店舗、キッチンカー、自販機の3本柱。
新潟市の「バジル&フレンド」
食べる
2026.01.09
2020年にご紹介したスパイスカレーの店「バジル&フレンド」。新発田市での営業を経て、2022年に新潟市中央区へ移転しました。食材は可能な限り国産のものを選び、付け合わせのピクルス類はもちろん、コンソメまで手作りするなど、手間を惜しまずに営業を続けています。店舗担当の藤夫さんとキッチンカー営業が大好きな友美さんに、いろいろとお話を聞いてきました。
右/松澤 藤夫
Fujio Matsuzawa(バジル&フレンド)
1972年阿賀野市生まれ。建築業などを経て、飲食業へ転身。2020年新発田市に「バジル&フレンド」をオープン。2022年に新潟市中央区美咲町に移転。主に店舗を任されている。建築技術を生かして、自宅にサウナを設置した。
左/松澤 友美
Tomomi Matsuzawa(バジル&フレンド)
10代のときに新発田市へ移住。関東短期大学を卒業し、結婚式場でブライダルプランナーを務め、その後、三宝亭水原店を経営。2020年5月から「バジル&フレンド」のキッチンカーをスタート。新潟市に店舗移転後も、キッチンカーの出店を続ける。
新発田から新潟市へ。
暮らしと働き方を見直した移転。
――「バジル&フレンド」さんには、以前も取材でお世話になりました。あれから新潟市にお店を移されたんですね。
藤夫さん:新発田でお店をはじめた年がとんでもない大雪で、除雪が大変だったんですよ。しかもコロナ禍でしょう。当時はディナー営業もしていたんですけど、吹雪いた日なんかお客さんがぜんぜんいらっしゃらなくて。それで心機一転、新潟市に移ってくることにしたんです。
友美さん:新発田で営業していたときから、今のお店がある場所でキッチンカーを出させてもらっていたんです。そのご縁もあって、ここに移転しようと決めました。マスターは、私がアイディアを伝えると、すぐに行動に移してくれる人なんです。トントン拍子で話が進みました(笑)
――移転して、変えたことはあるんですか?
藤夫さん:内装は、前のお店のイメージそのままです。
――黄色と青の内装で、すっごく素敵ですね。飾ってある絵画も気になりました。
藤夫さん:嬉しいですね、ありがとうございます。アメリカの画家トーマス・マックナイトが昔から好きで。大判の絵画は、20歳のときに奮発して購入した私物です。他はお客さんが喜んでくれそうな絵をチョイスしました。
――メニューの変化はどうですか?
友美さん:他のカレー屋さんと比べると、うちはメニュー数が多いかなと思います。金曜日には、マスターの気まぐれメニューもお出ししているんです。ジャンルレスで、中華や洋食、大人のお子さまランチみたいなものまでいろいろなメニューが登場します。マスターはどこかで修業したわけじゃないんだけど、とにかく食べることが好きで、「美味しいもので幸せな気分を味わいたい」って探究心がすごいんです(笑)。新潟に移転してからはディナー営業をしていないので、新発田時代のアイディアがありあまっているんだと思います。
――夜は営業せず、というのはちょっと面白い営業スタイルですよね。
友美さん:基本はランチ営業で、夕方はテイクアウトのみです。ランチで売り切れてしまったら、その日は「テイクアウトはごめんなさい」ということにさせてもらっています。
藤夫さん:こっちに移ってくるときにね、労働時間をなんとかしたいと思いまして。飲食の仕事って、どうも働く時間が長いでしょう。昔はふたりで、1日18時間働いたこともあったくらいです。それで3、4時間寝て、また仕事をして。これでは身体を壊しちゃう、とランチメインの営業に変更したんです。どっちみち、美咲町のあたりは夜は静かですから。
――ランチタイムは女性がたくさんいらっしゃいました。
藤夫さん:新潟市に移転してからは、ひとりでいらっしゃる男性もけっこう増えましたよ。この辺は食べる場所が多くないから、仕事の合間に寄ってくださるんでしょうね。
友美さん:それもあって、ジャンルレスにしたんですよ。特に金曜日は、定食やラーメン、パスタなど、いろいろなメニューを用意しています。周辺に飲食店が多くないから、選択肢が多い方がいいかしらと思って。


