肉屋さんが営む地元密着型スーパー、下田の「フードショップ ヨコタ」。
食べる
2022.04.06
小さな個人経営のスーパーがどんどん減っていくなかで、地元の人たちから親しまれ続けている「フードショップ ヨコタ」というスーパーが三条市の下田地区にあります。今回はオーナーの奥さん・横田タヅ子さんに、食品スーパーを経営するこだわりや苦労を聞いてきました。


横田精肉店
横田 タヅ子 Tazuko Yokota
1950年三条市(旧下田村)生まれ。地元で会社勤めをした後、兄が東京で経営する菓子店を手伝う。新潟に帰って食料品店で働いているときに結婚し、ご主人の家業「横田精肉店」を手伝うようになる。趣味はスポーツ観戦で、特にプロ野球が好き。引退後はゆっくり旅行するのが夢。
精肉が充実している食品スーパー。
——こちらのスーパーは精肉売場が充実していますよね。何か理由があるんですか?
横田さん:うちはもともと「横田精肉店」っていう肉屋なんですて。「フードショップヨコタ」は食品スーパーの屋号なんです。
——肉屋さんがやっているスーパーだから、精肉が充実しているんですね。「横田精肉店」はいつ頃から続いているんですか?
横田さん:養豚業と農業をやっていた主人の両親が、地元の人たちに美味しい肉を食べてもらいたいと思ってはじめたそうです。当時まだ高校生だった主人は、知人の肉屋さんに通って肉のさばき方を勉強したって聞いてます。
——どうしてお肉屋さんがスーパーになったんですか?
横田さん:近所にスーパーができることになったから、お店をリフォームして少しだけ広くしたんですよ。その店舗で10年くらい営業してから、今度は食品スーパーとして営業することになったんです。こんな田舎ではお店同士が離れているから、いろいろな食品がひとつの店にまとまって、お客様には「便利になった」って喜んでもらえましたね。

——確かにお客さんにとっては便利ですよね。
横田さん:まだお店の数も少ない頃だったから、栃尾や見附からもお客様が買い物に来ていました。
——こちらのお店は何人くらいで営業しているんですか?
横田さん:私たち夫婦と息子、娘夫婦、あとはパートさん。家族でやっている小さいスーパーなんです。
——そういった地元に根付いたスーパーって、最近はどんどん少なくなっていますよね。
横田さん:以前は周辺に4軒のスーパーがあったんだけど、下田の人口が減ったこともあって、みんな閉めちゃったんです。当時から残っているスーパーはうちだけ。遠くへ買い物に行けないお年寄りも多いから、今まで頑張って続けてきました。

地元のソウルフード「チューリップ」とは。
——やはり精肉にはこだわっているんでしょうか?
横田さん:もともと肉屋ですからねぇ。主人が精肉にはこだわってやってます。冷凍した肉を仕入れて売っているところもあるんだけど、うちは骨がついたままの枝肉を仕入れてさばいているから、鮮度には自信があるんですよ。
——やっぱり地元のお客さんが多いんですか?
横田さん:そうですね。でも近くにあるキャンプ場へ来た人が、バーベキューに使う肉や食材を買っていくこともありますよ。

——なるほど。キャンプ場へ行く前にここへ寄れば、新鮮な肉はもちろん、野菜や飲み物も調達できますもんね。お肉の他に自信のある商品ってあるんですか?
横田さん:お惣菜は人気がありますね。特に「チューリップ」は昭和60年頃から続いているロングセラー商品です。
——え?「チューリップ」ってお花の?
横田さん:いえ、若鶏の手羽先を、骨つきのまま唐揚げにしたものなんです。お花のチューリップに見えるから、そう呼ばれているんですて。昔は地元保育所の子どもたちが、毎年クリスマスになると食べてくれていました。あと近所のご家庭では盆や正月の集まりがあると、まとめて大量に注文してくれるんです。1軒で80本も注文してくれたお宅もありましたよ。県外から帰省した子が「ヨコタのチューリップを食べないと帰れない」って言ってくれたという話も聞きました。本当にありがたいことですね。

——へ〜、じゃあ「チューリップ」って、地元の人たちから愛されてきた「ソウルフード」なんですね。その他におすすめのお惣菜はありますか?
横田さん:私が担当しているなかでは「にしんのうま煮」だろっか。2〜3時間かけてじっくり水煮しているから骨まで柔らかく食べられるし、ずっと継ぎ足して使ってきたタレも評判がいいんですよ。ときどきお客様から、店頭に並んでいないお惣菜のリクエストをいただくこともあるんだけど、日数をもらった上で対応するようにはしていますね。

食品スーパーは賞味期限との戦い。
——精肉や青果を扱うお店って、鮮度を維持することが大変そうですよね。
横田さん:もう、賞味期限との戦い(笑)。休んでいたらその間に賞味期限が近づいてきてしまうから、なかなか休むことができないんですよね。腱鞘炎になっても休むことができなかったし……まともに休んだのは盲腸で入院していたときくらいです(笑)

——食品スーパーの経営もなかなか大変なんですね……。
横田さん:でも地元のお客様から支えてきてもらったおかげで、今まで頑張ってこれたんですよ。温かいお客様やいいスタッフに恵まれて、本当に感謝しています。スタッフのなかには30年間働いてくれている人もいるんです。
——30年も働いてくれるって、すごいですね。それだけいい職場ってことなんじゃないでしょうか。最後に、これからやってみたいことってありますか?
横田さん:いやぁ……お店は息子や娘夫婦に託して、私は早く引退したいんです(笑)。今まで休みなく頑張ってきたから、そろそろのんびり旅行でも楽しみたいんですよ。

これからますます暖かくなって、キャンプが気持ちいいシーズンがやってきます。自然豊かな下田地域へキャンプで訪れた際には「フードショップヨコタ」に立ち寄って、バーベキュー用の食材を調達してみてはいかがでしょうか。
フードショップヨコタ
三条市荻堀827
0256-46-2122
9:00-19:30
元日休
Advertisement
関連記事
食べる
お米のピューレと新潟県産の材料でできた「こめへんジェラート」。
2020.07.28
食べる
搾りたての生乳で作る、月岡「なちゅらるじぇらーと」のジェラート。
2021.08.05
ソウルフード, 食べる
僕らのソウルフード。五泉の老舗「栄軒ベーカリー」のコーヒーパン。
2019.11.28
食べる
クレープ45周年。愛され続ける村上市発、新潟の味「村恭」。
2024.08.02
食べる
高級ワイン「ピノ・ノワール」が気軽に楽しめちゃう「winebar Chouette」。
2024.09.14
食べる
港町の歴史を感じながら美味しい海鮮を味わう「魚や片桐寅吉」。
2020.10.29
新しい記事
食べる
グルテンフリーのお菓子が楽しめる
「米粉シフォンのお店 chuchu」
2026.06.25
New Eyes Niigata
New Eyes Niigata #09 石井圭
2026.06.25
買う
会いたくなるタオルソムリエがいる、
堀之内南のタオル専門店「Lavic」
2026.06.24
カルチャー
世界を旅して言葉や写真を綴る
編集者&カメラマン「松岡宏大」
2026.06.23
食べる
サクサク、もちもちの米粉クレープ。
高田にある「Hello MAIDO」
2026.06.22
ものづくり
30年後の愛情を育てる暮らしの道具。
学校町「ジクウノアトリエ新潟」
2026.06.21


