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ブラジル出身女性オーナーが営む、胎内市の古民家カフェ「kumacafe」。

今年3月、胎内市にオープンした「kumacafe(クマカフェ)」。ブラジル出身のフラビアさんがオーナーを務めるこちらのお店では、生地から手作りしたピッツァや地元の野菜を使った料理、ブラジルのスイーツなどが楽しめるそうです。新緑の緑に映えるオレンジ壁の店舗を訪ね、フラビアさんにお店のこだわりや胎内の魅力を聞いてきました。

 

 

kumacafe

西村 フラビア Flavia Nishimura

1982年ブラジル生まれ。16歳で初来日し、その後外国人タレント、レストランスタッフ、料理教室講師、生け花教室師範など様々な仕事を経験。2019年頃に胎内市に移住し、2023年3月に「kumacafe」をオープン。ジュエリーやインテリアのデザインなども手がける。生け花の草月流師範でもある。

 

ブラジル出身の女性が、胎内で暮らしはじめたわけ。

——フラビアさんはブラジルのご出身ということですが、日本語がとてもお上手ですね。日本に来ることになったきっかけを教えてください。

フラビアさん:父方のおじいちゃんが日本人だったの。でも私の父は長男だったから、外国人の母と結婚することに大反対されていたのよ。だから私もおじいちゃんに会ったことがなかったし、自分に日本人の血が流れていることも知らなかった。

 

——いつ日本人の血が流れていることを知ったんですか?

フラビアさん:16歳のときに初めておじいちゃんに会ったの。それから日本のことをいろいろ教えてもらって興味を持ったわ。それで16歳で初来日してアルバイトをしながら過ごして、それからブラジルと日本を行ったり来たりするようになったの。外国人タレントとして活動していたこともあったね。

 

——えっ、タレントをされていたんですか?

フラビアさん:お米のテレビCMやバラエティー番組の再現ドラマに出演していたよ(笑)

 

——へぇ~、そうだったんですね。日本で暮らすようになったのはいつからなんですか?

フラビアさん:結婚して子どもができたのでブラジルに帰ったんだけど、2014年に息子と一緒に再来日したの。そのときに名古屋のレストランやベーカリーで働きながら料理や生け花の勉強をして、自分でも料理教室や生け花教室をやっていたね。

 

 

——ものを作ることがお好きなんですね。ところで、どうして胎内で暮らすことに?

フラビアさん:私自身スーパーが1軒しかないような田舎町で育ったから、いつかは自然の多い田舎で暮らしたいと思っていたの。息子も自然が大好きで、箱根に行ったときに「こんなところで生活したい」って言ったから「空き家バンク」で田舎の家を探したのね。岐阜の飛騨高山とか、長野とか、十日町とかいろいろ候補はあったんだけど、海と雪のあるところに憧れていたので胎内に決めたの。自然が豊かで人も優しいから、胎内で暮らしはじめて本当に良かったと思ってる。

 

地元の旬を味わえる料理と、ブラジルのスイーツ。

——ここは古民家だったんですよね。

フラビアさん:店舗にした建物はもともと車庫兼物置として使われていたの。3つくらい物件を見て回ったなかでは、ここがいちばんボロっちかった(笑)。1トンくらいのゴミが残されていたし、敷地も「ジャングルですか?」っていうくらい藪が生い茂っていて、掃除や手入れが大変だった。でも地元の人たちが手伝ってくれたおかげで、なんとか片付けることができたの。

 

——荒れ放題だったんですね。リノベーションの際はどんなことにこだわりました?

フラビアさん:まずお願いする大工さんを決めるのに時間がかかったね。何人もの建築屋さんに会ってみたけど、古い日本家屋のことをよく知っている人にお願いしたかったので、70代のベテラン大工さんにお願いすることになったの。建物はあまり手を加えず、古民家の美しさを生かしてほしいって、手描きのデザイン画でイメージを伝えたりしてね。

 

 

——苦労の甲斐があって、とてもいい雰囲気のお店になりましたね。こちらのお店では、どんなメニューを楽しむことができるんでしょうか。

フラビアさん:私はパン教室を開いていたほどパン作りが大好き。だから手作り生地のピッツァはぜひ食べてほしい。できるだけ地元で採れた食材を使って作りたいので、ほとんどメニューを決めずに、そのときどきの美味しい食材を使って作っているの。近所の方から無農薬野菜をおすそ分けしていただくこともあるね。

 

——地元に密着したカフェなんですね。デザートはいかがでしょう?

フラビアさん:バナナケーキとかニンジンケーキとか、ブラジルのスイーツを出しているの。これから夏に向けては、オーガニックな材料を使ってジェラートも作りたいな。

 

——ブラジルのスイーツが胎内で食べられるなんて。どんなお客さんが多いですか?

フラビアさん:地元の人も来てくれるし、市外から足を運んでくれる人もいる。お客様とはガーデニングやリノベーション、古民家の話題で盛り上がることも多いね。地元の人たちとも仲良くしてもらっていて、一緒にお料理を作ったり、温泉に出かけたりしているの。胎内にはウェルカムな人が多いから、ここで暮らせて良かったと思ってる。

 

自然豊かな胎内で出会う、動物たち。

——胎内のお気に入りポイントを教えてください。

フラビアさん:真向かいにある鳥坂神社では春になると「シャングシャング馬」っていう伝統行事が開かれて、とっても見応えがあるの。海岸側にある「塩の湯温泉」はお湯が真っ黒で臭いから初めて入ったときびっくりしたんだけど、お肌がつるつるになるからオススメ。河川公園から見る胎内川やスキー場なんかもオススメかな。

 

——自然豊かでいいところですよね。

フラビアさん:私はディズニーキャラクターの「チップ&デール」が大好きなんだけど、この前庭仕事をしているときに野生のリスに会って興奮しちゃった(笑)。他にもサルは当たり前のようにいるし、タヌキやシカも出てくるよ。ほら。

 

——あ、これ、フラビアさんが撮った写真ですか。いや、これってシカどころか特別天然記念物のカモシカじゃないですか。しかも、めっちゃカメラ目線だし!

フラビアさん:私の所有している山のなかで見かけたの。ひとりで山の整備をするのは大変だから、手伝ってくれる人を募集しているところ。手伝ってくれたらタダでキャンプに使ってもらってもいいんだけど(笑)

 

 

——カモシカの住む山まで所有されているんですね(笑)。これからはどんなふうにお店を続けていきたいですか?

フラビアさん:この下赤谷地区の魅力を知ってもらって、もっとたくさんの人に訪れてほしいので、「kumacafe」が人の集まる場所になっていけたらいいなって思うね。

 

 

 

kumacafe

胎内市下赤谷365

0254-28-7797

8:00-17:00

月火曜休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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