カフェと理容室が併設した新しいスタイル「TOCONOMA」。
カフェ
2020.11.13
2020年3月にオープンした「TOCONOMA Barber Cafe Space」はカフェ併設型という新しいタイプの理容室。「16:00~23:00営業」や「カットは男性のみ」といった実に珍しい営業のやり方をしています。そんな「TOCONOMA」のコンセプトやオープンまでの経緯について、理容師で兄の裕太郎さんと、カフェ担当で弟の裕也さんからお話を聞いてきました。

TOCONOMA Barber Cafe Space
大瀧 裕太郎 Yutarou Ootaki
1991年新潟市生まれ。高校卒業後、群馬で理美容の会社に就職し、働きながら通信課程で理容師免許を取得。約8年間を群馬で過ごし、統括責任者まで経験。2017年に新潟に戻り、同年12月に「Hair Remake tocotoco」を、2020年3月に「TOCONOMA」をオープン。

TOCONOMA Barber Cafe Space
大瀧 裕也 Yuya Ootaki
1993年新潟市生まれ。テレビ局で働いていたときに取材で訪れた「taibow coffee」のカフェラテに衝撃を受け、それ以来珈琲の勉強に励む。半年間「taibow coffee」で修行したのち、兄の裕太郎さんと共に「TOCONOMA」をオープン。日本文理高校時代は甲子園出場経験あり。今でも野球が大好きで地域の子どもたちに教えたりもしている。

「TOCONOMA」をオープンするまで。
――まず「TOCONOMA」をオープンするまでの経緯を教えてください。
裕太郎さん:高校を卒業して18歳のときに群馬県で理容師の修行をはじめました。2017年9月に新潟に戻ってきて、その年の12月にまず西蒲区の巻に「Hair Remake tocotoco」をオープンしました。「tocotoco」は、お客様が気軽に”トコトコ”と来て使ってもらえるお店をコンセプトにした、リーズナブルな値段で利用できる、美容室と理容室が一体となった店舗です。
――修行というと、群馬県の専門学校に行かれたっていうことですか?
裕太郎さん:自分は通常の専門学校には行かないで、通信過程で理容師免許を取りました。だいたい高校卒業後に専門学校に行って就職、って流れが普通なんですけど、自分は高校卒業してすぐ就職して。普通の専門学校は免許取るのに2年かかるんですが、通信の場合は3年かかるので1年長いんです。そのかわり働きながら資格が取れるっていうところがメリットで、実際にお店に立って現場を学びながらできるんです。普通はお店に入ってからカットさせてもらえるようになるまでに早い人で2年~3年、長い人は5年~10年かかるって言われてますけど、自分の場合は3年で免許取ったときにはもうカットを任せてもらえていたので、かなりの時間短縮ができたと思います。
群馬での修行生活はとにかく大変だった。
――どんなお店で修行をしたのでしょうか。
裕太郎さん:東京、埼玉、仙台、関西などに多店舗展開している会社でした。理容室と美容室を一緒にやっている店舗があったり、銀座で理容室やったり、とにかくここなら幅広くいろんなことを吸収できると思って就職しました。どういうふうにスタッフのマネジメントするのかとか、経営的な部分も学びたい気持ちもあったので。会社は1店舗だいたい10人~15人くらいの体制で、新年会とかになると400人以上集まる大きなところだったんですよ。そこでは、最終的には責任者になって全体を見るような立場も任せてもらいました。
――けっこう長く群馬にいたんですか?
裕太郎さん:18歳から26歳までなので、だいたい8年半くらいです。朝6時くらいにお店へ行って8時過ぎまで練習。そのあと他の先輩たちが来て、9時から開店してお店の業務。お店が終わるとだいたい20時とかそのくらいで、隣のすき家で牛丼食って、そこからまた夜中の2時くらいまで練習。帰宅が深夜2時過ぎって感じで、そこから通信の課題ちょっとやって、寝るのは3時前くらいで、朝は5時半過ぎくらいに起きて……。
――やばい。気が狂いそうですね(笑)
裕太郎さん:その生活をだいたい3年間くらいですね。3時間寝れれば生きてられるんだなって思いました(笑)。2時間睡眠のときは体重が1ヵ月で6kg減りましたね。あとは朝に吐くっていう現象が(笑)
――過酷……。そんなことも学びながらの群馬生活だったんですね。
裕太郎さん:4年目からはスタッフを見たりするような立場にもなって、管理業務もしないといけなくなったので、それよりも多少は寝るようにはしていました。

新潟に戻って、すぐに1店舗目「tocotoco」をオープン。
――そんな経験をしてから新潟に戻ってきて、まずは「tocotoco」をオープンしたんですね。
裕太郎さん:実はうちが代々床屋で、自分で4代目になるんですけど、両親が昔からやっている「TAKI」って店が、帰って来る頃にはだいぶ落ち着いてきてしまっていたので、何かできればと思ったんです。でも、そのままのお店に自分が入って手伝うだけだと何も変わらない気がしたんです。であれば、今まで勉強してきたことをいかさないと意味がないなと思いました。なので店名や内装・外装からすべて一新しようって決めました。席数も2台から10台に変えたり。そんな経緯で「tocotoco」はオープンした感じですね。最初はほんと父親のお客さんだけだったので、スタッフを増やした分、3ヵ月くらいは赤字もいいとこでしたね。2017年のあの大雪のときだったので、スタッフが来られない日とかもあったりで。でもその翌年の春くらいからやっと軌道に乗っていった感じですね。

