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シャリとネタにとことんこだわる、新潟駅前の「千代鮨」。

新潟駅前の「千代鮨」は、その場所柄もあって、新潟の常連さんのみながらず県外からもたくさんお客さんが訪れる人気店です。その人気の秘密はいったいどこにあるのでしょうか。お店のこだわりを、2代目店主の千代澤さんに聞いてきました。

 

 

千代鮨

千代澤 義浩 Yoshihiro Chiyozawa

1983年新潟市中央区生まれ。東京の寿司店で修行を積み、20代後半のときに新潟に戻り「千代鮨」に就業。2代目として「千代鮨」を継ぎ、2019年に店をリニューアルオープン。3歳の女の子と9ヶ月の双子の男の子の子育て中で、今は離乳食を作ることにハマっている。

 

父が始めた寿司屋を継いだ、三人兄弟の末っ子。

——カウンターの席数も多いし、小上がりもたくさんあって広いお店ですね。「千代鮨」はいつ創業したんですか?

千代澤さん:昭和44年5月創業なので、来月で52周年を迎えます。私の父が中学を卒業してすぐ東京の寿司屋で修行して、新潟に帰ってきて始めた店なんです。

 

——そのときから駅前で?

千代澤さん:創業当時から新潟駅前でやってきました。でも寿司屋仲間からは心配されていたみたいなんですよ。

 

——え、どうして心配されていたんですか?

千代澤さん:当時の新潟駅前って、今ほど賑やかな場所じゃなくって、どちらかというとちょっと怖い場所だったようなんです。だから他の寿司屋さんたちは、ほとんど古町で営業していたんですよ。「どうして駅前なんかで営業するのか」って言われながら、それでも頑なに駅前で商売を続けてきたそうです。県外のお客様が多く立ち寄ってくれるので、今では新潟駅前でやってきてよかったと思っています。

 

——千代澤さんは最初からお店を継ぐつもりだったんでしょうか?

千代澤さん:いいえ、私は3人兄弟の末っ子で、上にふたりの兄がいましたので、店を継ぐことはあまり考えていませんでした。とりあえず東京に出て、アルバイトをしながら生活していたんです。でもあるとき、寿司屋でホールのアルバイトしてその楽しさを知って、本格的に寿司屋で修行を始めたんです。

 

 

——じゃあそれから初めて寿司を握ったんですね。修行はきつかったですか?

千代澤さん:とにかく朝から晩まで一日中仕事をしていましたね。始発で魚市場へ仕入れに行って、帰りは終電に間に合わないこともありました。終電に乗れなかったときは職場のみんなでタクシーに相乗りして寮に帰ってましたね。忙しかったけどなんでも任せてもらえる職場だったので、基本的なことはすべて覚えることができました。

 

——新潟に帰って、店を継ぐことになったのはどうしてなんですか?

千代澤さん:結局兄たちが他の道に進んだので、継ぐのは私しかいないってことになったんです。それで20代後半で新潟に戻って「千代鮨」で働き始めました。新潟の寿司についてはほとんど父から学びましたね。

 

代替わりのとき、先輩職人と衝突した店の方向転換。

——板前さんは何人いるんですか?

千代澤さん:5人います。父の代から働いてくれているベテランの先輩も多くて、本当にありがたいと思いますね。

 

——先輩の上に立つ、それが難しいと感じることはありますか?

千代澤さん:代替わりした最初の頃は感じましたね。私の代になって、それまで使ってきた酢、シャリの固さや分量、ネタの切り方、すべてを180度変えたんです。父の代から勤めてきた先輩職人には、私の考え方を受け入れてもらうまでに3年かかりました。それぞれ職人気質の先輩たちですからね。今では考えを分かっていただいて、みんなでお店を支えてくれています。

 

——たとえばどんなところを変えたんでしょうか。

千代澤さん:一番こだわったのはシャリの固さですね。他の店よりも固めに炊いて、シャリをしっかり噛みしめてもらえるようにしているんです。せっかく米どころ新潟のお米を使っているわけですから、噛みしめることで旨みや甘みをじっくり味わってほしいんですよ。美味しいお米が食べたくて新潟に来る方も多いですからね。最初は固すぎるって言われたこともありましたけど、今ではクセになって他店の寿司が物足りないって仰るお客様も多いんです。

 

 

——シャリの固さなんて、今まで気にしたことなかったです……。

千代澤さん:固めに炊くだけじゃなくてシャリの鮮度にもこだわっています。2〜3時間経つと米の風味が変わってきちゃうし、食感もパサパサしてくるんですよ。だから1日3回はお米を炊き直して、常にいい状態のシャリを使うようにしています。

 

——かなりのこだわりを感じますね。ネタの部分ではどうですか?

千代澤さん:ネタの中では、マグロに力を入れています。魚屋さんからいいマグロを回してもらえますから、しっかりと寝かせて旨みを存分に引き出してから使うようにしています。ノドグロもただ握って出すんじゃなくて、海苔を絡めて食べてもらったりしているんですよ。今、世の中は派手な寿司も増えていますけど、寿司ってネタとシャリだけで幸福感を味わってもらうシンプルなものだと思っているので、これからもネタとシャリにはこだわり続けたいですね。

 

カウンターで、寿司と一緒に雰囲気も味わってほしい。

——やっぱり県外からのお客さんは多いんですか?

千代澤さん:そうですね。出張で年一回しか新潟に来ないけど、来たら必ず寄ってくれるっていう常連さんもいます。うちの店を忘れずにいてくれるんだから、こちらもお客様のお顔を忘れないようにしています。父から教わった中で一番強く言われたのは、お客様を大切にすることでしたからね。

 

——じゃあ接客も細心の注意を払って。

千代澤さん:もちろんです。寿司屋ってカウンター商売じゃないですか。お客様ひとりひとりの表情をしっかり見ながら、気配りできるように心がけています。ひとりで食べたい方はそっとしておきますし、緊張している方には冗談を言って気持ちをほぐしたりします。まあ、たまに外しちゃうこともあるんですけどね(笑)

 

 

——お店全体の雰囲気をコントロールするのも、職人の仕事なんですね。

千代澤さん:そうなんです。カウンターって面白いんですよ。大きな会社の社長の隣に小さな子どもが座っていたりして、みんなが同じ立場で寿司を楽しむことができるんです。以前は隣同士のお客様同士が意気投合して、仲良くなるなんてことも多かったですね。次に来るときはふたりで一緒に来てくれたりして。そういう社交の場でもあるんですよね。

 

——じゃあカウンターで食べるのがおすすめですか?

千代澤さん:はい、初めてのお客様には特にカウンターに座っていただいて、寿司と一緒に雰囲気も味わってほしいですね。これからも気軽に美味しい寿司を味わっていただけるよう、街の寿司屋として続けていきたいと思っています。

 

 

 

 

千代鮨

新潟県新潟市中央区東大通1-5-26

025-245-6727

月〜土曜11:30-13:30/16:30-24:00、日曜祝日16:30-22:00

不定休

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