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お客さんのために描く、「ソライロ」Emiさんの色鮮やかな作品。

新潟でアルコールインクアートの作家として活動されている「ソライロ」のEmiさん。色鮮やかで繊細な花は、なんとドライヤーで描かれているんです。素敵な色に癒やされ、ずっと見ていたくなるような作品をつくり続けるEmiさんに、アルコールインクアートをはじめたきっかけや大切にしているものについて、作品の制作中にお話を聞いてきました。

 

ソライロ

Emi

1985年魚沼市生まれ。2018年からハンドメイドをはじめ、つまみ細工や水引を使った作品を制作する。その後、アルコールインクアートと出会い、2022年から販売をはじめる。現在は全国各地で販売を行い、県外に販売に行ったときは地元の神社に足を運び御朱印を集めている。

 

シングルマザーからはじまった、ハンドメイドの道。

――Emiさんはどんな経緯でハンドメイドをはじめたのでしょうか。

Emiさん:シングルマザーになったことがきっかけでした。普通の会社員だけでは、子どもに将来やりたいことをさせてあげられないと思って、コロナ禍で私には何ができるかなと考えました。いろんな可能性を探した中でハンドメイドにたどり着き、さらに自分に合うものを探したんです。

 

――はじめからアルコールインクアートを制作していたのでしょうか。

Emiさん:最初はつまみ細工で髪飾りなどをつくって、美容室で委託販売をしていました。でも、つまみ細工は七五三や成人式、結婚式のような限られたシチュエーションで使う方にしか届けることができなかったんです。そこから他にいいハンドメイドはないか、考え直しました。

 

――その後は水引を使った作品づくりをされたとか。

Emiさん:水引の作品をつくりはじめてから、地元の小さいマルシェや十日町の「とおか市」に出て、私なりに少しずつ、お客さんづくりに取り組んでいきました。「道の駅 SORAIRO 国上」さんで出店していたときに、「ソライロ」を多くの人に知ってもらえたんです。はじめからうまくいったわけではなく、ひとつも売れなくて泣いて帰った日もありました。でも2年間、週末や大型連休に出店しつづけたことで、大事にしているお客さんとの絆を深められたと思います。

 

――ふむふむ。

Emiさん:だからこそ私は「何をつくっているか」、「誰がつくっているか」をお客さんにみてもらいたくて、お客さんと顔をあわせられる対面の販売を続けているんです。

 

 

――そこから、どんな経緯でアルコールインクアートと出会ったのでしょうか。

Emiさん:Instagramを見ていたとき、アルコールインクアートで描かれたお花の絵に目を惹かれたんです。筆を使わずドライヤーで描かれているのを見たときに、とても心が躍ったのを覚えています。そのお花を描いていた方にアルコールインクアートを教えてもらうことになって。今では彼女は人生の恩師になっているんですよ。

 

――ひとつの投稿から素敵な出会いがあったんですね。

Emiさん:その方は、いつも私に勇気と刺激をくれるんです。習いはじめたときはうまく描けずにへこんで、悩んでを繰り返していたんですけど、それでもとにかく楽しかったんです。描くことが楽しくて、毎日何枚も描きました。3年が経って2,000枚以上描いてきた今、自分の思うように描けてきたと少しずつ感じるようになりました。

 

風で描く、鮮やかなイロ。

──アルコールインクアートはどのように作られているのでしょうか?

Emiさん:用紙にアルコールとインクを落として、ドライヤーの強い温風で一気に描きます。 紙いっぱいに描く「埋め尽くし」や、余白を残しながら描く「透かし」っていう描き方を組み合わせながら作品をつくっています。用紙いっぱいにふんわり描いたり、海の波のような線を強調した「アゲートライン」を描いたり、私みたいにお花を描いたり……。その中でも特に「透かし」でお花を描くのが難しくて、自分の納得のいくものができるまで、とても時間がかかりました。いちばんのコツは、楽しんで描くこと、これに尽きますね。

 

 

 

――作品をつくるとき、難しいと感じることはどんなことでしょうか。

Emiさん:アルコールインクアートは湿度がとても重要なんです。とにかく湿度を下げる必要があって、梅雨の時期は特に気をつかっていますね。あとは、ちょっとした手の動きでインクが思わぬ方向にいったりするので、風の動きも考えながら作品をつくっています。

 

――迷うことなく描き進められていますが、構図とかはあらかじめ考えているのでしょうか。

Emiさん:はっきり決めてなくて、感覚でやっているんです。「埋め尽くし」か「透かし」 かを決めて、イメージや感覚でつくっています。オーダーの作品も、お客さんに色の希望やイメージを聞いたら、あとは任せてもらうことが多いですね。

 

 

――アルコールインクアートのどんなところにEmiさんは惹かれたのでしょうか?

Emiさん:色で自分の世界を無限に表現できるところですね。筆で花を描いている人はいるけど、風を使って描く人は聞いたことがなかったですし。新潟県でまだ誰もやっていなかったのも、理由のひとつですね。

 

――屋号である、「ソライロ」の名前の由来を教えて下さい。

Emiさん:子どもでも覚えてもらいやすいように、ひらがなかカタカナにしようと思ったんです。昔から好きだった空と、アルコールインクの鮮やかな色をあわせて「ソライロ」という名前にしました。子どもたちにも名前を覚えてもらえているので、この名前にしてよかったなと思います。

 

 

――2023年に開業されたんですね。

Emiさん:もっと絵が描きたい、突きつめたいと思っていたんです。そんなときに今まで関わってくれた人たちの後押しや応援があって。それまでは別の仕事と兼業していましたが、それを肌で感じることができたので、ハンドメイド一本で独立することの不安はなかったですね。今までもらった「がんばれ」っていう言葉が後押ししてくれました。

 

――応援があったからこそ、踏み出せたんですね。

Emiさん:そうですね。大切なみなさんからの言葉は、心強かったです。作家とお客さんの枠を超えた関係性ができていると、改めて実感しています。私のInstagramは、大好きな人たちで溢れかえっているんです。

 

 

――お客さんとの関わりで大切にしていることはどんなことなのでしょうか。

Emiさん:対面での販売にとにかくこだわっています。私が描く絵や、作るアクセサリーを選ぶ人に会いたくて、南は広島から、北は岩手まで、車で各地に行っているんです。お客さんの顔を見て、私という人間も見てもらって、これからも各地で販売を続けていきたいですね。

 

――最後に、Emiさんの今後の目標を教えてください。

Emiさん:もっと技術を高めて、向き合って、応援したいなって思ってもらえるように愚直に描きつづけるのみです。私が描く絵に魅力を感じて、手に取ってくれる方がひとりでも増えたら嬉しいです。イベントに来てくれたお客さんが笑顔で帰っていく姿をまだまだ見ていきたいですね。

 

 

 

ソライロ

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