セレクトショップのオーナーをはじめ、さまざまな業種のホットな人たちが集う「TOSI by ROJO(トージバイロジョー)」。自然派ワインと洋風総菜を取り扱う女性にはたまらない店づくりの反面、憂鬱な月曜日をヒップなチューンで気分を盛り上げてくれる「BLUE MONDAY NIGHT(ブルーマンデーナイト)」などのイベントを開催するなど、長岡界隈で注目の店です。そんな「TOSI by ROJO」のオーナーである中山さんに、お店をはじめたキッカケ、伝えていきたいコトなど、ちょっと真面目なインタビューをしてきました。
TOSI by ROJO
中山 裕生 Yuuki Nakayama
1989年新潟生まれ。新潟理容美容専門学校卒業。新潟、長岡市内の美容室にて勤務し、後に飲食店勤務へと転身。2018年「TOSI by ROJO」をオープン。趣味は音楽と読書、ときどきフットサル。
――中山さんは、元美容師なんですよね?
中山さん:そうなんですよ。長岡工業高校を卒業してから、新潟理容美容専門学校へと進んで、新潟の某美容室に就職しました。実家が床屋ということもあって、父からは「この床屋、次はお前だぞ」といわれていたんですが、理容師免許だけ取って、とりあえず美容室で働きはじめました。
――長岡には、どんなタイミングで戻って来たんですか?
中山さん:働いていた美容室のストイックさについていけなくて。仕事の悩みを先輩に相談しても「やるしかない」とか、精神論ばかり返ってくることが20代前半の僕には耐えられず…。頑張っている人たちのなかで仕事をしていくのが辛くなって、ちょっと休むつもりで長岡に帰ってきたんです。
――なかなかハードな美容室だったんですね。長岡に戻ってきてからは飲食店で働いたんですか?
中山さん:いえ、長岡でも美容室で働いていました。ただ、お洒落なスタイルを求める新潟の人と違って、長岡の人は保守的なので、美容文化のギャップに疑問を抱いていました。「このまま長岡で美容師の仕事を続けていても…」と、勝手に思い悩み。かといって実家を継ぐほどのメンタルも技術もなかったので、戻ってきて2年で一旦、美容業界から離れる決意をしました。
――美容師を辞めてからは?
中山さん:「TOSI by ROJO」のあるこの場所には、「ROJO」というお店が元々ありました。ちょくちょく通っていたので、オーナーに「仕事を探しているんです」と相談しながら飲んで、日銭を稼ぐために電気工事の跡片付けをしていました。ほうきでゴミをまとめるんです(笑)
――え?「ROJO」ってお店が存在していたんですか?
中山さん:オーナーは兵庫県の方で、日本一周している最中に長岡花火を観るために寄ったら、長岡をえらく気に入って。2009年から2017年までの8年間、「ROJO」という名前でお店をしていたんです。赤を基調とした店内で、ビストロっぽい雰囲気でイタリアンが中心でした。ちなみに僕、「ROJO」で働いていました。
――え??ゴミをほうきでまとめる仕事はどうしたんですか?
中山さん:ある日、「予約で満席なのに、急にスタッフが辞めたからピンチ」と、オーナーから連絡がきたんです。すぐさま向かって、手伝いました。このことがキッカケとなって1年半の間、「ROJO」が閉店するまでホールスタッフとして働いていました。
――なるほど。お客さんからスタッフへ転身されたんですね。どうして「ROJO」は「TOSI by ROJO」になったんですか?
中山さん:オーナーの家族の具合が悪くなって、急遽、お店を閉めることにしたんです。「あぁ、閉店するんだな」と思っていた矢先、「お店をやってみないか?」と、急にチャンスを振られたんです。めちゃくちゃ急な話ではありましたけど、1日考えて、チャンスがあるなら今しかないと思って勢いで返事をしました。……あと、(小声)元カノから言われたひとこともちょっとだけ後押しにもなりましたね。
――え?元カノが何ですか(大声)??
中山さん:元カノにフラれた理由が、美容師で成長したいと頑張っている自分を応援してくれていたのに、途中で投げ出してしまったことなんです。「どうして途中で投げ出せるのかがわからない」って。その言葉が頭の片隅にずっと残っていて、見返してやるチャンスは今しかないと「ROJO」を引き継ぐ決心をしたんです。
――それでは、引き継いだ「TOSI by ROJO」についておうかがいします。どんなコンセプトですか?
