新潟の風土をモチーフにした「ハアフーフ」のキャラクター作品。
カルチャー
2020.08.06
西堀ローサにあるキャラクターショップの謎。
西堀ローサの一角に、小さなキャラクターグッズのショップがオープンしました。その名も「ハアフーフ」。並んでいるのは、ちょっと変わってるけど、お洒落で、ゆるく、癒し系のキャラクターたち。お店をやっているのはハヤトさんとアスカさんというご夫婦です。いったいどうしてこのキャラクターたちが生まれたのか、お二人に話を聞いてきました。


ハアフーフ
ハヤト Hayato
1986年新発田市生まれ。東京の飲食店で働いていた頃、アスカさんに出会い結婚。子どもが生まれたのを機に新潟に戻り、インスタレーションや映像などのアート作品を作り始める。2017年からアスカさんと一緒に「ハアフーフ」として活動。チョコレートをはじめ甘いものが好き。
アスカ Asuka
1982年東京都生まれ。高校でデザインを学んだ後、美容専門学校を経て美容師になる。その後、古着店、飲食店で働き、ハヤトさんと出会い結婚。2016年に知り合いのギャラリーで作品展を開催したのをきっかけに作品制作を始める。2017年からはハヤトさんと「ハアフーフ」として活動している。
それぞれの視点で新潟を探究発信する「ハアフーフ」という夫婦ユニット。
——今日はよろしくお願いします。「ハアフーフ」って、ショップの名前っていうより、お二人のユニット名なんですね。
ハヤトさん:そうです。もともと二人ともモノを作ることが好きで、私は映像などの作品を作っていたんです。2016年の12月に、ギャラリーをやっている知人の勧めでアスカが作品を出品して、私がその手伝いをしたんです。翌年の2月に「潟冬」という作品を作った時から「ハアフーフ」として一緒に作品づくりに取り組むようになりました。ちなみに「ハアフーフ」っていうのはハヤトの「ハ」とアスカの「ア」に「夫婦」をくっつけたネーミングなんです。
——ああ、それで「ハアフーフ」なんですね! どんなコンセプトで作品制作や活動しているんですか?
ハヤトさん:県内出身の私が内側から見た視点と、県外出身のアスカが外側から見た視点で「新潟」を表現してるんです。
アスカさん:私は東京から新潟に来たので、県外出身者として見た新潟の姿に色々とインスピレーションを受けました。新潟の人って「新潟には何もない」ってよく話してるのを聞くんですけど、けっしてそうじゃないって思うんです。
ハヤトさん:「何もない」って口にするだけじゃなくて、みんなでもっと新潟のことを考えたいって思うんですよね。だから新潟のことを色々と探究して、住んでいる人たちに伝えたり、問いかけたりしていけたらっていう思いで活動しています。
——それは新潟の魅力を発信していくっていうことですか?
ハヤトさん:いいえ。魅力とかっていうときれいな部分だけっていうイメージじゃないですか。いいところだけではなく、悪いところも含めて探っていきたいと思いますし、新潟の全てを隠さずに表現していきたいと思っています。
——「潟」をテーマにした作品が多いような気がしますね?
ハヤトさん:新潟らしい原風景のひとつに「潟」があるんですが、開拓によってどんどん潰されていってますよね。便利な方向に進むだけではなく、元々あった「らしさ」も大切なんじゃないかっていう問題提起にもなってるんです。グローバリズムとローカリズムのバランスが大事だと思うんですよね。

食べ物やアクセサリーで、新潟市北区の歴史を表現?
——今までどんなところで作品を発表してきたんですか?
アスカさん:知人のギャラリーで「潟」をテーマにした作品を2ヶ月に一度発表して、それを2年間くらい続けてきました。その後、2018年に開催された「水と土の芸術祭」に参加したんです。その時は飲食店やアクセサリーショップとコラボした「北区史がトランスフォーム」っていう、新潟市北区の歴史がテーマになっている作品を発表したんです。
——どうして飲食店やアクセサリーショップとコラボしたんですか?
ハヤトさん:それまで作品を発表してきて「芸術って難しくてよくわからない」っていう声を聞くこともあったんです。どうしたらもっと多くの人に伝わりやすくなるんだろうって考えて、もっと身近な食べ物やアクセサリーとコラボして表現すれば興味を持ってもらえるんじゃないかって思ったんです。
——なるほど。ちなみにどんな作品だったんですか?
ハヤトさん:食べ物の方は新潟市北区にあるイタリアンレストランとコラボして、元々一緒だった信濃川と阿賀野川が分かれた歴史をピザで表現したんです。トマトやしじみといった北区の名物を使い、半熟卵が崩れることで堀の決壊を表しました。
アスカさん:アクセサリーも北区にあるアクセサリーショップにお願いして、開拓で小さくなってしまった福島潟を表現しました。大きかった頃の福島潟をネックレスで、小さくなった福島潟をブローチで作ったんです。その他にもアンチテーゼとして制作した「にゅう潟(NEW潟)」っていう室内作品も発表しました。

