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キャッシュレス×スタッフレスのコンセプトショップ「Cream Sugar」。

南魚沼市旧六日町に、「スタッフ不在」「入店は1組だけ」「キャッシュレス決済のみ」という新しいスタイルで注目を集めているお店があります。お店のホームページを覗くと「体験が商品」の「コンセプトショップ」との紹介文が。いったいどんなところなのか、「Cream Sugar」の荒井さんにお話を伺ってきました。

 

Cream Sugar

荒井 達也 tatsuya arai

1985年魚沼市生まれ。生家「寶蔵寺」の僧侶となるため大正大学へ進学。臨床心理学や仏教学を学び、在学中に僧侶の修行も積む。大学卒業後、飲食業「株式会社ダイヤモンドダイニング」へ就職。幅広い業態の飲食店のマネジメント、サービスの提案、新規出店支援などを行う。30歳で結婚し地元に戻り、魚沼市の障がい者支援施設「六花園」で利用者のケアに携わる。2021年南魚沼市にコンセプトショップ「Cream Sugar」をオープン。

 

トレンドスイーツ、スタッフレス、キャッシュレス。南魚沼市に今までない体験を。

——「Cream Sugar」ってどんなお店なんでしょう。ちょっと変わった運用をされているようですが……。

荒井さん:スタッフレス、キャッスレス、トレンドスイーツをキーワードにしています。今販売していのはクロッフルという韓国発祥のワッフルみたいなクロワッサンとティラミス。あとは個性的なボトルのドリンクです。数ヶ月ごとにスイーツのフレーバーを入れ替えていて、お客さまが飽きないように工夫をしています。

 

——南魚沼にはあまりないスタイルのお店ですよね。

荒井さん:「今までにない体験ができるお店を作りたい」という思いがありました。提供しているのはスイーツではなく「体験」なんです。それでこういった業態にたどり着きました。クロッフルなどを商品に選んだのも、南魚沼市では都市圏で流行っているトレンドスイーツを楽しめる場所がないからです。このコロナ禍で東京に行く機会も減っていますし。

 

 

——店内への入店は1組ずつにされていますよね。それにはどんな狙いが?

荒井さん:そのお客さまだけで空間を楽しめるところにあると思っています。店内で「かわいい!」「すごいよ!」って大声でリアクションしても大丈夫です。お客さまだけで、お店にいる時間を楽しむ。そんな「体験」は有人の店舗ではできないと思うんです。

 

——確かにそうですね。

荒井さん:お店ではスイーツを販売していますが、提供したいものは「お菓子じゃなくて体験」です。なので「お菓子屋」ではなくて「コンセプトショップ」と表現しています。「スイーツに固執する必要もないし、体験を提供するのに、それって果たしてお菓子屋さんなの?」と思いまして。

 

——お店にはどんな仕掛けをされているんですか?

荒井さん:店舗内にいくつか撮影スポットを用意しています。他の人の目があると、写真の撮影も自由にしにくいでしょうけど、ここでは好きなように楽しんでもらえます。推しメンバーのグッズと一緒に撮影する「推し活」だってできますよ。カフェなら気にせず撮影できても、小売店ではなかなかできませんよね。

 

新スタイルのお店にも、人のつながり、人情を感じるエピソードが。

——実際のところ、スタッフ不在という運用で困ったことはありませんでした?

荒井さん:補助的にリモート通話ができる機能や電子決済をサポートするシステムを導入しているので、幸いこれまでに解消できなかったトラブルはありません。もちろん商品の持ち逃げもゼロです。

 

——ほっ。それはよかった。でもキャッシュレスということは、やっぱりちょっとハードルが高そうな気が……。

荒井さん:自分の中でもそこを課題だと捉えていて、確かに年配の方の利用は少ないです。でも「このお店に来たいから」という理由で高齢のお客さまがキャッスレスにチャレンジしたケースが3件あるんですよ! おひとりは78歳の方で、スマホに変えたばかりだから「Cream Sugar」に来てみたいと。もう、すごく嬉しかったですね。そのときは、僕が一緒にシステムの操作をお手伝いさせてもらったので、スタッフレスではなかったですが(笑)

 

——なんともほっこりさせられるエピソード。

荒井さん:僕自身、人とのつながりを求めているんですけど、「Cream Sugar」自体はスタッフレス、キャッスレスとちょっと次世代的なトライをしています。でも、こういったシステムがあることで「どうやって使うんだろう」とか「こんな写真が撮れたよ」とか、多少なりともつながりを生めているのかな、って思っています。不親切な店だとは思いますけど、そんなところにちょっとした良さを感じるんです。

 

 

——お店のスイーツは荒井さんのお手製なんですよね。どんなところにこだわっているんですか?

荒井さん:味ももちろん重要なポイントだと思っていますが、いちばん大事にしているのは見た目です。選ぶ楽しさ、写真を撮るときにわくわくする感じが「体験を提供する」この店には欠かせないのかな、と思っています。

 

——ところで、「ティラミスto go」というネーミングが気になっているのですが。

荒井さん:僕、東京で暮らしていた頃、食べ歩きがすごく好きだったんです。街中に手軽に食べられるものがいろいろあって、何かを買って食べながら、次の楽しみを探して歩く。全部が線でつながっているみたいな楽しみがあったんですよね。それでこの辺りにも食べ歩き文化を浸透させたいと思って「ティラミスto go」と名付けました。

 

——なるほど。食べ歩きを。

荒井さん:南魚沼のトレンドスイーツを南魚沼で楽しんで欲しいと思ったんですよ。丘の上で食べたり、段々畑を見ながら食べたりしたら気持ちがいいだろうな、って。でも実際は皆さん、自宅に持ち帰ったり、お土産用だったりすることが多くて、買ってすぐ食べてもらうことは難しいですね。そこはまだまだ試行錯誤しているところです。

 

飲食業で培った経験とノウハウ。それに荒井さんの意外な本業が背景に。

——ところで、荒井さんは住職というお役目もあるんですよね。

荒井さん:はい、そうです。お菓子づくりをしているときでも法話を聞いています。実は「Cream Sugar」をスタッフレスでキャッシュレスの運用にした理由のひとつは、「僕がここにいなくてもお客さまが楽しめる仕掛けができないものだろうか」と考えたからなんです。

 

——なるほど。でもどうして飲食の仕事をやろうと?

荒井さん:大学を出たばかりの頃は、まだ祖父が現役の住職でしたし、すぐに地元に戻ることは考えませんでした。当時から飲食の仕事に興味があって、新卒で「ダイヤモンドダイニング」に入社して、いろいろな業態の飲食店の出店に携わったり、店舗を統括したりしていました。

 

——「Cream Sugar」では荒井さんの飲食業での経験が生かされているんですね。

荒井さん:それは間違いないと思います。飲食店に関することはひと通り勉強させてもらいましたから。でも自分で調理することを経験をしてみて、やっぱり僕は経営やサービスを考えることが好きなんだって改めて気がつきましたね。「Cream Sugar」のようなお店って、商品に依存せずに多角的な運用ができると思うんです。今後は自分の経験とこのお店のシステムを使って、もっといろいろな仕掛けにチャレンジしてみたいですね。

 

 

 

Cream Sugar

南魚沼市余川1632

営業時間 11:00〜18:00(完売次第終了)

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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