「TOCONOMA」という名前に込められた想い。
――で、その3年後に「TOCONOMA」をオープンしたわけですね。コンセプトは?
裕太郎さん:まずは「1日のご褒美に」っていうのを軸に置いてやっています。あとは「TOCONOMA」って名前にも思いがあるんです。床屋さんって、昔は「床の間のある店」って呼ばれていたんです。それが「床場さん」になって「床屋さん」て呼ばれるようになっていったんですね。
――へ~。それは豆知識ですね。知らなかったです。
裕太郎さん:それで、昔の理容室は床の間のある部屋を待ち合い室にして、奥の個室で髪を切っていたんです。床の間のある部屋に地域の人たちが集まって、ある種コミュニティとか社交場みたいな感じになっていました。今みたいにテレビもネットもスマホもない時代です。そこで髪を切る切らないにかかわらず、人が集って世間話とか他愛のない話をしていて。麻雀を打つ人がいたりとか。お客さんからすると、髪を切るということだけでなくて、その場所での情報交換をするのも結構メインの目的だったりしたみたいです。
――床屋さんは「庶民の社交場」みたいな感じだったんですね。
裕太郎さん:なのでうちはその昔ながらの床屋さんのあり方を、今の時代に合った新しい形で作っていきたいって思いました。昔で言う「床の間のある店」をこの令和の時代に表現したらどうなるんだろうって考えて、床の間のある部屋をカフェに代えて、今の時代の働き方やライフスタイルに合わせた新しい営業時間で表現しようと決めました。
――なるほど。お店の名前にコンセプトがこめられているんですね。
裕太郎さん:そうですね。「1日のご褒美に」っていうコンセプトはカフェの方にも反映しています。髪を切るだけじゃなくて、カフェを利用してもらったり、逆にカフェを最初に知ってもらって、それから理容室に来ていいただいたりもしてますね。ちなみにカフェの珈琲豆は北海道から取り寄せています。


「taibow coffee」で飲んだカフェラテに衝撃を受けて選んだ道
――弟の裕也さんのお話もお聞きして良いですか?
裕也さん:お願いします! 自分はもともとメディア系の仕事に就いていました。「taibow coffee」さんの弟さんが兄の同級生で、兄のコネでtaibowさんを取材させてもらったんですよ。それでその取材に行ったときに飲んだカフェラテに感動して、「taibowさんめちゃくちゃ良い!」って思ったんです。そこから珈琲に目覚めました。その後、兄の根回しとかもあって、taibowさんで修行させてもらえることになったんですけど(笑)
――裕也さんは珈琲の修行。どのくらいしてたんですか?
裕也さん:この店のオープン日が決まっていたので、約半年間、毎日通ってましたね。taibowさんでは珈琲についてかなり幅広く学ばせてもらいました。珈琲豆の鮮度の見方とか、接客もですし、カフェで働くために必要なことや本質的なことまで。東京や北海道に行ってカフェ巡りもしましたね。
――じゃあ珈琲豆は……
裕也さん:taibowさんの珈琲を飲んで衝撃受けたので、豆は絶対同じところを使いたいって思っていました。
――カフェと理容室は、ご兄弟で連携しながらやってるんですよね?
裕太郎さん:カフェはほとんど弟に任せてます。豆の焙煎はご縁のある北海道の「丸美珈琲」さんにお願いしているかたちです。弟には、珈琲やフード、あとはお客様とのコミュニケーションとか、そっちのパフォーマンスに重点を置いてやってもらっています。
裕也さん:珈琲はいれ方で味が変わるので、誤魔化しがきかないんです。お湯を注ぐ回数、お湯の温度、お湯の線の太さ、入れた後どのくらい待つとか。taibowさんに修行しに行っていたときは、毎朝、珈琲を飲んで何の豆なのか当てないとドリップさせてもらえませんでした。だから毎朝必死でした。とにかく独立したい一心で期間決めて修行していたんで、日々勉強中です。今も日曜日はいつもtaibowさんに勉強しに行かせてもらってます。

これからも「挑戦する大人」であり続けたい。
――最後におふたりに聞きたいんですが、今後の目標は何ですか?
裕也さん:来た人に元気になってもらえる、そんなお店にしていきたいです。床屋でリフレッシュ。カフェで元気注入。その流れで家に帰る、みたいな。自分が一生懸命やることで、周りの人がポジティブなエネルギーを得てもらえたらいいなって思います。
――ご兄弟でかなりタイプが違いますよね。
裕也さん:そうですね。顔も似てないし、自分は思ったことしか言わないので。
裕太郎さん:それ、俺がなんか心にもないこと言ってるみたいじゃん(笑)
裕也さん:(笑)。いや、自分の足りない部分をすごいカバーしてもらってます。

裕太郎さん:目標は、「学びの場」っていうのがキーワードかもしれないです。珈琲入れてるところをあえて見せるような作りにしていますし、それは「見てもらいたい」からなんですよ。これからはお客さんに珈琲をいれる体験をしてもらうイベントとかも考えていたり。あと、一番の目標は、いい意味でちょっと背伸びした店であり続けたいってことです。うちは珈琲もカットも値段設定は少し高めです。他を探せばもっと安いところはたくさんあります。お客様がここに来ることを「1日のご褒美に」と感じてもらえるようなお店になりたいんですね。でもそうなるには、自分たちがまずそうでなきゃいけないんですよ。常に学んでいったり、新しい出会いを求めたり。現状に満足せずに新しい分野に挑戦したり。理容とかカフェだけにとらわれるのではなくて、これからもプラスアルファでそれぞれの得意なことや経験をいかして、理容やカフェとつなげていけるようにしたいです。そんな「挑戦している大人」でいたいです!
TOCONOMA Barber Cafe Space
〒950-2264 新潟県新潟市西区みずき野1丁目6-18
TEL 025-378-1188
14:30~23:00
火・日曜休
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