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いつも変わらず落ち着いて過ごせる居場所。燕市の「喫茶つばめや」。

燕市にある「喫茶つばめや」は、こだわりのコーヒーや季節のフルーツをたっぷり使ったパフェが楽しめる喫茶店。お店のロゴマークや、窓ガラスに描かれたツバメのイラストがかわいらしく、ほっと一息つくにはぴったりの場所です。店長の立川さんに、「喫茶つばめや」がオープンしたきっかけや、お店づくりへのこだわりについて聞いてきました。

 

 

喫茶つばめや

立川 澄子 Sumiko Tachikawa

福島県生まれ。千葉の大学を卒業後、チェーン展開するカフェに就職。その後もさまざまな飲食店で経験を積む。子育てのためご主人の地元である燕市へ移住。2015年より、NPO法人「アビリティ燕」が運営する「喫茶つばめや」で店長を勤める。休みの日は家族と釣りに出かけている。

 

福祉施設がはじめた、燕市の喫茶店。

――「喫茶つばめや」さんはどういう経緯でオープンしたんでしょう?

立川さん:このお店を運営しているのが「アビリティ燕」という、障害のある方の支援をしている福祉事業者なんです。

 

――福祉施設が母体の喫茶店だったんですね。

立川さん:ここの2階が作業場になっていて、利用者さんがストールを織っているんです。そのストールを展示販売したいね、っていう話がはじまりでした。それで、どうせなら飲食ができる場所を作ろうってことで喫茶店を開くことになったんです。今は夏なので置いていないんですけど、寒い時期にはストールやニット帽をここで販売しています。

 

――施設の利用者さんは喫茶店の営業もお手伝いされているんですか?

立川さん:そうですね。接客に出る方もいますし、洗い場専門の方もいますよ。

 

 

――立川さんはどういう経緯があってこちらで勤めることになったんですか?

立川さん:私、出身は福島で、結婚してから燕に来たんですよ。その前に東京でチェーンのカフェに勤めていたことがあって、店長まで経験したんです。

 

――東京のカフェで働かれていたんですね。

立川さん:ここで喫茶店をやるにあたってお店を任せられる人を探していたみたいで。そのとき施設の関係者にたまたま私の経歴を知っている方がいて、主人を通して誘われました(笑)

 

――飲食業に携わって長いようですが、学生時代も飲食にまつわる勉強をされていたんですか?

立川さん:大学はラテンアメリカを専攻していたんです。コーヒーが好きで、植民地とコーヒーの輸出入の関係とか、プランテーションのこととかについて勉強していました。ちょうどコーヒー屋さんでバイトしていたのもあって、どんどんハマっていきましたね。

 

――コーヒーのどんなところに惹かれたんですか?

立川さん:コーヒーを一杯頼んで、薄暗い店内でのんびり過ごすっていう、昔の喫茶店のスタイルが好きで。素敵なおじさまがやっているような、そういう「空間」が好きなんです。

 

手作りにこだわったメニューと、自家焙煎豆のコーヒー。

――「喫茶つばめや」のオープン当初は、どういうふうにお店をつくっていったんですか?

立川さん:施設の方と、いろいろな専門家の方たちと一緒に作り上げていきました。ただおしゃれなカフェだと長く続けていくことは難しいだろうなと思ったので、どうしたらお客さんが来てくれるか、どうしたら施設の利用者さんの仕事を作れるか、考えながら作っていきました。

 

――利用者の方の仕事を守ることも、このお店の役目なわけですね。

立川さん:あとは利用者さんの働きやすさのためにも「福祉施設がやっている喫茶店」というより「普通の喫茶店」として営業することを大事にしていました。だから近隣のお客さんが何を求めているかっていうのは気にしましたね。このあたりはラーメン屋さんが多いので、ラーメンの後に食べたいものは何かとか、この地域の価格帯はどうかとか。

 

 

――きっとコーヒーにはこだわりがあると思います。

立川さん:私の好みでブレンドさせてもらっています。焙煎も自分でやっていて、必要な分だけ少量ずつ焙煎しています。マックスで500gですね。お店で使う分の豆も、その都度焙煎しているんです。

 

――自家焙煎なんですね。フードメニューについても教えてください。人気のものはありますか?

立川さん:あんみつはオープン当初からずーっと人気ですね。寒天も餡も黒豆も手作りなんです。今、2階でちょうど炊いていますよ。

 

――手間がかかっている分、美味しくなるわけですね。

立川さん:ランチはパスタをご用意しているんですけど、パスタソースも手作りしていて。お客さんから要望があれば、その場で味付けを変えられるようにしています。

 

 

――お店のSNSに、立派で美味しそうな桃パフェが載っていましたが……。

立川さん:ここ数年でパフェがすごく流行って、そのタイミングでうちのパフェもバズってくれたみたいで(笑)。先月からはじめた桃パフェはよく出ていますね。他にもイチゴとか、その季節のフルーツパフェを出しています。

 

――見た目もインパクトがあって写真映えしますね。

立川さん:あと、野菜やくだものは地元で採れたものを使うようにしています。パフェに使っている桃は三条産なんです。

 

 

――店内の壁には絵が飾られていますし、器も展示されていますよね。ギャラリーとしても使われているんですか?

立川さん:そうなんです。国内外の作家さんの作品を展示・販売しています。無料で貸し出しているので、展示が初めてだっていう作家さんもいますね。

 

――自分の作品を見てもらえる、いいきっかけになりそうですね。

立川さん:ただ、料理の匂いが作品についてしまう可能性があるので、それが気にならない方にお願いしています。あとは展示販売をする代わりに、作品にもし何かあっても責任は取れませんよ、とお伝えしています。

 

お客さんへの、ちょっとした気遣いを大切に。

――お店を長く続けるために、大切にしていることはありますか?

立川さん:やっぱり接客ですかね。年配の方が多いので体調を見てあげたり、ひとりひとりのことを覚えるようにしています。お客さんの体調が悪いときは「ミルクいりますか?」って声をかけたり、風邪が流行っている時期は白湯にしょうがを入れて用意したり。そういうちょっとした気遣いをするように、スタッフみんなで気をつけていますね。

 

――そういう気遣いをしてもらえると、お客さんはまた来たくなっちゃいますね。最後に、今後の目標を教えてください。

立川さん:新しいものも取り入れはするんですけど、純喫茶の雰囲気、接客、コーヒー、あとは年配の方たちがのんびりできる空間っていう、今のスタイルはできるだけ変えないようにしたいです。「おしゃれなカフェだと入りづらい」っていう方もいらっしゃるので、そういう方が戻ってこられる環境を保ちたいですね。

 

 

 

喫茶つばめや

燕市桜町5

TEL: 0256-66-0123

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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