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農業にエンターテイメントを持ち込んだ「BRING BACK」。

ダンス、ポッドキャスト、イラスト、そして農業。

踊って、喋って、描いて、耕して。農業にエンターテイメントのエッセンスを盛り込んだ農家さんがいます。その名は、稲作&苺農家「SHOKURO」の山倉慎二さんこと「BRING BACK(ブリングバック)」。ダンスやポッドキャスト、イラストと農業を絡めた独自の発信をしているとの噂を聞きつけて、ワクワクしながらインタビューに行ってきましたが……現れたのはなんと……。

 

BRING BACK

山倉 慎二 Shinji Yamakura

1986年新潟市生まれ。加茂農林高校を卒業後、新潟県農業大学校へ進学。2009年に就農し、米と苺をメインに農業を勤しむ傍ら、ダンスやポッドキャスト、イラストと農業を組み合わせた独自の発信を行う。

 

農業×エンターテイメント。その正体とは?

――山倉さんは農業をされていますよね。何を作っているんですか?

山倉さん:コシヒカリとこしいぶきの稲作と、越後姫(苺)の栽培をメインに。それと、ばあちゃんがニンジンやピーマンなどの昔から馴染みのあるクラシックな野菜を育てています。

 

――食卓に上がる食材全般といった感じですね。

山倉さん:そうですね。でも、一般的な農業スタイルとは違っていて、2019年冬から「農業にエンターテイメントを」という理念を掲げて、自分が今までにやってきたダンスやポッドキャスト、イラストといったエンターテイメントの要素をプラスしながら「BRING BACK」の別名でも活動しています。

 

 

――農業にエンターテイメントを? ダンスやポッドキャスト、イラスト? 一体どういうことですか?

山倉さん:簡単に説明すると、農業をやっているだけじゃなくて、そこで得た知識や情報を発信したり、直売会などのイベントでダンスを踊ったり、イラストを描いたり、農業をしている自分たちだけじゃなくて周りの人たちも楽しめるようなことができたらと思って、エンターテイメントの要素を農業に取り入れました。それでは僕とエンターテイメントの出会いを語っちゃいますね。

 

 

僕とエンターテイメントの出会い。これがあるから今がある。

――お願いします。まずはダンスとの出会いから教えてください。

山倉さん:ダンスは就農してから3年後、23歳ぐらいの時にダイエット目的でスタートしました。昔から大人しくしているのが苦手なタイプだったし、ヒップホップも好きだったから、ブレイクダンスがズサッと刺さったんです。それにオリジナルの技が作れるクリエイティビティや、成長していくドラクエみたいな感覚も楽しくて。自分のスタイルを持たないといけないダンスは、農業に落とし込むべきだと感じましたね。

 

 

――ダンスをはじめたのは就農してからだったんですね。ポッドキャストをはじめたキッカケは?

山倉さん:仕事中にラジオをよく聞いていて、影響を受けていたから、自分も発信する側になりたいと思って、2~3年前に機材を揃えてはじめました。今は、日常生活をダラダラ語る「BRING BACKのStyleこそ全て」、ダンサー仲間やいろんな仕事をしている知人にインタビューする「Styleこそ全て」、中学の同級生3人組のラップドキュメンタリー「出汁ラジオ」の3本をポッドキャストで配信しています。

 

――ちなみに「Styleこそ全て」では、農業をされている方にもインタビューをするんですか?

山倉さん:そうですね。農薬のキャラクターがやたら可愛いとか、Tシャツ焼けの悩みとか。あとは米を乾燥させる機械が「ドライゴン」、米を持ち上げるマシーンが「楽だ」とか、器具のネーミングが適当だよねって、あるあるネタなんかも。ちなみに、全国で農業ポッドキャストが流行っているんですよ。

 

 

――ネーミングセンスが抜群ですね(笑)。農業をしていなくても楽しめそうですね。それでは最後のイラストについてもお願いします。

山倉さん:そもそも絵を描くのが保育園の時から好きで、小学生になるとオリジナルマンガを描くほどでした。その特技を生かして、野菜を売りながら買ってくれた人の似顔を描いてみたんです。そしたら、野菜より喜んでくれて(笑)。これを定期的にやってみたり、自分でキャラクターを作ってみたり、農業に生かすことにしたんですよ。あ! キャラクターといえば、栽培している越後姫を題材にした……ちょっと待っていてください。連れてきますね。

 

――え? ええ? 連れてくるってどういうことですか??

山倉さん:どーもー! 越後姫のイメージキャラクター「スーパーエチゴヒメギャングスタ」でーす。

 

 

 

――いやいや、山倉さんですよね(笑)。どうしたんですか急に。

山倉さん:越後姫の対面販売会とか、プライベートのいちご狩りの季節になるとしていて、その時は「スーパーエチゴヒメギャングスタ」になって活動しているんです。JAの人とトークショーしたり、歌って踊ったりも。これぞ農業とエンターテイメントの融合じゃないですか?

 

――確かに融合ですけど…。どうして自分がキャラクターになろうと思ったんですか?

山倉さん:笹団子をモチーフにした「スーパーササダンゴマシン」というプロレスラーを知っていますか?  武道館で試合前にパワーポイントを使ったプレゼンテーションをしちゃうようなレスラーで、めちゃくちゃ崇めているんですよ。だから自分も振り切ったことをしようと思って、「スーパーエチゴヒメギャングスタ」になったんです(笑)

 

 

――確かに振り切れていますね(笑)。ここまでいろんな活動をされていて、目指すゴールはあるんですか?

山倉さん:恥ずかしいけど……日本のスターになりたいんです! 農業にはじまって、ダンスやポッドキャスト、イラストを頑張って、今では「スーパーエチゴヒメギャングスタ」にもなりました。それぞれ同じ熱量で頑張っているからこそ、どれかのスターではなくて、トータルのスターを目指しています。

 

――どれかではなくて、トータルのスター。つまりは農業とエンターテイメントを合わせたジャンルでのスターってことですね。それでは最後に、今の活動を通して伝えていきたいことを教えてください。

山倉さん:スターを目指して、農業にエンターテイメントを組み込んだ活動をしているけど、正直、これから何を伝えていくべきなのかは明確になっていません。でも、何かを伝えるためには影響力のあるスターにならないといけないのは確かです。だからこそ、伝えたいことを見出しながら、農業とエンターテイメントでたくさんの人たちをハッピーにしていけたら楽しいかなって思います。

 

カズコさんのスイカと枝豆。そして缶ジュース。

取材でうかがったのは、山倉家。「これ、カズコ(山倉さんのおばあちゃん)が育てたスイカと枝豆だから、よかったら食べながら話しましょう」と、夏を感じるおもてなしをしてくれました。雑談からスタートしたインタビューの序盤、なんとカズコさんご本人が登場。「これもよかったら飲んでね」って、缶ジュースまで持ってきてくれました。嬉しい限りです。そして美味しかったです。ちなみにインタビュー後には「Styleこと全て」の収録が。Thingsの話をちょこっとさせてもらいましたので、よかったら聞いてください。

 

 

 

BRING BACK(SHOKURO)

新潟県新潟市江南区西山521

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