大好きな新潟を、イラストで伝える。
イラストレーター「くさひき」さん。
カルチャー
2026.03.21
新潟を拠点に活動しているイラストレーター、くさひきさん。京都で生まれ育ち、10年ほど前から新潟に住みはじめました。そんなくさひきさんは昨年、イラストレーターとして独立され、新潟の魅力をイラストで伝える活動を本格的にはじめられました。くさひきさんのこれまでのことや、「新潟愛」に溢れたキャラクターや絵のことなど、いろいろお話を聞いてきました。
くさひき
京都府出身。2017年から新潟に住みはじめ、本業の傍らイラスト制作を行う。昨年よりフリーランスのイラストレーターとして活動をはじめ、イラストの制作やキャラクターデザインを行う。登山が趣味で、角田山がお気に入りなんだとか。新潟のゆるキャラ「ササダンゴン」が好き。
絵を仕事にすること。
それは、課題解決の一助になること。
――早速、くさひきさんが絵を描きはじめたきっかけから教えてください
くさひきさん:小さい頃からずっと絵を描いていて、いつから描きはじめたかは、はっきり覚えていないんです。動物や植物が好きで、今でもこれらをモチーフにした絵を描くことが多いですね。
――くさひきさんは京都府のご出身です。どんな経緯で新潟に来ることに?
くさひきさん:大学を卒業した後、研究職に就くことになったんです。就職が決まって、まだどこに配属されるか分からなかったときに「新潟に配属が決まった」って電話が来たんです。それまで新潟には行ったことがなくて、「新潟といえば田んぼ」くらいのイメージでした(笑)
――実際に新潟に住まわれてみて、いかがでしたか?
くさひきさん:新潟に来た年の冬が大雪の年で、最初はびっくりしちゃったんですけど、暮らしていくうちに居心地がいいというか、住みやすくなって。四季がはっきりしていて、季節ごとにそれぞれの楽しみがあるのが、すごく良いなって思いました。新潟に来てからは、研究の仕事を続けながら、イラストを描いていました。
――フリーランスのイラストレーターとして、ひとり立ちすることになったきっかけは?
くさひきさん:新潟に住みはじめたくらいの頃、本格的に登山に行くようになって。新潟には登る山がたくさんあったので、一気にはまったんです(笑)。住心地もいいし、ご飯は美味しいしで、新潟にずっと住みたいと思うようになりました。でも、研究の仕事には転勤がつきもので、いずれは新潟を離れることになるかもしれないと思ったとき、それは嫌だなって。それで、フリーランスとして活動していくことにしたんですけど、独立するまではすごく考えたし、準備もたくさんしましたね。
――具体的にはどんな準備を?
くさひきさん:3年前くらいから、登山で経験したことを漫画にしてインターネットで発表するようになったんです。そうすると、いろんな人とのつながりができていって。そこからお声がけをいただいて、雑誌で漫画を描かせてもらったり、イラストを制作させてもらったりしたんです。そういうのをいくつか経験して、感覚を慣らしていきましたね。
――経験を積んで、少しずつ準備していったんですね。
くさひきさん:それと絵を描くという仕事が成り立つかどうか、っていうのもすごく考えました。 仕事として絵を描くなら、誰かの課題解決をお手伝いできたらいいなっていう思いがあって。研究の仕事をしているときの経験がきっかけで、こう思うようになったんです。研究職はただ研究するだけじゃなくて、その成果を皆さんに伝えることも、大事な仕事のひとつなんです。でも、伝えることが苦手な研究者は意外と多くて、なかなか伝わらない、なんていうことがよくあって。伝えたいことが、その人にしっかり届くようなお手伝いができるかもしれない、と思って、絵を描くことを仕事にしようと決めました。


