郷土料理としてのイタリアンを目指す「欧風厨房 サントピアット」。
食べる
2021.02.05
「ミシュランガイド新潟2020」のビブグルマンに選ばれた「欧風厨房 サントピアット」は、自家製麺のパスタ料理を楽しむことができる加茂市のイタリアンレストランです。特に人気があるメニューが「漢(おとこ)のミートソース」。歯応えのある極太麺を濃厚ミートソースに絡めて、ツルツルすするというよりはガシガシ食べる感じのパスタ料理。その他、いろいろな食感のパスタを味わうことができます。今回はオーナーシェフの桑原さんに、パスタやイタリアンの魅力を聞いてきました。


欧風厨房 サントピアット
桑原 宗紀 Tokinori Kuwabara
1975年加茂市生まれ。東京の調理師専門学校で製菓製パンを学び、都内のパティスリーに就職。その後イタリアンレストランで修行し、イタリアに渡って本場のイタリアンを学ぶ。2007年加茂に戻って「欧風厨房 サントピアット」をオープン。3人の子どもと触れ合う時間が何よりの楽しみ。
初めて食べた本格スパゲッティに衝撃を受け、イタリアンの道へ。
——桑原さんはどこで料理の勉強をしたんですか?
桑原さん:地元の高校を卒業した後、東京の調理師専門学校に行きました。そこでパティシエを目指して製菓や製パンを1年間勉強したんです。
——最初はパティシエを目指していたんですか?
桑原さん:はい、小学生の頃から図画や工作が好きだったので、ものを作る仕事がしたいと思っていたんです。高校生の頃にアルバイトをして、初めてのアルバイト料で家族にケーキを買ったんですよね。そのときに家族みんなが喜んでくれて、幸せそうにしているのを見て、自分の作ったケーキで人を幸せにしたいと思うようになったんです。
——パティシエからイタリアンの道に進むことになったのは、何かきっかけがあったんですか?
桑原さん:専門学校を出てから都内のパティスリーでお菓子作りをしていたんですけど、近所のトラットリアでスパゲッティを食べたときに、頭を殴られたような衝撃を受けたんですよ。初めて本格的なスパゲッティを食べて、「こんな美味いものが世の中にあったのか」って思いましたね。それからはイタリアンばかり食べ歩くようになりました。

——じゃあその出会いで目指す方向が変わったんですね。
桑原さん:昔から自分が好きなものは友達にも勧めたい性格で、たとえば好きになった音楽があったら、友達にもCDを押しつけるように貸して聞かせていたんです。だからイタリアンを食べて満足するだけじゃなくて、その魅力を自分が伝える側になりたいと思って都内のイタリア料理店で働き始めました。本場イタリアでも2年間修行しました。
——おお、イタリアまで。失礼ですけどイタリア語は……?
桑原さん:言葉はわからなかったんですけど、どんな作業をしているのか動作を見ることが大事ですからね。その頃は輸入規制が厳しくて、日本では手に入らない材料なんかもあったので、現地で勉強したかったんですよ。本場イタリアで食べた料理は、日本で食べたものよりずっと美味しくて再び衝撃を受けましたね。
——やっぱり、イタリアのイタリアンは美味いと。
桑原さん:僕はどんな料理もすべて郷土料理だと思っているんですよ。「郷土料理」っていうのは、その土地で採れた食材をできるだけ美味しく食べようとする料理なんです。イタリアンもイタリアの郷土料理なんですよね。北イタリアでは肉を使ったものが多いし、南イタリアでは魚介類を使ったものが多いんです。そして、それを一番美味しく食べられるように料理したものなんですよ。本場イタリアでそはのことを学んできました。

食材の美味しさを引き立てるために、けして手間を惜しまない。
——「欧風厨房 サントピアット」はどんないきさつでオープンしたんですか?
桑原さん:30歳になったとき、これからの10年をどう過ごそうかと考えたんです。そのとき思ったのは、自分が受けたイタリアンの衝撃を新潟の人たちにも味わってほしいということでした。そこで2007年に地元の加茂に戻って「欧風厨房 サントピアット」をオープンしたんです。

