厳選素材の日本料理を気軽に楽しめる
東堀の「にほん料理 たにまつ」
食べる
2026.08.25
魚屋さんからご紹介をいただいて、新潟市中央区の東堀通にある「にほん料理 たにまつ」へお邪魔しました。カウンター席だけの店内は心地よいBGMが流れ、ゆったりした雰囲気でまさに「大人の隠れ家」。カウンターの奥で元気よく迎えてくれたのは、ドレッドヘアの料理人・大谷さんでした。
大谷 新次
Shinji Otani(にほん料理 たにまつ)
1976年新潟市西蒲区(旧潟東村)生まれ。東京日本橋の割烹をはじめ、結婚式場、ホテル、茶懐石専門店、セレモニーホール、居酒屋と幅広く経験を積み、2025年に「にほん料理 たにまつ」を開業。ファッションやストリートミュージックが好き。
中華料理店のアルバイトからはじまり、
結婚式場から茶懐石まで幅広く経験。
――日本料理店とバーが融合したような雰囲気のお店ですね。
大谷さん:いかにも日本料理の店という感じにしたくなかったので、白やベージュではなくブラックやグレーでまとめて「大人の隠れ家」みたいな雰囲気を目指したんです。
――カウンターも広々していて気持ちいいです。
大谷さん:ひとりで店を回せるようにカウンターだけの店にして、お皿がたくさん並んでも途中でバッシングしなくてもいいように幅を広く取っているんです。
――なるほど。ところで、大谷さんはどうして料理の道へ進むことになったんですか?
大谷さん:都会に憧れて京都で暮らしたことがあったんです。叔父の元に身を寄せていたんですけど、その叔父が中華料理店の店長をやっていたので、その店でアルバイトをしたことがきっかけになりました。
――日本料理ではなく、中華料理からはじまったんですね。
大谷さん:そうなんですよ。新潟に戻ってから、同じ店で働いていた板前さんが調理する姿に憧れて、日本料理に興味を持つようになりまして、その方が以前修業した東京日本橋にある割烹で修業させてもらえることになったんです。
――それはよかったですね。どんなお店だったんですか?
大谷さん:伝統的な日本料理店でしたね。経験がまったくなかったので毎日が勉強でしたが、まわりはみんな夢を持って修業に来ている人ばかりだったので、僕も一生懸命にやらなければ追いつけませんでした。
――そんなにお弟子さんがいるお店だったんですね。
大谷さん:親方は有名な料理人で、OBも含めて100人以上の弟子がいました。昔気質の職人だったので、ほとんど休みなく働いていましたし、筋の通らない曲がったことが嫌いな人でしたね。
――怒られたことなどもあったんでしょうか?
大谷さん:修業して3年が経った頃、他の店でも勉強してみたくなったんです。まだ若かったこともあって、親方に断りなく次の職場を決めてしまったとき、それまでにないくらい怒られました。親方にしてみれば新潟にいる弟子から僕を預かっているので、東京にいる間は責任があるんですよね。怒られた後に「次の職場に行っても困ったことがあったら連絡しろ」と言われ、反省しつつもありがたく感じました。今振り返ると、料理人としての基礎だけでなく、人として大切なことも親方から教えていただいたと思っています。今でも本当に感謝しています。
――そんな面倒見のいい親方だったら、多くのお弟子さんがいたんでしょうね。その後はどんなところで経験を積んだんですか?
大谷さん:東京ではとにかくいろいろな職場を経験させてもらいました。大きな結婚式場では大人数の料理を効率よく用意する経験をしましたし、赤坂の店では茶懐石の世界に触れさせてもらいました。なかなかできない経験をさせていただけて、とても勉強になりましたね。

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居酒屋で働いたときの経験をもとに、
日本料理を気軽に楽しむ店が生まれる
――新潟に帰ってきたのはいつ頃なんですか?
大谷さん:32歳のときです。帰ってきてからはセレモニーホールや居酒屋で働いたんですけど、その居酒屋から大きな影響を受けましたね。
――どんな影響を受けたのか教えてください。
大谷さん:東京にいたとき、日本料理を気軽に楽しめる店で働いたことがあったんです。カウンターだけの店だったので、お客様と会話をしながら調理しなければならなくて、最初は嫌だったんですけど、やっているうちにだんだん楽しくなっていきました。何より料理を食べたお客様の反応がリアルタイムで見られるのが嬉しかったんです。でも、新潟のその居酒屋はそれ以上だったんですよ。
――というと?
大谷さん:これまでの僕は、料理をつくることに重点を置きながらやってきたんです。そこの居酒屋は料理に力を入れるのはもちろんなんだけど、それ以上にフレンドリーな接客でお客様を楽しませることに重点を置いていたんですよ。僕のなかにある価値観が180度変わった経験でしたね。
――割烹や結婚式場ではできない経験だったんですね。
大谷さん:そうなんですよ。今まで経験してきた日本料理と、居酒屋で経験した営業スタイルを両方できたら最強じゃんと思いました(笑)。それで、厳選素材を使った日本料理を居酒屋みたいな気軽さで楽しんでいただける、親しみやすい割烹をやってみようと考えたんです。料理のおいしさはもちろん、そこに会話や接客の楽しさを加えて、100%満足できるお店を目指していきたいと思っています。
――ちなみに「にほん料理 たにまつ」という店名には、どのような由来があるんでしょう?
大谷さん:日本料理の店らしく「市松」という店名を考えていたんですよ。でも、あまりにストレートな名前だったので、僕の名字から「谷」を取って「谷松」としたんです。でも漢字だと硬くて敷居が高く感じられるので、ひらがなで「たにまつ」としました。「日本料理」も同様に「にほん料理」と柔らかく表現しています。

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カウンター越しに目の前で調理する
ライブ感を大切にしている。
――料理のこだわりについてもお聞きしたいです。
大谷さん:良い素材だったら新潟県産にこだわらず、全国から取り寄せて使いたいと思っているんです。今まで県外で料理の仕事をしてきたからこその考え方かもしれませんね。もちろん、美味しいものなら新潟県産の素材も使っています。
――他にもこだわっていることがあれば教えてください。
大谷さん:お客様の目の前で調理をするライブ感を大切にしているんです。見られていることで緊張感を持って調理できますし、お客様にも楽しんでいただけるのではないかと思っています。最近はより調理をお楽しみいただけるよう「藁焼き」の料理をはじめました。
――「炭火焼き」はよくあるけど「藁焼き」は珍しいような気がします。
大谷さん:他にはないような看板料理をつくりたかったんです。藁で焼くことによって香りがつくし、煙が出るのでライブ感も楽しんでいただけます。藁焼きで使うのはカツオやサワラといった、その季節ごとの旬の食材です。
――料理がより美味しく感じられそうですね。ライブ感の他に対面のメリットはありますか?
大谷さん:お客様との会話のなかで、おすすめの日本酒を教えていただくことがあります。なかには、おすすめの日本酒を譲ってくださる方もいて、どんどん日本酒が増えてきたんです。新潟県内のお酒も扱いながら、県外のお酒にも力を入れています。そのせいか県内ではなかなか見かけない珍しいお酒も多いんですよ。とはいいつつ、私はお酒が飲めないんですけどね(笑)
――じゃあ、日本酒について教えてくれるお客さんは心強い存在ですね(笑)。最後に、これからの抱負を聞かせてください。
大谷さん:「日本料理」というと敷居が高く感じられがちですけど、今までと変わらず、良い素材を使った日本料理を提供しながら、居酒屋のようなノリで気軽に楽しめるお店を続けていきたいです。


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