ものづくりは、コミュニケーション。
「toricolle」の明間さん。

ものづくり

2026.07.08

text by Ayaka Honma

紙を使って、モビールやウォールアートを制作している「toricolle(トリコレ)」の明間さん。今月の12日まで個展を開催していると聞き、お話を伺いに柏崎市のギャラリー「nokt(ノクト)」に向かいました。今回は作品を見せていただきながら、明間さんのこれまでのことや、制作のこと、ものづくりに向き合う姿勢など、いろいろお話を聞いてきました。

Interview

明間 典子

Noriko Akema(toricolle)

1985年上越市出身。工業高校を卒業後、長岡造形大学に進学しテキスタイルを学ぶ。その後は十日町市の着物メーカーで働きはじめる。社会人になってから刺繍や編みものなどを制作し、子育てをきっかけに紙を使ったモビールを作りはじめる。現在は「toricolle」として紙を使ったインテリアや雑貨を制作する。最近は親子そろって「Mrs.GREEN APPLE」にハマっている。

「何かを作りたい」と思い続け、
ずっと手を動かしてきた、これまで。

――今日はよろしくお願いします。まず、明間さんがものづくりを好きになったきっかけから教えてください。

明間さん:子どもの頃から絵を描いたり、何かを作ったりするのが好きだったんです。小学生になると、クラスの中でも勉強ができる子、運動ができる子が出てくる中で、私は「絵を描くことしかできないな」ってずっと思っていて。高校は、ものづくりを学びたくて地元の工業高校のデザイン科に進学しました。

 

――その後、長岡造形大学でテキスタイルを学ばれたんですね。

明間さん:高校卒業して就職するよりは、もう少し勉強したいなと思ったんです。布に関わるデザインを学ぶ学科で、3年生に進級したら、「染め」か「織り」か決めて勉強していましたね。ちなみに、私は「染め」を選びました。

 

――そもそも、どうしてテキスタイルを学びたいと思ったのでしょうか。

明間さん:当時は「ミナ ペルホネン」や「Marimekko」が流行っていて、「なんだか素敵だな」ってぼんやり思っていたんです。3年生のときに「染め」を選んだのも、染める技術というよりは、染める柄を作るのが面白かったからでした。柄って、同じモチーフを繰り返して作るじゃないですか。それを考えるのがすごく楽しかったんです。

 

――大学でテキスタイルを学ばれた後は、どんなお仕事を?

明間さん:十日町の着物のメーカーに就職して、デザインを考えるところから完成までの工程を管理する仕事をしていました。お客さんからのオーダーや自社のオリジナルの着物を、最初から最後まで関われる仕事で、すごく面白かったんですけど、だんだん「自分でイチから考えて、何かを作りたいな」と思うようになってきて。

 

――お仕事以外でも、ものづくりをしたいと思ったんですね。

明間さん:「思いついたアイデアを、実際に手を動かして作ってみたい」という思いが強くなって。同じ会社で働いている大学の後輩と一緒に、いろんなものを作って十日町のイベントに出店しはじめたんです。最初は刺繍をしたり、編みものをしたり、染めた布を使って服やバッグを作ってみたり……。そのときはまだ、何を作ればいいのかはわからなかったんですけど、自分が作ったもので人と関わりたいという気持ちはありました。

 

――その気持ちが、明間さんのものづくりへのモチベーションになっていたと。

明間さん:それと、年に1回はやっていた展示会もモチベーションのひとつでした。実は私、「やりたい」と思ってもなかなか動けないタイプで(笑)、ものを作るには、誰かと約束したり、協力してもらったりする必要があったんです。今、個展を開いている「nokt(ノクト)」さんでは、ご縁があって10年以上、毎年展示会をさせていただいているんですよ。

 

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シンプルで、馴染む。
作って飾って、楽しめる紙のアート。

――様々なものづくりをしてきた明間さんが、紙を使ってのものづくりをはじめたきっかけは?

