Things

昼飲みもできる市場のなかの定食屋さん「丼や いし井」。

鮮魚店や乾物店の他に露店も並び、「新潟市の台所」と呼ばれる本町商店街。そのなかには昼間からお酒が楽しめるお店もあります。今回紹介する「丼や いし井」もそのひとつ。カウンター席で一杯やりたい気持ちを抑えつつ、店主の石井さんからいろいろなお話を聞いてきました。

 

 

丼や いし井

石井 秀樹 Hideki Ishii

1952年新発田市(旧紫雲寺町)生まれ。新宿の大衆割烹からはじまり、新潟市内のいろいろな割烹で経験を積み、2009年に「本町食品センター」内で「丼や いし井」をオープン。2018年の「本町食品センター」閉業に伴い、2019年からは「青海ショッピングセンター」内で営業を再開。お酒のなかではビールがいちばん好き。

 

オープンまでの歩みと、移転のいきさつ。

——石井さんは今までずっと料理の仕事をしてきたんでしょうか?

石井さん:そう。中学を卒業してすぐに集団就職で上京して、新宿にあった大衆割烹で働きはじめたんだよ。

 

——それ以前から料理には興味があったんですか?

石井さん:俺の実家は川で獲った魚を捌いて売る商売をしていたんだよ。子どもの頃から八つ目(うなぎ)を捌く手伝いなんかをしていたので、自然と料理人を目指していたのかもしれないね。

 

——東京にはどのくらいいたんでしょうか?

石井さん:東京の水が合わなかったのか、体調を崩してすぐに新潟の実家へ帰ってきたんだよね。俺はまた上京するつもりだったんだけど、親父が探してきた新潟市内の割烹で働くことになったんだ。

 

——その割烹ではどんなお仕事を?

石井さん:「追い回し」っていってさ、鍋磨きから魚の下ごしらえまで、いろんな下働きをしていたね。下働きをしながら、親方や先輩の仕事を見て技術を盗むんだよ。

 

——いかにも板前の修業って感じですね。料理を任せてもらうようになったのは、いつからなんですか?

石井さん:カウンター割烹で働きはじめた頃からだな。お客さんと話しながら料理をするのが楽しくて、自分にはこっちの方が向いているって思ったね。それ以来、ずっとカウンター割烹の店で働いてきたなぁ。

 

 

——それが今のお店に引き継がれているんですね。独立して自分のお店をはじめたいというのは、ずっと考えていたことなんですか?

石井さん:そうでもないんだけど、店の経営者って高齢のことが多いから、いつ店を閉めるって言い出すかわからないんだよ。それなら自分で店をはじめようと思って、2009年に「丼や いし井」をオープンしたんだね。

 

——「丼や いし井」さんって、本町商店街の雰囲気に合ったお店ですよね。

石井さん:俺が働いてきた店は本町周辺が多かったから、顔馴染みも多かったし、愛着もあったんだよ。「本町食品センター」の理事長も知り合いだったから相談してみたら、テナントを貸してもらえることになったんだよね。

 

——何年か前に「本町食品センター」から「青海ショッピングセンター」へ移転しましたけど、そのときは大変だったんですか?

石井さん:「本町食品センター」は何軒かの鮮魚店が共同出資して営業していた施設だったんだけど、だんだん鮮魚店が抜けていって閉業することになったんだよ。うちは運よく「青海ショッピングセンター」の空きテナントに入ることができたんだけど、移転したことを知らない人も多くて一時はお客さんががっつり減ったんだよね。今でも移転を知らない人がいるんじゃないかな。

 

どんどん増えていった、多彩なメニュー。

——それにしても、メニューが多いですよね(笑)

石井さん:最初は親子丼しかなかったんだよ(笑)

 

——どうして親子丼だったんですか?

石井さん:俺が好きな料理だから。観光客は「タレかつ丼はないんですか?」って聞いてくるから、最初はタレかつ丼のお店を案内してたんだよ(笑)。でも、あんまりリクエストが多いから自分でも提供することにしたんだよね。その後もお客さんからのリクエストに応えているうちに、メニューがどんどん増えていったって感じ。

 

 

——「日替わり定食」はやっていないんですね。

石井さん:「日替わり定食」にしちゃうと、嫌いな食べ物が入っていることもあるじゃん。だったら日替わりでも、なんの料理かわかる具体的な名前で出してあげた方が親切かなと思ってさ。俺自身、好き嫌いが多いからね(笑)

 

——「日替わり定食」って名前じゃないけど、日替わりの定食があるんですね(笑)

石井さん:お客さんが釣った魚を持ってきてくれることなんかもあるから、そのとき手に入った食材を使ったメニューになっているんだよね。

 

——料理をするときにこだわっていることってあるんですか?

石井さん:う〜ん……化学調味料を使わないで、手間がかかっても煮干や昆布、干し椎茸といった天然素材でダシを取るってことかな。うま味が全然違ってくるからね。

 

——さすが、ずっと割烹で働いてきただけありますね。定食や丼のお店を続けてきて、大変なことはあるんでしょうか?

石井さん:まあ、ひとりで料理を作っているし、厨房も狭いから、まとまってお客さんが来ると大変かな(笑)。うちはカウンター席以外にも、あっちに広いテーブル席があるからね。特に仕事中の昼休みだと時間も限られてるじゃん。お客さんを待たせしないように賄うためには、段取りよく作るように気をつけてるね。

 

定食だけじゃなく、お酒も楽しく飲めるお店。

——こちらのお店は昼飲みのお客さんも多いんですよね。

石井さん:週末は昼からお酒を楽しんでいるお客さんが多いね。こういう市場のなかの店だから周りから見えることもあって、悪酔いして絡んだりするようなお客さんはいないんだよ。だから女性も安心して昼飲みしに来るね。

 

——カウンター席だと、お客さん同士の会話もありそうですね。

石井さん:みんな自分の身分や立場なんて関係なく、お酒を楽しんでいるんだよ。だから自分の職業をPRする人もいないし、ビジネスを持ち込むような人もいないね。

 

 

——楽しくお酒が飲めそうな雰囲気ですね。石井さんはお客さんと飲んだりすることがあるんでしょうか?

石井さん:常連さんと年に1回ビアガーデンに行くし、俺の誕生日にも集まって飲んだりしてるよ。古希のお祝いをしてもらったこともあるね。お客さんには仲良くしてもらって、本当にありがたいと思ってるよ。

 

——お客さんとのいい関係が伝わってきますね。

石井さん:うちの店は7月2日が開店記念日だから、毎年7月に周年祭のイベントをやっているんだよね。今年も7月6日と7日の2日間にお客さんへの感謝の気持ちを込めて、ワンコインの限定メニューを提供させていただく予定なんだよ。

 

 

 

丼や いし井

新潟市中央区本町通6番町1114-1 青海ショッピングセンター内

025-224-0920

11:00-17:00

不定休

  • She
  • 僕らの工場
  • 僕らのソウルフード
  • Things×セキスイハイム 住宅のプロが教える、ゼロからはじめる家づくり。


TOP