[Things Music]現役JKミュージシャン「コダハルカ」。
カルチャー
2020.09.28
フィクションとノンフィクション。ふたつの世界を掛け合わせた歌たち。
新潟で活躍するミュージシャンを紹介する[Things Music]。今回は、なんと現役女子高校生のミュージシャン「コダハルカ」の登場です。高校生とは思えない独自の世界観から生まれる彼女の曲たち。果たして、どのようにして誕生しているのでしょうか?

コダハルカ Kodaharuka
現役女子高校生。美術部に所属。海や山、川などの自然が大好きで、特に夕方の浜辺がベストプレイス。中学2年生でライブの前座としてステージに立って以来、独自の世界観から生まれる曲を発信し続けている。2020年9月6日、スプリットEPを初リリース。
J-POPから民族音楽まで。両親の影響をたくさん受けた音楽感。
――コダハルカさんは、いつ頃から音楽に興味を持ちはじめたんですか?
コダハルカさん:私の両親は、大学時代からずっとバンド活動をしていました。ダンサーが加わっているようなバンドと、ジャンベなどを使った民族音楽バンド、それぞれ対極的な音楽活動をしていたんです。その影響もあって物心ついた頃から私は歌うのが好きでしたね。
――音楽のある家庭環境だったんですね。羨ましい。ご両親のバンドに参加してみたことはあったんですか?
コダハルカさん:新体操をしていたから、「ちょっと踊ってみなよ」と言われて、民族バンドに加わって踊らせられたことがあります(笑)

――あ、歌うんじゃなくて踊ったんですね(笑)。
コダハルカさん:そうなんですよ(笑)。でも、小学校6年生で同じようにステージに立ったことがあって、そのときは歌ったんです。それで「自分でも音楽やりたい!」と思って、今に至っていますね。
――やっぱりキッカケとなったのはご両親の音楽活動だったんですね。ちなみに現役女子高生のコダハルカさんは、普段、どんな音楽を聴いていますか? さすがに民族音楽は…
コダハルカさん:もちろん民族音楽も聴きますよ。あとはSuperfly(スーパーフライ)やスピッツ、チャラン・ポ・ランタンが好きです。でも、いろんな時代のジャズも聴くし、洋楽だって聴きます。親のiTunesからランダムで曲をかけてビビッとくる音楽を探すのも好きで、とにかく幅広く何でも聴いていますね。ふふふ(笑)

「コダハルカ」のリアルに起きたこと、本の主人公のこと。
――それでは曲についても教えてください。どんな曲を書いていますか?
コダハルカさん:実際に私が体験したり、感じたり、友達から聞いた現実のことと、読書をしているなかで登場した主人公がどんなことを考えているのかといった妄想の部分を掛け合わせた、ノンフィクション×フィクションの世界を書いています。
――現実と妄想の世界ってことですね。曲を書くときにマイルールはありますか?
コダハルカさん:音楽って自分の感情と合っていると聴きたくなるじゃないですか? だから言葉が合っているのか、気持ちが合っているのか、居場所になっているのかとか、曲を聴いてそういうことが確認できるように書いています。あとは聴いたら自分を肯定できるようにも。

――なるほど。そういったことが最も感じられる曲があったら教えてください。
コダハルカさん:それなら「髪を切りに行こう」という曲ですね。この曲は、私の失恋経験を元に書き下ろしました。
――そうなんですね…失恋話を詳しく聞きたいけど我慢します…。どんな気持ちが書かれていますか?
コダハルカさん:髪を切りに行くことは、男の子も、女の子も、みんなにとってどこか気持ちを切り替える分岐点だと思っています。だから、ズルズルと失恋した未練がましい気持ちを切り替えるために、「よし、髪を切りに行こう!」と前向きになれるような曲になっています。悲しいままでいるのは好きじゃないから、なるべく良くなれるように、前に進めるように書きました。ちなみに、この曲のジャケットは私が描いたんですよ。美術部だから得意なんです(笑)

――え? このジャケットを描いたんですか? すごい。っと、驚き過ぎて曲の話が飛んじゃいました(笑)。えっと…失恋の体験を書いてみてどうでしたか?
コダハルカさん:ん~…初めて書いた失恋ソングだったから、正直、ちょっと恥ずかしくもあったけれど、最後に「君が好きだった」とストレートな言葉を入れられたから、本当の自分の気持ちに気がつけたかなって思います。それに当時の自分がいかに恥ずかしくて、いろんなことに執着していたかとかも気がついたし…客観視できたというか……きゃー恥ずかしい(笑)

まだ分からない、自分の知らない感情を求めて。
――まだまだこの先、いろんな体験からたくさんの曲を書いていくんだと思います。チャレンジしてみたいことはありますか?
コダハルカさん:東日本大震災があった陸前高田市に2週間の滞在をして、二人の子どもを亡くしたお母さん、家が流されてしまった家族などから当時の話を聞かせてもらったことがあります。その人たちが感じたこと、見てきたことなどの現実は、どれも受け取ったままにしていては勿体ないし、すべてを受け止めきれないと思って「生きて」という曲を書きました。この曲が書けたのは話を聞いたからだけじゃなくて、自分が今までに知らなかった感情を知れたから。だからもっと、自分の知らない感情を求めていきたいと思っています。

――そんな経験をされていたんですね。
コダハルカさん:はい。「生きる」ということをとても深く考えるキッカケになったし、そのことを自分が体験したかのように伝えるのではなくて、経験を受け取ったことを伝えた歌として、仲介役としての表現をしたつもりです。
――高校生という若さで、そんな考えができるなんて尊敬します。では最後に、「コダハルカの曲」は、どんな存在で在りたいと考えますか?
コダハルカさん:無理に何かを応援するのではなくて、寂しいとき、辛いときに寄り添って隣にいられる何かであって欲しいと考えます。誰かが頑張っていたり、何かを乗り越えていたりするハッピーな映画を観ていて「自分も頑張ろう」と思うように、私の曲を聴いてちょっとだけでいいから、そんなふうに考えてもらえる時間になってくれたら嬉しいです。

どこか大人。でも、やっぱり元気な女子高生。
曲作りについての話をしている彼女は、しっかりとした軸や物事の捉え方を持っていました。自分が高校生だった頃を振り返ると…「どうやって授業をサボろうか」「体育の授業は何をするのかな」「今日もバイトだ、嫌だな~」なんてことしか考えていなかった…ちょっと尊敬。でも、それだけじゃなくて、ときどき垣間見る高校生ならではの元気の良さと、その賢さのギャップが、たくさんある「コダハルカ」のよいところのひとつなんだなって、そんなことを感じた夕暮れどきでした。

コダハルカ
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