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新潟を表したオリジナルキャラクター、
「トキサブロー」のこと、聞きました。
――くさひきさんのイラストは、可愛らしさとリアルさのバランスが絶妙ですよね。動物や植物は、可愛いけれどリアルというか。
くさひきさん:研究の仕事をしていたのが大きいと思います。研究は対象を観察することが基礎でしたし、自分自身、観察することが好きだったのもあって、細かいところも描けるのかなと思います。ただ、デフォルメのキャラクターからリアルタッチの風景や植物まで、描ける幅が広すぎて依頼をしていただく方が混乱しないか、ちょっと不安ではあります(笑)
――今日は、オリジナルのキャラクターである「トキサブロー」のこと、いろいろ聞きたいんです。このキャラクター、モチーフは佐渡のあの鳥ですよね……?
くさひきさん:はい、佐渡のトキをイメージしています。でも、このキャラクターはトキではなくて、「トキに憧れているタヌキ」なんです(笑)。
――トキに憧れているタヌキ!? いったい、どんな経緯でこのキャラクターができたのでしょう。
くさひきさん:私、本当に新潟のことが好きなんですけど、その新潟を絵に落とし込むって意外と抽象的で難しかったんです。それで、新潟をキャラクターにしてみたら、具体的になるんじゃないかなと思って作りはじめたんです。実は、タヌキにしたのにも理由がちゃんとあって。佐渡には「団三郎狸」という架空の狸がいるとされているんですよ。
――新潟に住んでいるのに、知らなかったです。
くさひきさん:結構マイナーかもしれないですね。でも、実はジブリ映画のキャラクターとしても出たことがある狸なので、知る人ぞ知るみたいな存在でもあると思います。トキに憧れる団三郎狸、ということで「トキサブロー」という名前にしました。
――「トキサブロー」には、他にも新潟ならではの特徴があるんだとか。
くさひきさん:「トキサブロー」の顔は、団三郎狸とトキにプラスして、錦鯉のカラーリングも取り入れています。この子が履いているかんじきの結び目は、笹団子の結び目にしています。後は、マントの留め具はおちょこの底にある蛇の目をイメージしました。ちなみに、留め具はヒスイや柿の種など、バリエーションも多くありますよ。
――ひとつひとつ、モチーフとなる新潟のものがあって、県民としてはすごく嬉しいです。「トキサブロー」の隣にいる「さけまる」は、どんなモチーフが由来になっているのでしょう。
くさひきさん:新潟といえば、鮭も重要ですよね。「さけまる」は鮭のかたちをした紙風船なんです。新潟には、国内で唯一紙風船を作っている会社さんがあって、そこで魚型の紙風船がつくられていたんです。それを可愛く見せたいなと思って、このキャラクターを作りました。

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自分の目線で、伝えたい。
新潟で、これからやってみたいこと。
――キャラクターの他にも、新潟をテーマにしたイラストがたくさんあります。
くさひきさん:新潟の人にたくさん見てもらえた作品は、三条市が舞台になったアニメの非公式聖地巡礼マップですね。アニメのモデルになった場所がいろいろあるんですけど、位置関係がわからないなって思って。全国から聖地巡礼にいらっしゃる方もいると思うし、マップを描いてみようと思いました。実際に印刷して、歩いてみたっていうお声もいただけて、描いてよかったなと思った作品のひとつでした。
――新潟での暮らしを描いた漫画は、新潟に住んでいる私たちにも発見があります。
くさひきさん:柏崎の「えんま市」にいったときのことや、聖地巡礼のマップを作ったアニメのイベントに参加したときのことを漫画にしてみました。「こんな感じでしたよ」って教えるというよりは、自分目線で見たものをイラストにして伝えることができたら良いな、と思って描いています。
――作品を見るだけでも、いろんなかたちで新潟のことを伝えてくれています。これからやってみたいことはありますか?
くさひきさん:新潟をテーマにした作品や、新潟の魅力を伝えられるようなイラストを描くようなお仕事ができたら良いなと思っています。新潟の愛を語ろうと思うと、長くなっちゃうんですけど(笑)、新潟県って本当に面白い県だと思うんです。県外出身だからこその視点も活かして、イラストで新潟のことを伝えていきたいですね。


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