明間さん:結婚して、子どもが生まれて、今までの生活が大きく変わったんです。それまで布を染めるとき、型を手で切っていたんですけど、その時間が取れなくなりそうで。でも、毎年やっている個展はどうしても続けたかったので、作業の効率を上げるためにカッティングマシンを買ったら、子育て中でもなんとかものづくりを続けることができたんです。マシンを使っているうちに、これは紙も切れることに気づいて、試しに紙でモビールを作ってみることにしたんですよ。

 

――どうしてモビールを作ることにしたのでしょう。

明間さん: ちょうどその頃、子どもが3ヶ月くらいで、たまたま「モビールが欲しいな」と思っていたんです。それで紙をマシンで切って作ってみたら、思っていたよりも面白くて。「紙でいろんなことができるんじゃないか」と思って、技法にとらわれず、いろいろ作りはじめました。

 

――あらためて、明間さんが今取り組んでいる作品について教えてください。

明間さん:今まで学んできたテキスタイルをもとに、配色や柄の形を考えて、立体感を楽しんでもらえるような作品だと思っています。植物や蝶、花をモチーフにした作品が多いのですが、これはテキスタイル以外にも、今もお仕事をさせてもらっている着物の影響も受けていると思います。着物では、目線が流れるように柄を配置します。それと同じように私の作品も、見ていて違和感のない、目に馴染むような柄の流れを意識しているんです。

 

――モビールからはじまり、今はウォールアートやオーナメントなど、作品の幅が広がっています。

明間さん:これはコロナ禍の影響が大きかったですね。人と関わるためには、人から必要とされるものを作らないとって以前から考えていて。お家にいる時間が増えたから、ウォールアートみたいに、お部屋に飾って楽しんでもらえるものを作りはじめたんです。

 

――作品づくりを体験できるキットもあるんだとか。

明間さん:個展中にワークショップを開いたのがきっかけでした。個展に来てくれた方とお話ができて、面白いなと思っていたんです。ワークショップをする中で、ワークショップの「教える」と「教えられる」というかたちに、ワークショップに参加してくれる方との距離をだんだん感じるようになって。どうせだったら同じ方向を見て楽しめる内容にできたらと考えるようになりました。

 

――それで、「教える」ではなく「一緒に作る」ことにしたんですね。

明間さん:そのワークショップを知ってくださった方から「プレママ向けにモビールのキットを作ってもらえませんか」っていうお話があって。それでできたのが、このモビールのキットなんです。結ぶだけでできるので、気軽に楽しんでもらえますよ。これからも、いろいろな方に楽しんでもらえるペーパーアートキットを作って、種類も広げていけたらいいなと思っています。

 

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上手くいかないことは、たくさんある。
それも含めて、紙は面白い。

――明間さんにとって、ご自身の作品はどんな存在なんですか?

明間さん:作品はコミュニケーションのツールだと思っているんです。私が「いいな」と思って作ったものを見て、「私も好きです」と言ってくれる人がいたら、お互い好きなものを共有できるじゃないですか。実は、私の母は以前洋服の縫製の仕事をしていて。ふたりでテレビを見ながら、「このジャケットいいね」と話す時間が昔から好きだったんです。私の作品がきっかけで、そんな会話が生まれたらいいなと思っています。

 

――そんな作品づくりの中で、壁にぶつかったことはあるのでしょうか。

明間さん:もちろん、思い描いた通りにならないことなんて、しょっちゅうです(笑)。でも、うまくいかないときもすごく面白いと思うんです。そういうときは、別の方法を考えるようにしていて。例えば、紙を真っすぐにして展示したいと思っていた作品が、重さや湿気で曲がっちゃったときは、無理に真っすぐにしないで、曲がることを前提に作品を作ろう、と考え方を変えてみるんです。

 

――なるほど、アプローチの仕方を変えるんですね。

明間さん:うまくいかないことも含めて、紙の面白さだなって思うんです。私は小さい頃から、壁にぶつかったら、別の方法で乗り越えられないかなって考えることが多くて。王道というよりは、ちょっとニッチなほうを選択する人がいてもいいんじゃないかなって思いながら、ものづくりと向き合っています。

 

――勉強になります。最後に、明間さんのこれからの目標を教えてください。

明間さん:子育てもだんだん落ち着いてきたので、イベントや展示会にもっと出て、いろんな人やものに出会えたらいいなと思っています。これからの人生はまだまだ長いですし、人と関わりながら、自分が楽しめることを続けていけるような土台を作っていけたらいいなと思っています。今まで、たくさんの方に自分のものづくりのきっかけを作ってもらっていたので、今後は自分でもきっかけを作れるように、広く活動していきたいですね。

 

toricolle

 

7/12まで個展「toricolle paper art structure study」開催中。

 

場所:nokt(柏崎市松波3-3-28)

時間:14:00-19:00

定休日:木曜日

※最新の情報や正確な位置情報等は公式のHPやSNS等からご確認ください。なお掲載から期間が空いた店舗等は移転・閉店の場合があります。また記事は諸事情により予告なく掲載を終了する場合もございます。予めご了承ください。

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