——桑原さんは普段、どんなことにこだわって料理をしているんですか?
桑原さん:地元の食材を使って、どうしたらその美味しさを充分に伝えられるかをいつも考えています。食材はできるだけ生産者の顔が見えるものを使うようにしているので、一生懸命作った生産物を無駄にしないよう試行錯誤しています。
——例えば、どんなふうに食材の美味しさを引き出すのでしょうか。
桑原さん:今の季節は猟師さんがマガモを持ってきてくれるんですが、すぐに使わず食べごろまで寝かせて使うようにしています。麺やパンも熟成してから使っていますね。
——熟成すると、どう素材が変わるのでしょう。
桑原さん:麺やパンは練ってから冷蔵庫に入れて、水分が均一になるよう転がしながら100時間くらい熟成するんです。いろいろ試してみたんですが、4日間くらい寝かせると新たな旨みが生まれるんですよ。

——へ〜、旨みが出てくるんですね。熟成させる他にも食材の美味しさを引き立てる工夫ってあるんですか?
桑原さん:ひとつの皿の中にブロッコリーを入れるとき、ひとつの調理法だけじゃなく、煮たり焼いたり揚げたりと色々な調理をしたものを入れています。それぞれの調理方法で違った味を楽しめますからね。
——熟成にしてもそうですけど、ひとつひとつに手間をかけて作っているんですね。
桑原さん:僕は手間をかけて調理することが当たり前だと思ってます。一生懸命作ることが、住んでいる土地や食材に対しての感謝の気持ちなんです。
——なるほど。ちなみに初めての人にオススメしたいメニューはありますか?
桑原さん:手作りじゃなければ絶対に作れない熟成麺を使ったパスタ料理ですね。いろんな要素を盛り込んだディナーコースもぜひ食べてほしいです。

自分の料理が、加茂の土地に根付いたソウルフードになってほしい。
——桑原さんはイタリアンの魅力ってどんなところだと思いますか?
桑原さん:なんだかんだいってもイタリアンの原点はパスタに尽きると思うんですよ。種類が豊富で奥も深いですよね。あとイタリアの郷土料理としてイタリア人に深く根付いていることです。フィレンツェにマクドナルドがあっても地元の人は誰も行かないんです。みんな昔からあるイタリアンレストランで食事をするんですよ。そんなふうに愛され続けているのがイタリアンの魅力ですね。
——なるほど。では今後はどんなふうに料理を作っていきたいと思いますか?
桑原さん:昨年は新型ウイルス感染症の影響で、毎日料理を作れることの幸せを改めて実感しました。だから今後もずっと料理を作っていきたいと思いますね。でも需要がなければただ料理を作っているだけになってしまうので、「お客様から必要とされる料理」を作っていきたいと思います。最終目標は、僕の作る料理が加茂に根付いたソウルフードになってくれたら嬉しいですね。

郷土料理としてのイタリアンを目指したいという桑原さん。地元で採れた食材の美味しさを最大限に引き出すため、手間ひまかけて一生懸命料理を作っています。いつか桑原さんの作ったイタリアンが、加茂や新潟を代表するソウルフードになるといいですね。
欧風厨房 サントピアット
〒959-1361 新潟県加茂市下条甲840-1
0256-53-6680
Advertisement
関連記事
食べる
阿賀野市のいいものにこだわった和食、古町「あがの割烹 千原六助」。
2023.01.27
食べる
夜の弥彦温泉街を支え続ける
老舗飲食店「ラーメンやまだ」。
2026.05.02
食べる
「とりあえず」ベーグルから。栃尾の魅力を発信する「toriaezu bagel」。
2025.03.15
食べる
バンコクの屋台を新潟で再現。移動販売のカレー屋さん。
2019.03.28
食べる
オリジナリティにこだわった、西区「cafe nOmado」のハヤシライス。
2022.06.17
ものづくり, 食べる
昔ながらの手作りを守りながら、新しい豆腐を生み出す「川上とうふ」。
2019.06.25
新しい記事
食べる
花が咲く場所で会えるかも⁉
炭火焙煎コーヒーの「珈琲工房うた」
2026.06.12
ものづくり
安田瓦の優れた魅力を広く伝える
「にいがた瓦館 かわらティエ」
2026.06.11
食べる
パンづくりが好きだから続けられた。
長岡「moko bread」の桑原さん。
2026.06.10
イエとヒト。リノベーション
イエとヒト。Renovation #1 暮らしの記憶を宿し、「庭を愛でる旅館」へと仕立て直した家。
PR | 2026.06.10
食べる
店はもちろん、地元も盛り上げる
「麺処大昇」のインスタグラマー。
2026.06.09
ものづくり
桐をもっと身近な存在に。
一点ものの桐製品「みうら木工」
2026.06.08