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他にない味、コムアンフー。
会いに来てくれるキッチンカー。
――お店の営業のほかに、キッチンカーと自販機での販売もされていますよね。
藤夫さん:自販機は店舗の前、県庁の中、新潟市以外には、新発田と阿賀野にも10箇所あります。
――以前取材させてもらったときはコロナ禍だったこともあり、キッチンカーはお休み中だったようですが。
友美さん:店舗の方はマスターにお任せして、私がキッチンカーを担当しているんです。「待っているより、会いに行っちゃえ」ということで(笑)。キッチンカーは、お店の営業とはまたちょっと違う楽しさがあるんですよ。基本は私とお客さまの一対一の接客なので、おひとりずつ丁寧に向き合えている気がして。好きな人に会いに行くみたいな感覚があるんですよね。
――店舗、キッチンカー、自販機の3本柱の強みがありそうですよね。
藤夫さん:「バジル&フレンド」をはじめた頃は、まだコロナ禍の影響を引きずっていましたし、人件費が上がってきた頃でした。自販機だったら、私たちが寝ている間も働いてくれると思って(笑)。いろいろなリスクを分散した結果、このスタイルになったんです。でも最近は自販機で冷凍品を買わなくても、お店に行って美味しいものを食べようよ、という流れに少し変わってきている感じはありますけどね。
――キッチンカーの方はどうですか?
友美さん:おかげさまで固定ファンの皆さんがついてくださったので、ある程度決まった場所に定期的にお邪魔させてもらっているんです。ベトナム風まぜごはん「コムアンフー」は自販機販売をしていないので、コムアンフーを目当てに来てくださる方もいますよ。
――コムアンフー、とても美味しかったです。いったい何の味なんだろうって、じっくり観察しちゃいました。
友美さん:「今度こそカレーを頼むぞ」と決めているのに、毎回コムアンフーを注文してしまうという方もいらっしゃいます。このメニューの味の決め手は、スパイスとご飯にかけている秘伝のタレ。よく「何が入っているんですか」と不思議がられるんですが、我が社の大事な秘密です(笑)

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レシピは40種に。
うまい具合に役割分担しているふたり。
――前回お話を聞いたときは、10種類くらいのスパイスカレーのレシピがあるとのことでしたが、今はどうですか?
友美さん:今は、40種類くらいありますね。
藤夫さん:スパイスカレーは、ポークヴィンダルーとチキンマサラカリーの2種が定番で、他は週替わりです。
――レシピはどちらが考案されるんですか?
藤夫さん:ほとんど友美さんですね。私は、友美さんのアイディアを商品化する係です。
友美さん:私はアイディアを出しっぱなし(笑)。それをちゃんとしたメニューにしてくれるのがマスターなんですよね。
藤夫さん:この前はメニュー名が却下されちゃって。身体のためを思った新メニューを「養生キーマ」と名付けたんだけど、センスがないって言われました(笑)
友美さん:だって若い方には渋すぎる名前だと思ったんですよ。もうちょっと柔らかめのニュアンスにして「からだ思いキーマ」にした方がいいかなって。それが良かったのか、すごく好評でしたよ。今、新潟大学さんでもキッチンカーを出しているんですけど、生徒さんたちが「からだ思いキーマだって。めっちゃ優しそうじゃない」って喜んでくれました。
――せっかくなので読者の皆さんに、スパイスの取り入れ方のヒントをお伝えしたいんですが。
藤夫さん:カレーを作るときは、クミン、コリアンダー、パプリカ、カイエンペッパーもしくはチリペッパーの4種類があるといいですね。市販のミックススパイスでも十分です。玉ねぎ、ニンニク、生姜のみじん切りを炒め、トマトを加えて少し煮詰める。そこにスパイス類を入れたカレーベースを作って、きのこなど好きな具を入れます。私は家で、こんな感じでササっとカレーを作っています。
――オープンから5周年を迎えられました。これからはどんな展開を考えていますか?
藤夫さん:ひとりでも多くの方に「バジル&フレンド」を知っていただきたいですね。以前の取材でもお話した通り、材料はなるべく国産の安全なものを選んでいます。そして、できる限り手作りをする。コンソメだって手作りです。この物価高の中で国産材料を使い続けているのは、企業努力の証だと思っています。そういった私たちの情熱をたくさんの人に知ってもらえたらいいな、と思います。
友美さん:私たちが普段口に入れないものは、お客さまにお出ししたくないですからね。


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