を持つまでがおおよそ30年。その時間を共に過ごし、30年後も「これからも使いたい」と思えるものを私たちは選んでいます。傷や経年変化も家族の歴史として刻まれ、愛着になっていく。世代を超えて受け継がれていくものこそ、「よいもの」だと思っています。
――絨毯以外の家具やインテリア類も、その定義のもと選ばれているんですね?
奥田さん:テーブルや椅子、照明などは日本の工房で作っているものがほとんどです。ちなみに今座っている椅子は福岡県内の20名ほどの中小企業の製品で、手仕事の跡が感じられます。触ったときの滑らかさが素晴らしく、座り心地がしっくりくるように日本人の体型に合わせて綿密に考えられています。綿やリネンといった自然素材を使ったカーテンは、ものによってはテーブルや絨毯と同じく長く使うことができます。
――あの……、インテリアのお店って入りにくいと言いますか、センスがよくないと敷居が高い気がするんですけども。
奥田さん:家具について調べはじめたばかりです、と当店に来てくださる方も多いので、お気軽にお越しください。便利なものがたくさんある時代ですので、家具の量販店さんで一式揃える方もたくさんいらっしゃると思うんです。でもよいものを知らないまま選択肢から外してしまうのは、もったいないです。ぜひ一度、「ジクウノアトリエ新潟」で実物に触れてみてください。


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インテリアショップ?
いいえ、コンセプトショップ。
――「ジクウノアトリエ新潟」さんは、2026年4月にオープンしました。
奥田さん:少し前まで、秋葉区に「株式会社三方舎」が運営する予約制のインテリアショップがありました。その拠点を新潟市へ移し、よりオープンなスタイルへとリニューアルしたのが「ジクウノアトリエ新潟」です。
――他にも上質な家具のお店はいろいろありますが、「ジクウノアトリエ新潟」らしさはどんなところにありますか?
奥田さん:私たちのコンセプトは「30年後の愛情は日々の暮らしから」。このコンセプトを叶えられるものをセレクトしてご紹介しています。代表の今井はよく「自分たちはコンセプトショップを運営している」と言うんです。ここで扱っているものは家具や絨毯、照明といったインテリアですが、私たちが本当に届けたいのはその先にある暮らしの価値なんだ。だからインテリアショップではないんだよ、と。
――これまでのお話で、そのお考えが伝わってきました。
奥田さん:古道具の展示会や作家さんの個展を開くこともあるんですよ。気に入った商品を購入していただけるのはもちろんありがたいことです。でもそれだけではなく、「家族の愛情を育んでいきましょう」というメッセージが伝わっていたらいいな、と思っています。
――古道具や作家さんの展示会を行うのは、どういう意味合いからですか?
奥田さん:手仕事のおもしろさを感じてもらえる場になると思っているからです。作り手の思いや顔が浮かぶと、そのものにもっと愛着が湧いてきます。例えば、そこに飾っている「飛松灯器」さんの照明。メーカー製の照明は価格も安定していて取り入れやすいですが、作家さんの作品には手仕事ならではの技法や表情があります。
――奥田さんと話していると、商品を選ぶ目が養われている気がします。
奥田さん:そう言ってもらえるなんて、ありがとうございます(笑)。でもやっぱり今まで自分になかった価値観や知らずにいた世界を少しでも体感してもらえると、視野が広がって、「今まで何も感じずにいたものがおもしろく見える」みたいなことはあると思いますよ。
――奥田さんは、インテリアのどんなところに惹かれているんですか?
奥田さん:傷があったり、ちょっと削れてしまっているところにも思いを馳せられるところですね。椅子が傷ついてしまっても、そういう見方ができると「ただの汚い古びた椅子」から「歴史の中で大切に育まれた椅子」に思えたりして。ものへの想像が広がるところが大きな魅力かな、と思います。


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