オンラインゲーム全盛の世の中ですが、目の前にいる相手との駆け引きを楽しむことができるボードゲームやカードゲームも根強い人気があります。新潟市古町にある「UNPOT(アンポット)」では200種類の中から好きなゲームで遊ぶことができるんです。オーナーの奥村さんを訪ねて、アナログゲームの魅力やオススメを聞いてきました。
UNPOT
奥村 康紀 Yasunori Okumura
1986年胎内市生まれ。情報専門学校を卒業しIT系企業に就職。2020年にフリーのプログラマーとして独立し、2024年に「UNPOT」をオープンする。最近は古町のお店巡りを楽しんでいる。
——奥村さんはもともとゲームがお好きだったんですか?
奥村さん:そうですね。テレビゲームからカードゲームまでなんでも好きなインドアタイプでした。
——ボードゲームも昔から好きだったんでしょうか?
奥村さん:本格的にハマったのは高校生のときですね。海外のボードゲームを紹介するレビューサイトを見ているうちに、興味が湧いてきてネット通販で手に入れたんです。そのゲームを学校に持って行って、昼休みに友達と遊んでいました。
——海外のボードゲームの、どんなところに魅力を感じたんですか?
奥村さん:そのころの日本のボードゲームって、すごろくのようにほとんど運で勝敗が決まるか、将棋のように戦略のみで進んでいくか、どちらかに偏っているように感じていたんです。でも海外のゲームって、運と戦略のバランスが丁度よくできていたんですよ。
——へぇ〜。ちなみに、どんなゲームに衝撃を受けたんでしょうか?
奥村さん:高校2年のときに買った「プエルトリコ」というボードゲームです。それまで遊んだことのなかったルールや戦略性の深さに、頭をガツンとやられたような衝撃を受けました。プレステ2が全盛だった頃に、紙と木でできたゲームに感銘を受けたんです。今でも遊んでいるほど好きなゲームのひとつですね。
——ただ、ボードゲームやカードゲームって相手が必要ですよね。
奥村さん:そうなんですよ。友達もそれぞれ仕事や家庭を持ちはじめると、なかなか集まることができなくなりますよね。だから同じ趣味の仲間が集まる「サークル」ができるんです。ボードゲームのサークルでは「オープン会」といって、誰でも参加してゲームを楽しむことができる会合が開かれています。
——サークルに参加すればゲームの相手に困らないわけですね。
奥村さん:僕も公民館で開かれていたオープン会に参加しはじめて、知らない人と一緒にゲームを楽しむことで友達が増えていきましたし、それにとどまらず、友達が西区で開いていたオープン会の手伝いも続けてきたんです。
——「UNPOT」をオープンしたのも、その流れがあったんでしょうか。
奥村さん:古町のど真ん中に面白い物件を見つけたので、ここでボードゲームカフェをやってみようと思ったんです。
——ゲームがたくさん並んでいますけど、何種類くらいあるんですか?
奥村さん:200種類はあると思います。これだけの種類があれば誰にでも合うゲームが見つかると思いますし、その日の気分に合ったゲームを楽しんでいただけると思うんです。「考えるのは苦手」という方にも、楽しんでいただけるゲームがきっとあります。
——これだけ種類があると、どれで遊んだらいいのか迷っちゃいますね。
奥村さん:ゲームに詳しくない初心者の方にも楽しんでいただけるよう「どんなゲームで遊んでみたいか」をお聞きして、その方に合ったゲームをお勧めしています。その際には僕の好みを押し付けることがないように気をつけています。
——初心者にはありがたいですけど、ボードゲームってマニュアルを読んでルールを覚えるのも大変ですよね。
奥村さん:そうなんですよ。だからルールを丁寧に説明しています。わからないことは遠慮なくお尋ねいただきたいですね。
——マニュアルを読まずに遊べるのは助かりますね。
奥村さん:多くの方からボードゲームを好きになってもらいたいので、できる限りフォローするようにしています。
——では、ボードゲームのどんなところが魅力なのか教えてください。
奥村さん:オンラインゲームと違う点は、すぐ目の前に相手がいることだと思うんです。リアルタイムで相手の反応を見ながら楽しめることが大きな魅力ですね。あと本物のサイコロを振ったりコマを動かしたりすることで、面白さの質が変わってくるような気がします。同じ運でもコンピュータに決められた数字より、自分でサイコロを振って出た目の方がやっぱり楽しいですね。
——自分で動かす楽しさはあるかもしれませんね。
奥村さん:それから、ボードゲームのいいところは相手に応じて遊ぶゲームを変えられるので、上級者と初心者が一緒になってもフラットに、誰もが同じステージで楽しむことができるんです。
——なるほど。いくつかオススメのゲームを教えてもらえますか?
奥村さん:ひとつは「クロキノール」です。カナダの伝統的なゲームで、ルールはカーリングに似ているんです。オハジキを指で弾いて高得点の領域に入れたり、相手のオハジキを弾き出したりして点数を競います。シンプルななかに戦略性を求められるゲームなんですよ。
——子どもからお年寄りまで、幅広く楽しめそうですね。
奥村さん:もうひとつのオススメは「マラケシュ」です。モロッコの絨毯商人になってお金を稼ぐゲームで、できるだけ相手の絨毯と重ならないように自分の絨毯を敷いていき、最終的にお金や絨毯がいちばん多い人の勝利となります。アナログゲームの魅力がたっぷり詰まっているゲームですね。
——どんなお店を目指していこうと思いますか?
奥村さん:「古町は飲食店が多いわりに遊べる店が少ない」という声をよく聞くんです。だから、気軽に遊んでいける店になれたらいいなと思っています。古町で食事やショッピングを楽しんだついでに、休憩がてら2〜3時間遊んでいってもらえたら嬉しいです。もちろん、朝から晩まで遊んでいってもらっても構いません(笑)
——ひとりで遊びに来ても大丈夫なんですか?
奥村さん:もちろん大丈夫なんですけど、今はまだグループでご来店されるお客様が多いですね。もっとお客様を増やしていって、相席でゲームを楽しんでいただけるようにしたいです。
——お客さんを増やすために、どんなことに力を入れているんでしょう?
奥村さん:ひとりでもご来店しやすいように、第2土曜を「相席歓迎デー」にしているんですよ。そうしたイベントを増やしていこうと思っています。あとドリンクやフードのメニューを増やして、カフェとしても充実させていきたいですね。それからゲームの販売はもちろん、オリジナルグッズを製作して販売することも考えています。
——「ここへ来ればひとりでもアナログゲームを楽しめる」という場所になるといいですね。
奥村さん:多くの人にアナログゲームの魅力を知っていただき、楽しんでいただけるよう頑張っていきたいです(笑)
UNPOT
新潟市中央区東堀通6番町1051-1 GE Building 9F
13:00-22:00
月火水木金曜休