泥やまずい米、潟の守り神…新潟を伝えるキャラクターたち。
——いろんなキャラクターも制作してますよね?
ハヤトさん:食べ物やアクセサリーとコラボして表現した作品が伝わりやすかったこともあって、もっと親しみやすくて伝わりやすい方法はないかと考えたんです。それでキャラクターで表現することを思いつきました。キャラクターは私がリサーチしてアイデアを作ったものを、アスカがデザインして生まれます。
——共同作業ですね。どんなキャラクターがいるのか教えてください。
アスカさん:まず「どろどろのどろど」。1950年から60年頃までの亀田郷では泥田が多く、胸まで泥に浸かりながら田植えや稲刈りをしていたそうでなんです。これはそんな泥田の記憶をキャラクターにしたもので、頭には稲の苗が植えられています。

——こいつはいっぱいいるんですね(笑)このウーパールーパーに似たキャラクターは?
ハヤトさん:それは「ガタカミちゃん」です。最初は「NEW潟」という物語を作ろうと思ってロゴを作ったんです。そのロゴが形を変えてこのキャラクターが生まれました。「NEW潟」の守り神という設定なので、水神としての龍をイメージしたものなんですよ。だから意図してないウーパールーパって言われるとちょっと悲しいですね(笑)

——すみません(笑)、失礼しました。ではこの鳥はどんなキャラクターなんですか?
アスカさん:「鳥またぎ米(まい)」っていいます。昭和初期までの新潟米って、水分が多くて腐りやすく質の悪いお米だったそうです。鳥さえ見向きもしないので「鳥またぎ米」って呼ばれていたそうなので、その姿をキャラクターにしたんです。グッズでは一番人気があるんですよ。

——足元の米粒が哀れさをそそりますね(笑)。この大根の舟に乗っているのは?
ハヤトさん:そのまんま「大根舟」っていいます(笑)。まだ古町に堀がたくさんあった頃、冬になると農家が大根を舟に積んで売りに来ていたそうです。パンパンに大根を乗せた舟を「大根舟」と呼んでいたそうなんですよ。これはそんな失われた風景をキャラクターにしたものです。

ショップでもありギャラリーでもある場所。
——西堀ローサでグッズのショップをオープンしたんですよね?
ハヤトさん:私たちの作品や活動をより多くの人たちに伝えるために、今年の4月にオープンしました。グッズを売るだけの場ではなくて、キャラクターの背景を知ってもらったり、伝えたりするギャラリーのような場でもあるんです。だから「雑貨屋」と紹介されると違和感を感じるんですよね。
——なるほど。西堀ローサでお店をオープンしてみていかがですか?
アスカさん:あまり人通りがなくてちょっとさみしいのが悲しいですね。
ハヤトさん:でも、その分、盛り上げ甲斐もあります。お店も少ないので注目されやすいというメリットもあるように思いますね。西堀ローサには新潟市の機関とか「水と土の芸術祭」の情報コーナーとかもあるので、そうした所との関わりができたこともよかったです。
——デメリットもあるけどメリットもあるんですね。お店をやっていて嬉しいことってありますか?
アスカさん:グッズを買っていくだけのお客様も多いんですけど、中にはキャラクターのストーリーに興味を示してくれるお客様もいるんです。そういうお話ができることはとっても嬉しいですね。

絵本を作ったりやコラボすることで、もっと「新潟」を伝えていきたい。
——最後に今後やってみたいことを教えてください。
ハヤトさん:物語を作って絵本にして「新潟ってなんだろう」っていうことを伝えていきたいですね。キャラクターも増やして、どんどんグッズも作っていきたいです。
アスカさん:あと、いろんな人たちとコラボしていきたいです。自分たちでできることって限られているので、様々なジャンルの人たちとコラボすることで表現の幅も広げていきたいと思ってます。

並べられた品々がただのキャラクターグッズかと思ったら、そこには実はとっても深い新潟への思いがありました。キャラクター好きだけではなく、新潟を愛する人はぜひ西堀ローサの「ハアフーフ」に立ち寄ってみてください。失われていく新潟の風景や、郷愁を感じさせてくれるキャラクターグッズに出会えるはずです。
ハアフーフ
haafuuufu@gmail.com
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