中山さん:コンセプトは「何もない毎日の、ちょっとした楽しい時間」としました。誕生日でも、何でもない日だけど、あそこに行ったら素敵な時間が過ごせたと思ってもらえるようにと。自分のなかでは「ROJO」がそういう存在で、そんなお店に映っていたので、家に帰ったら「今日も良かったな」と振り返ってもらえるような店づくりを目指しています。
――「ROJO」の素敵ポイントはしっかり引き継いでいるんですね。気になっていたんですが店名についている「TOSI」って、何かの名前ですか?
中山さん:店名の「TOSI(トージ)」は、イタリア語で「若返り」を意味します。8年間続いた「ROJO」を自分の手で若返らせたいとの思いを込めて「ROJO」にくっつけました。
――イタリア語なんですね。誰かの名前だと思っていました(笑)。失礼しました。メニューはどんな内容に?
中山さん:フードはフレンチ、イタリアン、洋食の総菜をおばんざいスタイルで提供しています。なので、当店のスペシャリテは「前菜の盛り合わせ」です。とりあえずの1品として人気で、あとは小皿料理や副菜が20種類以上あります。1軒目でも、最後の店としても、ちょいちょい摘まんでもらえるように考えました。
――どのタイミングでも楽しめるのはポイント高いですね。グルっと長岡を楽しむのに、バッチリじゃないですか。
中山さん:「TOSI by ROJO」のある通りには紹興酒が豊富にそろう中華料理店「中国酒食堂en(エン)」とか、レコード屋でありながらバーでもある「ワンループレコード」とか、同じぐらいのタイミングでオープンしたお店があります。この3店舗をグルっとまわるのが定番コースの人も多くて、この通りを「裏長岡」と呼んでいます。ちょっと「裏原宿」に憧れる感じで(笑)
――「裏長岡」、いいじゃないですか。新潟から遠征しに来ますね(笑)
中山さん:ぜひぜひ(笑)。あ、自然派ワインの紹介もしていいですか?「ROJO」から引き継いだ大切なメニューのひとつなんです。
――ちょっと脱線しちゃいましたね。もちろんです。って、自然派ワインについて何も知らないんですが…。
中山さん:自然派ワインは、簡単に説明すると、飲みやすくてブドウ本来のフレッシュさや味をダイレクトに感じられるワインです。自然の力を存分に引き出しているので、今までのワインにもっていたイメージを覆してくれると思います。
――ん~気になりますね~。一般的なワインと一緒で種類もあるんですか?
中山さん:もちろんです。赤、白、泡はもちろん、白ワインなんだけどオレンジ色をしたモノもあります。ひと口飲んだら「あ!これが自然派ワインっていうんだ」と分かりやすい味わいのものから、ちょっとした驚きのある変化球まで、いろいろなワイナリーからセレクトしています。不純物や添加物が入っていないので、1本空けても、次の日に残りにくいのも特徴です。
――最後に、これから目指す「TOSI by ROJO」の姿を教えてください。
中山さん:「あそこに行けば誰かに会える」と思ってもらえる店を目指して、あえて憂鬱な月曜日に「BLUE MONDAY NIGHT(※偶数月開催)」というイベントをやっています。異業種で関わりのない人たちの交流の場として、そして長岡の大人たちが進んできたファッション、聴いてきた音楽など、若者がカルチャーに振れる場として。あえてエントランスフリーで開催しています。「TOSI by ROJO」を通してたくさんのコトに出会い、楽しみ、いろいろな人たちの「ちょっとした楽しい時間」をどんどん提供していければと思います。
裏長岡でのコースは、もう決まりました。近々、記事が公開される「中国酒食堂en」で食事がてら軽く1杯。「TOSI by ROJO」で自然派ワインを飲みながら、いろいろな人と出会い。「ワンループレコード」でクールダウン。あとは長岡遠征をするだけ。もちろん、憂鬱でブルーな気持ちを吹き飛ばしてくれる「BLUE MONDAY NIGHT」が開催される月曜日に。待ってろよ、長岡の夜。きっと楽しませてくれるに違いない。
TOSI by ROJO
新潟県長岡市表町2-3-4
0258-76-0212