山や川など自然の中に出かけて行ってアウトドアを楽しみたいけど、なかなか遠出ができないという人、いますよね。街の公園に自然の癒しを求める人もたくさんいると思います。そこで、もっと身近に、自宅やお店や会社の中に自然を持ち込めるアイディアをご紹介したいと思います。壁や塀を植物で緑化する、その名も「グリーンウォール」。今回は緑化工事などを行っている「co-SPACE(コ スペース)」の代表・吉井さんに、観葉植物やグリーンウォールについてお話を聞いてきました。
co-SPACE
吉井 徹 Tohru Yoshii
1976年加茂市生まれ。造園業や複合機レンタルなど様々な仕事を経験した後、2018年に緑化工事やグリーンコーディネートの会社「co-SPACE」を立ち上げる。2020年2月に観葉植物や園芸用品を展示販売する「Hygge plant shop(ヒュッゲプラントショップ)」をオープン。観葉植物の仕入れのため県内外の農園へ出かけて行き、いろいろな人と出会うのが最近の楽しみになっている。
——今日はよろしくお願いします。適度な手作り感もあって、まるで秘密基地のようなショップですね。
吉井さん:この建物はもともと瓦屋さんの倉庫なんです。2階が空いてるっていうんで貸してもらってるんですよ。最初はただの作業場にするつもりだったんだけど、せっかくなんで店も作ったんです。秘密基地みたいな作りになっているのは、この場所って新潟市内のような町中じゃないですし、建物も倉庫ですからね、少しでもワクワクするような作りにしようと思ったんです。元大工のスタッフや瓦屋さん、造園屋さんとか仲間達が手伝ってくれて、みんなで楽しみながら店舗の内装をやりました。
——お店はいつからオープンしてるんですか?
吉井さん:実は今日、待望のレジが店に届いたばっかりなんです(笑)。今までレジがなかったから現金が使えなくて、クレジットや電子マネーとかで買い物してもらってたんですよ。だからお店のオープンは2020年2月ということにしといてください(笑)
——お店では観賞植物を売ってるんですか?
吉井さん:観葉植物はもちろん、園芸用品やガーデニング雑貨を扱っています。「すぐに枯れてしまうんだけどどうしたらいいの?」とか「どんな風に世話をしたらいいの?」といった観葉植物に関する相談にも乗りますし、緑化工事のオーダーも受け付けています。ゆくゆくはグリーンに関するグッズがなんでも揃うような店にしたいですね。
——「Hygge plant shop」を運営している吉井さんの「co-SPACE」っていう会社は、どんなことをする会社なんですか?
吉井さん:2018年に立ち上げた緑化工事の会社です。庭園を作ったりメンテナンスしたりする「造園」の仕事もやりますし、グリーンウォールの施工も行っています。あとは同時にグリーンコーディネーターもやってるんです。
——グリーンコーディネーターってどんなことをするんですか?
吉井さん:お店の中に植物を配置したり、グリーンウォールで店内を緑化したりする仕事です。美容室や飲食店からの依頼が多いですね。お客さんの希望するイメージに沿って緑化の提案をさせてもらって、イメージが決まったら施工するんです。お店の状態によっては、建物を改造してから施工することもあります。あと、その際に使うプランターやフレームもイメージに合うよう僕らで自作してるんです。
——大工仕事もやるんですね。一体どこでそんな技術を?
吉井さん:僕と一緒にやっているスタッフは元大工なんですよ。彼の技術にはとても助けられてます。それに僕も工業高校出身なんで溶接とかできちゃうんです。
——なるほど。おふたりとも技術を持ってるんですね。ところでお店を緑化する際に心がけていることってあるんですか?
吉井さん:「Hygge plant shop」っていう店名の「Hygge」って単語は、デンマーク語で「居心地の良さで幸せを感じる」といった意味なんです。社名の「co-SPACE」には、空間を意味する「SPACE」っていう単語を使っています。つまり、「居心地のいい空間作り」をモットーにしているんです。植物の力を借りてそんな空間を作りたいと思っています。
——確かに植物があるとなんだかホッとしますよね。
吉井さん:人間っていうのは自然とのつながりを求める本能があって、これを「バイオフィリア」っていうんです。人間は自然に触れると幸福を感じるっていうデータもあります。その「バイオフィリア」をオフィスに導入することで、働く人たちの幸福度、生産性、創造性が上がると言われてるんです。そういう意味でも緑化のお勧めをしていきたいですね。
——吉井さんは元々植物に興味があったんですか?
吉井さん:子どもの頃からばあちゃんの手伝いで庭木の世話をしていたし、観葉植物も好きでいろいろ育ててましたね。20歳くらいの頃、自分で買ってきた鉢植えのビカクシダを板付けしたんです。板付けっていうのは、植物を板に取り付けて壁に掛けたりして飾れるようにしたものです。欲しかったけどどこにも売ってなかったので、自分で作っちゃったんです。それが今の仕事の原体験かもしれないですね。
——植物を相手にする仕事ではどんなことが大変ですか?
吉井さん:暖かい土地で育っているものが多い観葉植物にとっては、新潟の気候っていうのはとても厳しい環境だと思います。当たり前のことだけど、植物っていうのは育った場所が一番適した環境なんですよね。そこから持って来るわけだから、育った環境の再現をしてやらなければならないんです。あとは水の管理をどうするかという問題ですね。
——水の管理…それはどういうことなんでしょうか?
吉井さん:植物は生き物ですから、枯れることは避けられないんです。もちろん、枯れないようにするため植物に水を供給するわけですけど、その工夫やシステム作りが大変なんですね。お客さんがみんな植物に慣れているとは限らないので、少しでも水の管理をしやすいシステムにする必要があるんです。以前は観賞植物がフレームに入った「フレーム植物」を作っていたんですけど、植物の扱いに慣れていないお客さんにとっては管理が難しいので、一時お休みしてるんです。タンクをつけた形に改良した上で再販する予定です。
——植物の魅力って、吉井さんにとってはどんなところですか?
吉井さん:植物はしゃべりませんけど、かわいがってやってればちゃんと成長してくれます。成長することで気持ちに応えてくれるんですよね。そんなところがかわいいと思います。あと「バイオフィリア」のようにメンタル面で大きな影響を与えてくれるし、何より癒されますよね。
「居心地のいい空間を作り出し、人々に幸せを感じてほしい」という思いで、植物を使った緑化空間を演出する「co-SPACE」の吉井さん。この度オープンした「Hygge plant shop」では、より身近に観葉植物に触れることができ、気軽に緑化の相談をすることができます。みなさんも日常の癒しを求めて、まるで秘密基地みたいな「Hygge plant shop」を訪れてみてはいかがでしょうか?
Hygge plant shop
〒959-1512 新潟県田上町羽生田乙310 2F
0256-64-8038
9:00-19:00
水曜休(不定休あり)