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古町のみんなのお兄さん、金さんが営む「Korean Dining 루Lu」。

先日、友人が「辛いものが食べたい」と言うので、古町の韓国料理店「Korean Dining 루Lu」へ行きました。「かなり辛めにして欲しい」という無茶なオーダーを叶えてくれたのが「루Lu」のオーナー、金さん。出てきたチゲは本当に辛い……。でも、めちゃくちゃ美味しかったんです。そんな金さんにいろいろとお話を聞いてきました。

 

Korean Dining 루Lu

金 學中 キム ハクジュン

1977年ソウル生まれ。大学を卒業後、デザイナーとしてキャリアを積む。2010年に来日し、「服部栄養専門学校」で料理を学ぶ。東京で5年間働き、2015年に新潟へ転居。2016年に古町で「Korean Dining 루Lu」をオープン。

 

「深夜食堂」に憧れ、地域のお兄さんのような存在を目指す。

——金さんはどうして料理人になろうと思ったんですか?

金さん:僕は韓国でデザイナーとして働いていたんです。いろいろなデザインに携わってきて、店舗づくりもしていたんですよね。自分で手がけたお店を見て、「いつかお店をやってみたい」と思っていました。それに「深夜食堂」を見て、あんなふうにお客さんとの距離が近くてみんなに好かれる「地域のお兄さん」みたいな存在のお店をやりたかったんですよ。

 

 

——来日されたのはいつですか?

金さん:2010年です。料理経験がなかったから基礎知識が必要だと思って、日本で「服部栄養専門学校」に入学しました。もちろん韓国にも調理の専門学校はありますよ。でも、海外に行きたかったんですよね。韓国以外のところに住んでみたらどんな経験ができるんだろうって。

 

——デザイナーとしてのキャリアがあるのに違う道へ進むなんて、すごい決断力ですね。

金さん:まわりからは猛反対されましたよ(笑)。デザイナーとしてそれなりの実績もあったし「もったいない」って。でも僕、昔から「やりたい」と思ったら突き進むタイプなんです。だってやってみなくちゃ良いか悪いか分からないじゃないですか。間違っていたら修正すればいいんだし、「とりあえずやってみる」って大事ですよ。

 

ドラマや映画で見た、商店街があるのどかな街を探して新潟に。

——「服部栄養専門学校」を卒業されてからは?

金さん:渋谷の韓国料理店やイタリアンのお店で働きました。東京で5年間くらい仕事をしましたね。それから2015年に新潟に来たんです。新潟がどんな街なのかを探るためにあちこちでバイトもして、古町に「루Lu 」をオープンしたのは2016年です。

 

——専門学校を卒業したら日本で働くつもりだったんでしょうか。

金さん:本当はね、韓国に帰ってこじんまりとした居酒屋をやるつもりだったんです。でもなんとなくそのまま日本に住むことになっちゃった(笑)

 

 

——どうして新潟に来ようと思ったんでしょう?

金さん:住んだことのない地方での生活に憧れていたんです。日本の映画やドラマでのどかな商店街が出てくると、「こんな場所に住みたいなぁ」って思っていたんですよね。それで街の雰囲気を知るために、新潟も含めたいくつかの地方で何泊かしてみたんです。その中で商店街があって、学生さんなど若い年齢層も多いところに惹かれて古町に店を出そうと決めたんです。

 

——「루Lu」というのはどんな意味なんですか?

金さん:韓国では宴会をする場所に「루」とつけることが多いんです。「宴会をする場所」という意味があり、韓国語、日本語、英語でも「ル」と同じ発音となるこの言葉を店の名前に選びました。

 

韓国の舌を持っているから出せる本場の味。

——「Korean Dining 루Lu」は「深夜食堂」のようなお店になりましたか?

金さん:常連さんたちとの交流があったり、親御さんと一緒に来てくれた中学生が大学生になって成長した姿を見せてくれたり、少しは「深夜食堂」みたいにできているかな。デートで来たカップルが、数年後に「結婚しました」「子どもが生まれました」なんて幸せな暮らしをしている様子を知れることがお店を続ける醍醐味ですね。

 

——私、この前「루Lu」さんにお邪魔したんですけど、お料理の盛り付けが美しくて印象深かったんですよね。韓国料理って、もう少し庶民的なイメージだったから。

金さん:盛り付けが大雑把というか、大衆料理っぽいところが韓国料理にはありますよね。東京にいた頃もそういう韓国料理のお店が多いと思っていました。だからちょっと変わったことをしたくて、盛り付けや器選びを工夫しています。もともとデザインの仕事をしていたから、そういう試みが好きなんですね。韓国料理は金属製の食器を使うことが多いけどうちは黒の器で統一しているのは、そんな理由からなんです。

 

 

——お料理の見せ方にもこだわっているんですね。

金さん:だってお店の料理が美味しいのは当たり前じゃない。味以外にも工夫しないと。「見た目も美味しく」、これが僕のモットーです。食材だって高いものがいいとは限らないと思っているから、自分で食べて納得したものを使うようにしています。

 

——金さんの韓国料理って、「本場の味」ですよね?

金さん:料理って、その場所に住まないと本来の味にならないと思うんですよ。僕は韓国人で韓国に住んでいたから現地の舌を持っています。それをベースに自分の味を出しているつもりです。ちなみに僕がいちばん難しいと思う日本食はうどん。レシピ通りに作るんだけど、何かが足りないんですよね。「うどんなんて簡単じゃん」って言われますけど、日本の人は子どもの頃からうどんを食べているからあの味が出せるんですよ。

 

——デザイナーから料理人となった金さんのこれからの目標は?

金さん:古町で「みんなのお兄さん」になることですね。

 

——古町、好きですか?

金さん:好き好き。古町は駅前ほど賑やかじゃなくて、慌ただしくないからいいですよね。それに礼儀がしっかりしている人も多いですよ。僕、何度か入院したことがあるんですけど、お客さんが「心配してたよ」ってお花を持って来てくれたときは嬉しかったな。

 

 

 

Korean Dining 루Lu

新潟市中央区西堀前通5-740-2 1F

TEL 025-378-3920

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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