ものを作る人が集まる場所、
北区のレンタルギャラリー「のらごや」
カルチャー
2026.06.26
新潟市北区、イタリアンレストラン「ノラ・クチーナ豊栄本店」の敷地内にある小さなレンタルギャラリー「のらごや」。ハンドメイド作品や染め物、陶芸の展示販売、演劇など、さまざまな表現活動の場として利用されています。運営しているのは、個人工務店を営む野沢さん。仕事一筋の野沢さんが「のらごや」をはじめた理由など、いろいろとお話を聞いてきました。
野沢 久名
Hisana Nozawa(のらごや)
1967年村上市生まれ。高校卒業後に大工の道へ進み、20代後半で独立。「木優舎」として図面作成から施工までをひとりで手がける。2016年からレンタルギャラリー「のらごや」の運営をスタート。木工や畑仕事を楽しみながら、ものづくりに携わる人たちに発表の場を提供している。
仕事一筋だったから、
知らない世界を見てみたくって。
――野沢さんはどうして「のらごや」をはじめようと?
野沢さん:もともとここは割烹料理店の離れだったんですよ。10年くらい前に改装しようということになって、私がその仕事を請け負わせていただきました。そのときに離れにあった個室のひとつをレンタルスペースにすることにしたんです。
――最初は大工さんのお仕事として関わったんですね。でもどうしてレンタルスペースに?
野沢さん:ものづくりをしている人は発表の場に困っているんだろう、と思ったんですよ。ギャラリーって借りると高いじゃないですか。なかなか気軽には使えないだろうから、ここを自由に使ってもらおうと思って。「のらごや」のレンタル料金はそれほど高くないから、どうかなと。
――実際、発表の場を求めている人はたくさんいましたか?
野沢さん:それがですね、もうひとり佐藤さんという人が運営に関わってくれているんですけども、ふたりとも仕事に一生懸命の世間知らずで、どれだけ使いたい人がいるのかよくわかっていなかったんですよ。「のらごや」をはじめてから、「みなさん意外と困っていないんだ」ってわかりました(苦笑)。クラフトフェアなどいろいろなイベントが開催されていますもんね。「もっと宣伝をしないとな」と思いつつ、仕事もあるのでなかなか手が回らずにいます。
――この記事が少しでも役立つといいのですが……。
野沢さん:記事を見てくれた人が関心を持ってくれたら嬉しいですよ。どうしましょう、電話がジャンジャン鳴ったら(笑)

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ものづくりにリスペクト。
主役はいつだって、作り手。
――「のらごや」を使うときのルールはありますか?
野沢さん:商売、というか物販にはまったく興味がないんですよ。だから「のらごや」はただ物販をしたい、という人は禁止なの。ちゃんと自分でものを作っている人であれば、もちろん販売してもらって構わないんですけども。
――なぜそうしたんでしょう?
野沢さん:私はほら、大工だし農業もするし、趣味は木工だし、ものを作る人間なんですよ。作ることが好きというだけで、商売は得意じゃない(笑)。だから作り手にとてもリスペクトがあるんですね。何かを自分の手で生み出している人に。
――実は演劇をするお友達が「のらごや」さんの利用者で、リハーサルのときに野沢さんがピザを持ってきてくれたエピソードを教えてくれたんです。
野沢さん:演劇のみなさんは、本番だけじゃなくリハーサルでも「のらごや」を使わなくちゃいけないでしょう。この広さなので集客できる人数も限られますし、なんだか申し訳なくて。それで、ときどきピザを差し入れるんです。「レンタル料をまけてあげた」は嫌らしいけど、ノラ・クチーナさんのピザはみんなが喜んでくれるかな、と思って。この先、演者さんたちが有名になったら、「俺が育てたんです」って自慢します(笑)
――あはは(笑)。粋なお気遣いです。
野沢さん:儲けはないけど、「のらごや」を構えてよかったです。いろいろな人に会えましたからね。あと何年仕事ができるかわかりませんが、いずれ「のらごや」の運営にシフトするのも楽しそうだな、と思うんです。週の半分くらいここにいて、ウロウロしながら、みなさんをお迎えするのもいいなって。

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10畳のフリースペースから、
何かがはじまるかもしれない。
――「のらごや」さんのレンタルスペースはどれくらいの大きさでしょうか?
野沢さん:10畳くらいですね。定期的にハンドメイドの展示販売をしてくれる人もいますし、あとは陶芸や染め物、演劇の舞台として使ってくれる人もいます。こんな小さなところでいいのかな、と思うんですが、「構いません。ぜひ」と言ってくださるので、使っていただいています。
――ハンドメイドや演劇にも関心をお持ちなんですか?
野沢さん:いえいえ、まったくわからない分野で。でもどんなものか観てみたいですよ。このまま仕事ばっかりしていたら、それだけで人生終わっちゃう。50代を迎えてもなお、普段出会わない人たちと会えたらラッキーじゃないですか。
――そういう思惑もあったとは。
野沢さん:だって20代後半で大工として独立して、それからずっと自営業ですよ。建築業界は人材が不足しているから、運よくずっと仕事をいただくことができました。だけどもうすぐ60歳。ほんとうは60歳になったらリタイアしようと思っていましたけど、まだまだご依頼はありますんで。ありがたいですね。でもやっぱり動けるうちに、仕事以外のいろんなところに顔を出してみたい、と思うんですよ。そのひとつが「のらごや」ですね。仕事と畑、「のらごや」のどれも一生懸命です。
――「のらごや」を手放しちゃおうかな、と思ったことはありませんか?
野沢さん:手放すも何も、「のらごや」はまだそんなに忙しくないので仕事に支障はないですからね。でも若くてくすぶっている人がいるなら、お手軽なので使ってもらいたいですよ。もっと「のらごや」を知ってもらいたいです。


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