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来年10周年を迎える、変わった名前の人気ラーメン店「ら麺のりダー」。

かつて放送されていたフジテレビ系列のバラエティ番組「とんねるずのみなさんのおかげです」。その番組に登場する人気キャラクター「仮面ノリダー」をもじったような店名のラーメン店が、新潟市東区にあります。その名も「ら麺のりダー」。営業中のお店にお邪魔して、どうしてそういう名前のお店をはじめたのかなど、オーナーの渋木さんからいろいろお話を聞いてきました。

 

 

ら麺のりダー

渋木 憲夫 Norio Shibuki

1971年燕市生まれ。建設業よりラーメン業界に転身し、「ラーメン亭 一兆(いっちょう)」でアルバイトをはじめる。その後「だるまやグループ」の社員となり「ちゃーしゅうや武蔵」「麺や 大舎厘(だいしゃりん)」で経験を重ねる。2013年に独立し「ら麺のりダー」をオープンする。バイクとお酒が好き。

 

建設業からの転職で、年下の上司に叱られる日々。

——まずは渋木さんがラーメン業界に進むことになったきっかけを教えてください。

渋木さん:以前は建設会社で測量の仕事をしていたんですが、国の政策で建設業界の仕事が激減したんですよ。それまでは和気あいあいとしていた会社の雰囲気が変わって、なんかギスギスしたムードになってきてしまって……。僕もいろいろ考えた末、ラーメン屋に転職しようと決心しました。

 

——どうしてラーメン屋さんになろうと?

渋木さん:もともとラーメンが好きだったので、どうせやるなら自分の好きなことを仕事にしようと思ったんです。それまでは地元のラーメン屋くらいしか行ったことがなかったので、新潟県内のラーメン屋を広く食べ歩きしてみました。そのとき食べた新潟市河渡にある「ラーメン亭 一兆」の「煮干し醤油らーめん」に衝撃を受けて、まずそのお店でアルバイトをはじめたんです。

 

 

——それまでとはまったく畑違いのラーメン店で働くことになったわけですけど、大変じゃなかったですか?

渋木さん:大変でしたね(笑)。ラーメン店はスピードが大事な仕事なんですけど、僕は年齢的なこともあって仕事を覚えるのが遅かったので、毎日のように怒られていました。しかも年下の上司から怒られるので、メンタルが傷つくことも多かったですね。独立のための修行として働きはじめたものの、とても独立どころじゃないって思いました。

 

——けっこうつらかったんですね……。

渋木さん:でも年下の人達に負けたくないっていう気持ちで頑張りました。そうしたら店長に勧められて「だるまやグループ」の正社員になれたんです。ただ、正直言って、最初は「ラーメン亭 一兆」が「だるまやグループ」だっていうことすら知らなかったんですよ(笑)。正社員になってからは「ちゃーしゅうや武蔵」で1年、「麺や 大舎厘」で店長として5年働きました。

 

 

——その後は独立を?

渋木さん:はい。結婚を機に「ら麺のりダー」をオープンしました。

 

インパクトのある店名は兄が名付け親。

——ずっと気になっていたことを質問をさせてもらいます。「ら麺のりダー」っていう店名は、以前大人気だったバラエティー番組のキャラクター「仮面ノリダー」に由来しているんですよね?

渋木さん:「仮面ノリダー」に「ラーメン」と僕の名前の「憲夫」をかけたものです。僕はもっと固い店名を考えていたんですが、兄の元に結婚と開店の報告に行ったところ、「もう、おめーの店の名前は決まってるんだ」って言われて、この名前をつけられたんです(笑)

 

——あはは、じゃあその店名を素直に受け入れたんですね(笑)

渋木さん:柔らかくて親しみやすいですし、家族や仲間と「ラーメン食いてっけ、のりダー行こうれ!」って言ってもらえたらいいなと思って受け入れました(笑)。今ではとても気に入っています。

 

 

——たしかに親しみやすい店名ですよね。オープンしてから今まで経営は順調だったんでしょうか?

渋木さん:オープンして数年は集客に苦労しましたね。支払いが滞ったりすることはなかったんですけど、いつもお金の心配をしていました。心配をしなくても大丈夫になったのは5年くらい経ってからです。

 

——5年目に商売が軌道にのったというわけですね。個人的に「ら麺のりダー」は「つけめん」の店というイメージがあります。

渋木さん:僕が働いていた「麺や 大舎厘」からの流れでメニューを決めたので、最初は「らーめん」と「つけめん」だけだったんです。その後、地元ローカル誌の企画で新潟の食材を使った味噌ラーメンを作ることになって、新潟市の老舗味噌蔵「峰村醸造」さんの味噌を使ったラーメンを作りました。

 

 

——評判はいかがでしたか?

渋木さん:その「濃厚みそらーめん」がお客様に受けて、今では人気ナンバーワンのメニューになったんです。アレンジではなく、自分でゼロから考えたオリジナルのラーメンが当たったのは、自分自身を認めてもらえたようで嬉しかったですね。

 

——苦労した甲斐がありましたね。渋木さんがラーメンを作るときに一番こだわっているのは、どんなところでしょうか?

渋木さん:熱いラーメンを提供できるように、スープが冷めないようタイミングに気をつけて作ることですね。以前、お客様からスープがぬるいと言われてしまったことがあって、それから改良を重ねてきました。

 

人の縁を大切に地元で愛され続ける老舗を目指す。

——自分でお店を経営するにあたっては、「麺や 大舎厘」で店長をやっていた経験が役に立っていますか?

渋木さん:「麺や 大舎厘」のときは店長といっても雇われている身でしたから、自分が経営者になってからとは全然違いますね。

 

——経営者としてお店の営業で気をつけていることってあるんでしょうか?

渋木さん:今は僕と奥さんの他に8人のスタッフがいるんです。そのスタッフの意思をできるだけ尊重したいと思っています。人の命令をただ聞くだけのロボットにはなってほしくなくて、自分の頭で考えながら仕事をしてほしいんですよ。

 

 

——それはどうして?

渋木さん:やらされてる仕事ってつまらないじゃないですか。でも自分で考えてやったことが結果につながれば仕事に対してのモチベーションも上がると思うんです。そういう意味でも、スタッフの仕事に対して「待てる人」になりたいと思っています。

 

——なるほど。スタッフの皆さんに対しての愛を感じますね。

渋木さん:スタッフだけじゃなく、お客様、仲間、そして奥さんには今まで助けられながらお店をやってこられたんです。だから、人と出会えた縁を大切にするようにしているだけなんです。

 

——まさに「ご縁に感謝」ですね。

渋木さん:ありがたいことに、来年で「ら麺のりダー」は10周年を迎えるんです。今はまだ親と一緒に食べに来てくれているチビちゃん達が、大人になって彼女を連れてきたり、子どもを連れてきたりしてくれる日の来ることを楽しみに続けていきたいですね。そうして、地元で愛され続ける老舗になってくれたら嬉しいです。10周年を目前に、その理想がかたちになってきているので、頑張っていればいいことあるなと思っています(笑)

 

 

 

ら麺のりダー

新潟市東区末広町9-50

025-256-8455

11:00-21:30

不定休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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