このところ値上げラッシュが続き、うんざりしてしまいますよね。そんななか、新潟市西区のディスカウントストア内にある青果コーナーでは、他のスーパーよりもちょっとお得に新鮮な野菜や果物が買えるんだとか。この青果コーナーを担当しているのが、青果の仲卸業務を行ってきた「株式会社 新和青果」です。店舗を任されている店長の廣田さんと上司の坂野さんに、安さの理由や置いている野菜や果物についてお話を聞いてきました。
株式会社 新和青果
廣田 一真 Kazuma Hirota
1985年五泉市生まれ。高校卒業後、県内のスーパーに就職し7年ほど勤める。その後は建設や食品卸、介護の仕事などを経験。昨年5月に「株式会社 新和青果」に入社。今年2月より「ダイレックス新潟大学前店」青果テナントの店長を任される。趣味はサウナ。
株式会社 新和青果
坂野 徹 Toru Sakano
2020年6月より新潟市江南区にある総合食料品卸新印食品の青果テナント責任者を務め、現在は「ダイレックス空港通り店」青果テナントも兼務。市場歴は10年以上。
——まず、「新和青果」さんがどんな会社なのか簡単に教えてください。
廣田さん:中央卸売市場にある青果の仲卸企業のひとつです。主な得意先は生協さんへの卸、次いで外食系(ラーメン屋さん)、給食系(学校、病院、老人施設)とか。卸だから、もともとはこういう小売機能を持っていなくて。これまでこういう販売場所はなかったんです。
——ではどうして小売りをはじめることに?
坂野さん:うちの社長が以前から「小売りをやってみたい」と考えていたみたいで。ちょうどコロナ禍で巣ごもりする人が増えて、スーパーの需要が上がったタイミングで「やってみないか」と声がかかったので、小売りをはじめることになったんです。
——それがこのディスカウントストア内の青果コーナーなんですね。
坂野さん:ここはうちの2号店で、空港通りにあるディスカウントストア内の青果テナントが1号店です。そっちは私が店長をやっていて、ここの店長が廣田です。
——野菜も果物も、私がいつも行くスーパーより安い……。
廣田さん:他のところよりも2割くらいは安くなっていると思います。外食系にも野菜を卸しているので、そこで売り切れないものとか規格が合わないものとかもあるので、そういうものもここで売っています。だからお得に買っていただけるんです。
——なるほど、そういう理由が。安くても、品質としては何も問題ないわけですね。
坂野さん:そうですね。品質がよくないわけではなくて、市場でそのとき飽和してしまっているものというか、だぶついてしまっているものとかを安く買っているから、ここでも安く販売できるんです。
廣田さん:例えば、農家さんが市場に世間の需要より多く野菜を持ってきてしまって余っちゃったとか。そういうときに本来は120円のところ、50円で売られているものを買うような感じですね。
——廣田さんはいつからこちらの店長さんに?
廣田さん:ここがオープンしたのが2月末なので、だいたい1カ月前くらいからです。入社したのは去年の5月です。
——「新和青果」さんに入社する前も、青果関係のお仕事をされていたんですか?
廣田さん:スーパーに7年ほど勤めていて、その後は建設会社や食品卸の会社で働いていました。2年くらい前には介護の仕事をしていたんですけど、そのときから坂野とは仲がよくて、あるとき「店舗の店長になる人を探しているんだけど」と誘われたんです。
——きっかけは坂野さんからのお誘いだったんですね。
廣田さん:そうなんです。介護の仕事がなかなか大変だったこともあって、「やります」と答えました。
坂野さん:大変助かっていますよ(笑)
——スーパーや食品卸の会社で働かれていた経験は、今も生きていますか?
廣田さん:そうですね。値段決めもそうですし、あとは商流とか、仕組みの部分はだいたい分かっているのでやりやすいところはあります。ただ、スーパーで働いていたときは精肉の担当でしたし、野菜の販売は初めてなのでまだまだ勉強中ですね。
——野菜の勉強って、例えばどんなことを?
廣田さん:鮮度劣化のこととか旬のこととか……。あとは仕入れたものをどのくらいの値段にしたら売れていくかとかも、まだ分からないので難しいですし。お店に来たお客さんが野菜をどう使うかイメージできるように、食べ方の提案をするためにいろいろ調べたり、みかんひとつにしてもいろいろな種類があるので勉強したり。覚えなきゃいけないことがたくさんあるなって思います。
——青果を扱うのって、気温とかいろいろな要因に左右されて難しそうです。
坂野さん:季節だけじゃなくて世の中の情勢とかもそうですし、天候の影響もめちゃくちゃ受けるんですよ。この冬、ものすごく寒かったんですよね。新潟に入ってくるキュウリは宮崎か高知のものが多いんですけど、高知で雪が降ってしまって。宮崎のキュウリに需要が引っ張られて、市場の相場価格で1箱1万円とかになったんですよ。1箱50本入っているから1本200円。
——そんなに影響が大きいとは……。いろんな情報にアンテナを張っていないとなんですね。
坂野さん:野菜、本当に難しいと思います。その難しさを楽しむしかないんじゃないかな(笑)。いちばんは、いいものを安く売りたいんですけどね。でもただ並べておくだけだと鮮度劣化してしまうし、在庫バランスも難しいですからね。
——廣田さんは、こちらの店長さんとしてどんなことを大事にしていきたいですか?
廣田さん:うちは結局、卸なので、かっこつけて綺麗な売り場にこだわることよりは、お客さんが買いやすい価格で出すことを大事にしたいと思っています。うちが多少損しても、来てくれたお客さんに「いいな」って思ってもらえるような、その日の目玉みたいなものは毎日ひとつかふたつ並べるようにしているんです。インスタのストーリーでもその日の目玉商品を紹介しています。今日はバナナが99円です。
——うわ、安いですね! 毎日食べるようなものが安く買えるのは嬉しいです。
廣田さん:野菜もそうですけど、毎日使うものは買いやすい値段にしているつもりですね。パインとかだと差を出しにくいんですけど、玉ねぎとかにんじんとかは他のお店よりちょっと安くなるように心がけています。奇をてらったものというよりは、普段の生活で使うものをお買い求めやすい価格で買ってもらいたいですね。
株式会社 新和青果
新潟市江南区西山784番地9
ダイレックス新潟大学前店 青果テナント
新潟市西区坂井砂山4丁目18-1